機械

誘導電動機の特性と計算ミニテスト第1回|軸出力・トルク・始動・比例推移の5問

計算を始める前に、電力の位置と電流を測る場所を確かめましょう。「出力」「始動電流」とだけ覚えると、機械損の引き忘れや、線電流と相電流の取り違えにつながります。

この回は、出力からの逆算、2種類のトルク、始動できる条件、抵抗変更後の運転点、インバータの電圧上限を扱います。各問で答えを決めてから「解答を見る」を押すと、全選択肢の理由を確認できます。

5問はそれぞれ別の機器を想定した独自の学習問題です。式の導出を先に読みたい場合は、誘導電動機の特性と計算の解説へ進んでください。

誘導電動機の特性と計算 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

電力の通り道と記号を確認する

基本は平衡三相の定常状態です。Ns は回転磁界の同期速度、N は軸速度で、単位はmin−1(1分間の回転数)。電源周波数 f [Hz] と極数 p から Ns=120f/p、すべりは s=(Ns−N)/Ns です。すべり4%は0.04として代入します。

記号 どこの電力か
P1
一次入力
電源から固定子へ入る有効電力。
P2
二次入力
一次側の損失を引き、回転子へ渡った電力。
Pc2
二次銅損
回転子の抵抗で熱になる分。
Pc2=sP2
Pm
機械的発生出力
回転の仕事になった分。機械損を引く前。
Pm=(1−s)P2
Po
軸出力
機械損を差し引き、負荷へ渡せる動力。

電力は三相合計の値です。第1・2問では二次外部抵抗を使わず、回転子鉄損・漂遊負荷損など、指定以外の損失を無視します。第4問の外部抵抗を使う回路では、sP2 は回転子導体と外部抵抗の発熱の合計になります。

第1問|軸出力から、損失を足して戻る

ある誘導電動機の軸出力は8.55 kW、機械損は90 W、すべりは0.04だった。一次銅損と固定子鉄損の合計は0.40 kWとする。

二次入力と二次銅損の組合せとして正しいものはどれか。いずれも単位はkWとし、小数第2位まで示す。

  1. (1)二次入力8.64、二次銅損0.35
  2. (2)二次入力9.00、二次銅損0.36
  3. (3)二次入力8.91、二次銅損0.36
  4. (4)二次入力9.40、二次銅損0.38
  5. (5)二次入力216.00、二次銅損8.64

第2問|電磁トルクと軸トルクを分ける

8極・60 Hzの誘導電動機が855 min−1で回転している。機械的発生出力は17.10 kW、軸出力は16.53 kWだった。

電磁トルクと軸トルクの組合せとして最も近いものはどれか。単位はどちらもN·m。π=3.14159としてよい。

  1. (1)電磁181.4、軸175.4
  2. (2)電磁184.6、軸191.0
  3. (3)電磁201.0、軸184.6
  4. (4)電磁191.0、軸184.6
  5. (5)電磁0.191、軸0.185

第3問|電流を減らせても、始動できるとは限らない

ある電源電圧でΔ運転できるかご形電動機を考える。停止状態でΔ直入れしたときの線電流は300 A、始動トルクは210 N·mだった。同じ巻線・線間電圧・周波数でY結線に変える。

停止時の負荷抵抗トルクは90 N·mで、回り始めるにはこれを上回る電動機トルクが必要とする。回路定数の変化、電源の電圧降下、投入時の過渡現象は無視する。

Y結線での電源側線電流、始動トルク、回り始められるかの組合せはどれか。

  1. (1)約173 A、70 N·m、回り始められない
  2. (2)100 A、約121 N·m、回り始められる
  3. (3)100 A、210 N·m、回り始められる
  4. (4)約173 A、約121 N·m、回り始められる
  5. (5)100 A、70 N·m、回り始められない

第4問|外部抵抗を足した後のすべりを求める

6極・50 Hzの巻線形電動機で、1相当たりの二次巻線抵抗が0.18 Ω、外部抵抗は0だった。ある電磁トルクを生むすべりは0.024で、最大トルクは260 N·m、最大トルク時のすべりは0.16だった。

二次側の各相へ0.27 Ωずつ外部抵抗を直列に追加する。電圧・周波数と他の回路定数を一定とする近似等価回路を用い、磁気飽和・温度変化・表皮効果による定数変化は無視する。

元と同じ電磁トルクとなる小すべり側の点について、追加後のすべり、軸速度、最大トルクの組合せはどれか。速度はmin−1、トルクはN·m。

  1. (1)すべり0.0096、速度990.4、最大260
  2. (2)すべり0.036、速度964、最大260
  3. (3)すべり0.060、速度940、最大260
  4. (4)すべり0.060、速度940、最大650
  5. (5)すべり0.024、速度976、最大260

第5問|V/f一定に電圧上限を加える

あるインバータは、基底周波数50 Hzで電動機の基本波線間電圧を400 Vにする。35 HzではV/fを50 Hz時と同じに保ち、50 Hzを超えたら電圧を上限400 Vに固定する設定である。ここでは35 Hzでの電圧降下補償は不要とする。

35 Hzと70 Hzの線間電圧の組合せとして正しいものはどれか。周波数指令70 Hzは許容範囲内とする。

  1. (1)35 Hzで280 V、70 Hzで400 V
  2. (2)35 Hzで280 V、70 Hzで560 V
  3. (3)35 Hzで400 V、70 Hzで400 V
  4. (4)35 Hzで196 V、70 Hzで400 V
  5. (5)35 Hzで約571 V、70 Hzで約286 V

解き終えたら、式を選ぶ条件を整理する

迷いやすい点 計算前の確認
出力からの逆算 軸出力へ機械損を足し、機械的発生出力へ戻してから1−すべりで割る。
トルクの分母 二次入力には同期角速度。機械的発生出力・軸出力には軸の角速度を対応させる。
Y-Δの電流 同じ線間電圧・停止時で比較。巻線の相電流は1/√3、電源側線電流は1/3。
比例推移 追加分だけでなく二次合成抵抗を使う。同じトルクとなるすべりを同倍率に変える。
V/f制御 基本波の電圧を使う。基底周波数、電圧上限、低周波数の補償条件を確認する。

第1問を間違えたら電力の位置、第2問なら電力と速度の組合せ、第3問なら線と相、第4問なら合成抵抗、第5問なら適用範囲を確認しましょう。正答数と併せて、自分が取り違えた条件を言葉で説明できるかが復習の目安です。

復習と次の演習

解説の確認先

基礎式と適用条件は次の一次資料で確認しています。問題・数値設定・解説は本ページ用に作成し、資料中の設問や図は転載していません。

2026年10月15日確認・改訂。5問を新作し、全25選択肢の理由を追加しました。公式試験問題ではなく、理解を確かめるための独自教材です。

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-機械