照明と電熱は、同じ「光」や「熱」でも、どこを基準にした数値かを読むと式が決まります。照明器具から測定点までの距離、ランプ1本と器具1台、抵抗の発熱と水へ伝わる熱を分けて考えましょう。
この第1回は、照明の配置・器具の比較・電気加熱を扱う独自の5問です。各問で答えを1つ選び、「解答を見る」から計算過程と全選択肢の理由を確認できます。数値は演習用の設定で、法令の照度基準や特定製品の仕様ではありません。
式の導出は照明と電熱の解説記事で復習できます。続けて解く場合はミニテスト第2回・第3回へ進んでください。
第1問|斜めの光源と真上の光源を足し合わせる
水平な作業面の測定点Pを、十分に小さい点光源とみなせるA・Bの2つで照らす。配置と光度は次のとおりである。
- 光源A:作業面からの高さ6 m。Aの真下の点からPまでの水平距離8 m。AからPへ向かう方向の光度は2,400 cd。
- 光源B:Pの真上5 mにあり、Pへ向かう方向の光度は640 cd。
光源の光度は同時点灯しても変化せず、壁・天井の反射、遮り、空気による減衰、他の光は無視する。各光源の直接照度を加算できるとして、両方を点灯したときのPの水平面照度はどれか。
- (1)14.4 lx
- (2)25.6 lx
- (3)40.0 lx
- (4)49.6 lx
- (5)約92.3 lx
第2問|2灯用器具の台数と維持平均照度を求める
面積63 m2の室で、光束法により維持平均照度350 lx以上を確保したい。使用する器具は1台にランプを2本取り付ける。
- ランプ1本の初期光束F:2,100 lm。
- 照明率U:0.55。器具内の全ランプの初期光束を基準に、作業面へ届く割合として与えられている。
- 保守率M:0.80。ランプの光束低下や汚れなどを、この係数で見込む。
すべての器具で2本とも点灯し、台数を変えてもUとMは一定とする。計算上必要な最小の器具台数と、その台数での維持平均照度の組み合わせはどれか。照度は小数第1位までの概数でよい。
- (1)10台、約293.3 lx
- (2)11台、約322.7 lx
- (3)24台、704 lx
- (4)12台、352 lx
- (5)12台、440 lx
第3問|効率の向上率と電力量の削減率は同じか
器具Aを器具Bへ交換する場合を計算する。どちらも器具から出る全光束は2,800 lmで、電源装置を含めた器具全体の消費電力はAが35 W、Bが28 Wである。
6台を交換し、交換前後とも年間1,500時間、一定の全出力で点灯する。調光・待機電力や器具以外の負荷は考えない。A・Bそれぞれの器具効率と、年間の削減電力量、交換前を基準にした電力量削減率の組み合わせはどれか。
- (1)A:80 lm/W、B:100 lm/W
年間63 kWh削減、削減率20% - (2)A:80 lm/W、B:100 lm/W
年間63 kWh削減、削減率25% - (3)A:100 lm/W、B:80 lm/W
年間63 kWh削減、削減率20% - (4)A:80 lm/W、B:100 lm/W
年間10.5 kWh削減、削減率20% - (5)A:80 lm/W、B:100 lm/W
年間63,000 kWh削減、削減率20%
第4問|抵抗を2倍にすると発熱は増えるか
18 Ωの抵抗を36 Ωの抵抗へ交換し、次の独立した2つの実験を行う。いずれも交換後の抵抗だけを150秒間通電する。
- 実験A:抵抗両端の直流電圧を72 Vに保つ。
- 実験B:抵抗に流れる直流電流を4 Aに保つ。
電源は指定値を保てる理想的なものとし、通電中の抵抗値は一定とする。交換後の36 Ωの抵抗で発生するジュール熱を、A・Bの順に示した組み合わせはどれか。
- (1)43.2 kJ、43.2 kJ
- (2)86.4 kJ、21.6 kJ
- (3)0.144 kJ、0.576 kJ
- (4)21.6 kJ、43.2 kJ
- (5)21.6 kJ、86.4 kJ
第5問|水だけでなく容器も温める時間を求める
6 kgの水と容器を、ともに18℃から63℃まで電気ヒーターで温める。水の比熱は4.2 kJ/(kg·K)、容器全体の熱容量Cは0.9 kJ/Kとする。
ヒーターの入力電力は一定の1.8 kW。電気入力の75%が水と容器を合わせた昇温に使われ、残り25%が外部へ失われるものとする。水と容器は同じ温度で一様に昇温し、比熱・熱容量・効率は一定、蒸発や相変化は無視する。
加熱に必要な時間と、ヒーターが消費する入力電力量の組み合わせはどれか。電力量はkJで答える。
- (1)652.5秒、1,174.5 kJ
- (2)870秒、1,566 kJ
- (3)840秒、1,512 kJ
- (4)870秒、1,174.5 kJ
- (5)1,160秒、2,088 kJ
計算の整理|式へ入れる前に基準をそろえる
照明では、1点の照度・室全体の平均照度・器具の効率を区別します。
| 求める量 | 式の形 | 先に確認する条件 |
|---|---|---|
| 1点の直接照度 | I cosθ/r2 | その点への光度、直線距離、面の法線 |
| 維持平均照度 | NFUM/A | Nがランプ本数か器具台数か。F・Uの基準も統一 |
| 器具効率 | 器具光束÷入力電力 | 電源装置を含むか。単位はlm/W |
第2問ではFがランプ1本の値なので、表のNはランプ本数です。器具台数で書くなら2Nへ置き換えます。第3問の効率比較では、配光や見え方の良否までは求めていません。
電熱では、電源から入るエネルギーと対象に残る熱を分けると、効率の掛け忘れ・二重適用を防げます。
| 量 | 今回使う関係 | 単位と注意 |
|---|---|---|
| 抵抗の電力 | P=VI =I2R=V2/R |
W。電圧一定か電流一定かで変化が逆 |
| 入力電力量 | Qe=Pt | W×sならJ。kW×hならkWh |
| 対象の必要熱量 | Q=(mc+C)ΔT =ηPt |
本問は水+容器。kJなら電力はkJ/sへ |
1 kWh=3,600 kJ は、1 kW=1 kJ/s と 1 h=3,600 s を掛けた関係です。発熱の速度であるkWと、積算したエネルギーのkWhを読み分けましょう。
解き直す問題と次の学習先
- 第1問を間違えたら:高さ・水平距離・斜めの距離を直角三角形へ書き、光源ごとに照度を計算します。
- 第2・3問を間違えたら:「1本・1台・全体」「初期・維持」「効率・電力量」のどれを比較しているか、数値の横へ書き添えます。
- 第4・5問を間違えたら:電源が一定に保つ量と、熱を受け取る対象を先に囲みます。
- 公式を復習:照明と電熱|照度・光束法・ジュール熱の解説。
- 追加演習:照明と電熱 ミニテスト第2回、第3回。
- 測定と現場判断:照度計算と照明診断。平均値だけでなく、配置・実測分布から照明を確認します。
- 前のテーマ:パワーエレクトロニクス。整流・位相制御した波形で抵抗を加熱するときは、平均電圧と実効値の違いも関係します。
- 次のテーマ:電動力応用。電気入力と有効な出力を分ける考え方を、ポンプやエレベータの所要電力へつなげます。
原理と用語を確かめる資料
次の資料で定義と適用条件を照合しました。5問の数値設定・選択肢・解説は本ページ用に作成しています。
- Panasonic「直接照度の計算法」:点光源の方向別光度、距離、入射角から照度を求める式。
- Panasonic「平均照度の計算法」:ランプ光束と光源個数の基準、照明率、保守率。
- 照明学会「基礎事項解説」:光束・光度・照度・配光などの用語。
- 日本電気技術者協会「照明用光源の種類と点灯回路」:光束を消費電力で割る効率と、点灯装置の電力を含める考え方。
- 名古屋工業大学「電気回路Ⅰ 第2週」:オームの法則、ジュール熱、抵抗の消費電力。
- 産総研「比熱容量とは?」:熱容量と単位質量当たりの比熱容量の関係。
- 電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の問題と解答」:公式試験問題を確認する学習先。本ページの設問は公式過去問の転載ではありません。
2026年10月26日確認・改訂。資料の文章や図表を転載せず、計算の前提と単位を確認する独自演習として構成しています。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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