選任の問題は「誰が、どの制度で、何をするか」を分けると整理できます。免状を持つ人を選ぶ場合、免状のない人の選任許可を受ける場合、承認を受けて保安管理を外部へ委託する場合では、必要な手続きが違います。
このミニテストでは、人事交代、点検時の指示、免状の範囲、外部委託、事故連絡の5場面を扱います。答えを決めた後、全選択肢の理由まで確認してください。
電験三種・法規向けのオリジナル五肢択一問題です。各問とも正しい説明を1つ選びます。制度から読み直す場合は、電気主任技術者の選任と職務の解説を参照してください。
2026年11月3日時点の法令を使用します。以下の「法」は電気事業法、「施行規則」は電気事業法施行規則、「報告規則」は電気関係報告規則です。電圧・出力は、各条文の判定に使う値とします。
第1問|免状のある後任と、許可を受ける後任
小規模事業用ではない自家用電気工作物について、設置者が電気主任技術者を交代させます。次の2案は別々の事業場の話です。
- A案:設備の範囲に合う免状を持ち、選任要件も満たす後任を、通常の方法で選任する。
- B案:免状を持たない候補者について、法第43条第2項の許可を受けて選任する。
法第43条第3項の選任届と解任届の扱いとして正しいものはどれですか。届出先は条文の名称で答え、権限委任後の提出窓口の名称は問いません。
- (1)A案では、候補者が免状を持っていれば国が選任するため、設置者からの選任届は不要である。
- (2)B案では、選任許可申請書を提出した時点で許可済みと同じ扱いになり、選任できる。
- (3)A案の選任は遅滞なく主務大臣に届け出る。B案の許可を受けた選任はこの選任届から除かれるが、選任された者の解任時には届出が必要である。
- (4)A案の選任届は必要だが、B案では許可を受けた選任も、その後の解任も届出の対象外である。
- (5)A案・B案とも、選任届と解任届は年度末に一括して出せばよい。
第2問|点検担当者への指示と、委託先の意見
Aビルでは電気主任技術者を選任しています。設備の維持に従事する点検担当者が、主任技術者から保安のための指示を受けました。
別のBビルでは、施行規則第52条第2項の外部委託承認を受けています。設置者が、その承認に係る委託契約の相手方から保安上の改善意見を受けました。
この2場面について正しい説明はどれですか。
- (1)Aの点検担当者は保安のための指示に従い、Bの設置者は承認に係る委託先の意見を尊重する。それぞれ根拠となる条文が異なる。
- (2)Aの点検担当者は意見を聞くだけでよく、指示に従うかどうかを自由に決められる。
- (3)Bの設置者の意見尊重は、法第43条第5項が、すべての設置者に一律に定めた義務である。
- (4)Aの主任技術者が監督する範囲は運用中だけであり、工事と維持は職務の対象外である。
- (5)Bの設置者は外部委託承認を受けたので、保安規程を守る義務も委託先に移っている。
第3問|第三種免状で扱える範囲を仕分ける
次の独立した設備・業務について、第三種電気主任技術者免状の監督範囲を判定します。個々の選任・兼任の要件は別とし、ここでは施行規則第56条の免状の範囲だけを問います。
- A:電圧44,000Vの需要設備。発電所・蓄電所は併設しない。
- B:電圧6,600V、出力5,100kWの蓄電所の電気的設備。
- C:同条の表第4号に該当する水力設備のうち、非電気的設備の保安の監督。
- D:電圧6,600V、出力4,900kWの太陽電池発電所の電気的設備。
範囲内・範囲外の組み合わせが正しいものはどれですか。
- (1)A・B・Dが範囲内、Cが範囲外。
- (2)A・C・Dが範囲内、Bが範囲外。
- (3)Dだけが範囲内、A・B・Cが範囲外。
- (4)A・Dが範囲内、B・Cが範囲外。
- (5)Aだけが範囲内、B・C・Dが範囲外。
第4問|委託契約を結べば、選任しなくてよいか
自社倉庫の需要設備は受電電圧6,600Vで、発電所・蓄電所を併設していません。小規模事業用ではなく、施行規則第52条第2項の設備条件に入ります。設置者は要件に合う電気保安法人と、必要事項を定めた保安管理業務の委託契約を結びました。
ただし、外部委託承認は申請中で、まだ受けていません。この状態と、承認を受けた後の扱いについて、正しい説明はどれですか。
- (1)6,600Vは7,000V以下なので、契約や承認の状況に関係なく電気主任技術者を選任しないことができる。
- (2)設備条件と契約だけでは、この制度による不選任の扱いにはならない。保安上支障がないものとして承認を受ければ、電気主任技術者を選任しないことができる。
- (3)委託先が法人であれば、承認は不要であり、個人に委託するときだけ承認が必要である。
- (4)承認後は、設置者の保安規程の制定・届出も不要になる。
- (5)第三種免状で44,000Vの需要設備を監督できるので、同じ設備もこの外部委託の7,000V以下という条件を満たす。
第5問|事故の発生と、発生を知った時刻が違う
小規模事業用ではない自家用電気工作物で、報告規則第3条第1項の表に該当する事故が発生しました。同条第2項ただし書の詳報省略には該当せず、速報・詳報の両方が必要な事故とします。
- 事故が発生した日時:9月7日21時40分。
- 設置者が事故の発生を知った日時:9月8日8時20分。
報告の義務者、速報の24時間、詳報の30日の関係として正しいものはどれですか。
- (1)設置者が報告し、速報の24時間と詳報の30日は、どちらも9月7日の事故発生を起点とする。
- (2)主任技術者だけが法定の報告義務を負い、設置者は報告の主体にはならない。
- (3)速報は9月8日8時20分から24時間以内なら、報告できる状態でも期限まで待つことが認められる。
- (4)速報は発生を知った時から数えるが、詳報は原因調査を終えた日から30日以内でよい。
- (5)設置者が報告し、速報は発生を知った時から24時間以内に可能な限り速やかに行う。詳報は発生を知った9月8日から起算して30日以内に提出する。
復習表|手続きと義務の主体を照合する
間違えた選択肢が、手続き・設備条件・義務者・起算点のどこを取り違えていたか確認しましょう。
| 選任に関する判断 | 確認する順序 |
|---|---|
| 通常の選任 | 免状と設備の範囲・選任要件を確認→設置者が選任→遅滞なく届出。 |
| 許可選任 | 免状のない候補者について許可を受けて選任。その選任は通常の選任届から除外。解任届は必要。 |
| 外部委託承認 | 設備条件→委託先と契約→承認。認められるのは不選任であり、保安規程の免除ではない。 |
| 第三種免状 | 電圧50,000V未満。出力5,000kW以上の発電所・蓄電所と、施行規則第56条の表第4号・第6号を除く。 |
| 小規模事業用 | 法第42条・第43条の対象から除外。外部委託承認による不選任と根拠が違う。 |
| 人・場面 | 義務と根拠 |
|---|---|
| 主任技術者 | 工事・維持・運用の保安の監督を誠実に行う(法第43条第4項)。 |
| 工事・維持・運用の従事者 | 主任技術者の保安のための指示に従う(同条第5項)。 |
| 外部委託承認を受けた者 | その承認に係る委託契約の相手方の意見を尊重(施行規則第53条第4項)。 |
| 事故を知った設置者 | 報告対象と例外を確認。第3条の速報は知った時から24時間以内・可能な限り速やかに、詳報は知った日から起算30日以内。 |
弱点に合わせて次の学習へ進む
- 制度を順に整理する:電気主任技術者の選任と職務。
- 追加問題を解く:電気主任技術者の選任と職務 ミニテスト第2回/同テーマのミニテスト第3回。
- 前のテーマを復習:事業用電気工作物の保安体制で、保安規程や工事計画の手続きを確認。
- 次のテーマへ進む:自家用電気工作物の保安で、設備の保安管理を学ぶ。
根拠条文と公式問題を確認する
場面設定、選択肢、解説はこのページのために作成しています。公式過去問や市販教材からの問題文・解説の転載ではありません。
- e-Gov法令検索「電気事業法」:第42条の小規模事業用の除外と保安規程、第43条の選任・許可・届出・職務・指示遵守。
- e-Gov法令検索「電気事業法施行規則」:第52条・第52条の2・第53条の外部委託、第54条・第55条の手続き、第56条の免状の範囲。
- e-Gov法令検索「電気関係報告規則」:第3条の事故の種類・報告先・期限と例外、第3条の2の小規模事業用。
- 電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の問題と解答」:公式の出題で学習を仕上げる際の確認先。
確認・改訂:2026年11月3日。電気事業法は2026年8月3日施行、施行規則は2026年4月1日施行、電気関係報告規則は2025年11月20日施行の現行版で確認しました。受験時は適用法令の時点を、実際の手続きでは設備に合う管轄窓口の案内を確認してください。
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