結論:建築物内の廃棄物管理は「保管場所の基準」と「発生原単位の計算」が試験の2大ポイントです
ビルでは毎日たくさんの廃棄物(ごみ)が出ます。オフィスビルなら紙くず、商業ビルなら食品包装や段ボールなど、用途によって出るごみの種類も量も違います。ビル管理士として大切なのは、この廃棄物を安全に保管し、効率よく処理する体制をつくることです。この記事では、廃棄物の保管場所の基準、発生原単位の考え方、計算問題の解き方まで詳しく解説します。
廃棄物の法律上の分類については廃棄物処理法と廃棄物の分類で解説しています。清掃の全体像は清掃計画と管理体系・品質評価をご覧ください。
廃棄物の保管・集積場所の構造基準
ビル内で発生した廃棄物は、収集車が来るまでの間、一時的に保管しておく必要があります。この保管場所(集積場所・廃棄物保管場所)には、いくつかの構造基準があります。
保管場所に必要な条件
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 搬出しやすい場所(1階や地下) | 収集車への積み込みがスムーズにできる |
| 十分な広さ(2日分程度を目安) | 収集日以外にもごみが出るため余裕が必要 |
| 防水構造の床・排水設備 | 汚水が床に染み込まないようにする |
| 換気設備 | 臭気の拡散を防ぐ |
| ねずみ・昆虫の侵入防止構造 | 衛生害虫の発生を防止する |
| 洗浄しやすい内装 | 清掃がしやすく衛生的に保てる |
保管場所の広さの目安は「2日分程度の廃棄物量を保管できること」が基本です。また、「防水構造+排水設備」「換気設備」「ねずみ・昆虫の防止構造」の3つはセットで覚えましょう。
廃棄物の発生原単位
発生原単位とは、建物の単位面積(1m²)あたりや、1人あたりから1日に発生する廃棄物の量のことです。ビル管理では、この数値をもとに廃棄物の処理量を予測し、保管場所の大きさや収集頻度を決めます。
建物用途別の発生原単位(目安)
| 建物用途 | 発生原単位の目安 |
|---|---|
| 事務所ビル | 約0.04〜0.06 kg/(m²・日) |
| 百貨店・商業施設 | 約0.06〜0.08 kg/(m²・日) |
| ホテル | 約0.08〜0.12 kg/(m²・日) |
一般的に、飲食を伴う施設や人の出入りが多い施設ほど、発生原単位は大きくなります。
発生原単位は「kg/(m²・日)」という単位で表されます。事務所ビルの約0.04〜0.06 kg/(m²・日)は覚えておきましょう。ホテルや百貨店はそれより多くなる傾向があります。
計算問題の解き方
ビル管理士試験では、発生原単位を使った計算問題が出ることがあります。基本的な考え方はとてもシンプルです。
基本公式
1日の廃棄物発生量 = 延べ床面積 × 発生原単位
計算例1:1日の発生量を求める
「延べ床面積10,000m²の事務所ビルで、廃棄物の発生原単位が0.05 kg/(m²・日)のとき、1日あたりの廃棄物発生量はいくらか。」
| 手順 | 計算 |
|---|---|
| 公式にあてはめる | 10,000 m² × 0.05 kg/(m²・日) |
| 答え | 500 kg/日 |
計算例2:保管場所の容量を求める
「上記のビルで、収集が2日に1回の場合、保管場所に必要な容量はいくらか。ただし、廃棄物のかさ密度を0.1 t/m³とする。」
| 手順 | 計算 |
|---|---|
| 2日分の発生量 | 500 kg/日 × 2日 = 1,000 kg = 1.0 t |
| 必要容量 | 1.0 t ÷ 0.1 t/m³ = 10 m³ |
計算問題は「発生原単位 × 面積 = 1日の発生量」を基本にし、そこから保管日数やかさ密度を使って必要容量を求めるパターンが多いです。単位の変換(kg→t)を間違えないように注意しましょう。かさ密度(見かけの密度)は、ごみのように空気を含む物質の体積を計算するときに使う密度です。
分別収集と中間処理
ビル内の廃棄物は、分別して収集することで処理コストを下げ、リサイクル率を上げることができます。
分別収集のポイント
- 発生場所で分別する(各フロアにごみ箱を種類別に設置)
- 分別区分は自治体のルールに合わせる
- テナントへの周知・教育が重要
- 機密文書はシュレッダー処理してから排出する
中間処理の方法
収集した廃棄物は、最終処分の前に中間処理を行って減量化します。
| 処理方法 | 内容 | 減量効果 |
|---|---|---|
| 圧縮 | プレス機で体積を小さくする | 体積を1/3〜1/5に |
| 破砕 | 粗大ごみを細かくする | 運搬効率向上 |
| 焼却 | 可燃ごみを燃やして減量 | 重量を約1/10に |
清掃用具の選び方は汚れの分類と清掃用具・機械、床材に応じた清掃は床材別清掃方法も確認しておきましょう。
確認クイズ
Q1. 建築物内の廃棄物保管場所の広さの目安として、最も適切なものはどれか。
(1) 半日分 (2) 1日分 (3) 2日分 (4) 1週間分 (5) 1か月分
Q2. 延べ床面積20,000m²の事務所ビルで、廃棄物の発生原単位が0.05 kg/(m²・日)のとき、1日あたりの廃棄物発生量はいくらか。
(1) 100 kg (2) 500 kg (3) 1,000 kg (4) 2,000 kg (5) 5,000 kg
Q3. 廃棄物の保管場所の構造として、必要でないものはどれか。
(1) 防水構造の床 (2) 排水設備 (3) 換気設備 (4) 冷凍設備 (5) ねずみ・昆虫の侵入防止構造
Q4. 廃棄物の中間処理のうち、可燃ごみの重量を最も大きく減らせる方法はどれか。
(1) 圧縮 (2) 破砕 (3) 選別 (4) 焼却 (5) 梱包
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まとめ
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 保管場所の基準 | 2日分の容量、防水・排水・換気・害虫防止が必要 |
| 発生原単位 | 事務所ビル約0.04〜0.06 kg/(m²・日) |
| 計算公式 | 1日の発生量 = 延べ床面積 × 発生原単位 |
| 分別収集 | 発生場所で分別。テナント教育が重要 |
| 中間処理 | 圧縮・破砕・焼却で減量化 |
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