理論

【電験三種・理論】コンデンサの基礎と計算(静電容量・直列並列・静電エネルギー)

結論:コンデンサは「電気をためる部品」= 静電気の応用編

記事1で学んだ静電気とクーロンの法則。その知識を使って、ここからは「コンデンサ」について学びます。コンデンサとは、ざっくり言うと「電荷をためておける部品」のこと。乾電池のようにエネルギーを蓄えられますが、充放電が超高速なのが特徴です。

🔋 静電容量

どれだけ電荷を
ためられるかの能力

🔗 直列・並列

つなぎ方で容量の
合成方法が変わる

⚡ 静電エネルギー

コンデンサに蓄えられる
エネルギーの計算

電験三種の理論科目では、コンデンサの問題は毎回のように出題されます。公式の数は多いですが、すべて記事1で学んだ静電気の原理から導かれるものです。順を追って理解していきましょう。

コンデンサの仕組み ― 2枚の金属板で電荷をためる

平行板コンデンサとは?

コンデンサの基本形は平行板コンデンサです。2枚の金属板(極板)を向かい合わせに並べ、その間に絶縁体(誘電体)を挟んだ構造です。

電池をつなぐと、一方の極板に+の電荷が、もう一方に−の電荷がたまります。電池を外しても電荷はそのまま保持される――これが「電気をためる」仕組みです。

かみ砕くと:コンデンサは「電気のダム」のようなもの。水のダムが水をためて必要なときに放流するように、コンデンサは電荷をためて必要なときに放出します。スマホのカメラのフラッシュも、コンデンサに電荷をためて一瞬で放電しているのです。

極板間の電界

平行板コンデンサの極板間には一様な電界が生じます。電界の強さは次の式で求められます。

E = Vd [V/m]

V は極板間の電圧 [V]、d は極板間の距離 [m] です。これは前回学んだ「電位差と電界の関係」そのものです。

静電容量 ― 「どれだけ電荷をためられるか」

静電容量の定義

コンデンサの性能を表す数値が静電容量(キャパシタンス)です。

静電容量の定義

C = QV [F](ファラド)

Q は蓄えられた電荷 [C]、V は極板間の電圧 [V] です。つまり「1ボルトあたりにためられる電荷の量」が静電容量です。

単位に注意:1 F(ファラド)は非常に大きな値です。実際の回路では μF(マイクロファラド = 10−6 F)や pF(ピコファラド = 10−12 F)が使われます。試験の計算でも単位変換が頻出です。

平行板コンデンサの静電容量

平行板コンデンサの静電容量は、極板の面積と間隔、そして間に挟む誘電体の種類で決まります。

平行板コンデンサの静電容量

C = ε0εr Sd [F]

記号 意味 単位
C 静電容量 [F]
ε0 真空の誘電率(8.854 × 10−12 [F/m]
εr 比誘電率(真空なら1) (無次元)
S 極板の面積 [m²]
d 極板間の距離 [m]

覚え方のコツ:静電容量を大きくするには → 「面積Sを大きく」「距離dを小さく」「誘電率の高い材料を挟む」。お皿を大きく、隙間を狭くすれば、たくさん電荷を詰め込める。食器棚に皿を収納するイメージです。

コンデンサの直列接続

直列接続の特徴

コンデンサを直列に接続すると、電荷は各コンデンサで等しくなりますが、電圧は分配されます。

直列合成容量

1C合成 = 1C1 + 1C2 + 1C3 + …

2個の場合は「和分の積」で簡単に計算できます。

C合成 = C1 × C2C1 + C2

抵抗との比較に注意:コンデンサの直列合成は抵抗の並列合成と同じ形です。逆に、コンデンサの並列合成は抵抗の直列合成と同じ形。ここを混同すると試験で失点するので、しっかり区別しましょう。

直列接続の重要な性質

性質 内容
電荷 各コンデンサの電荷はすべて等しい(Q1 = Q2 = Q3 = Q)
電圧 全体の電圧 = 各コンデンサの電圧の和(V = V1 + V2 + V3
合成容量 合成容量は個々の容量より小さくなる

コンデンサの並列接続

並列接続の特徴

並列に接続すると、電圧は各コンデンサで等しくなり、電荷は分配されます。直列とは逆のパターンです。

並列合成容量

C合成 = C1 + C2 + C3 + …

並列は単純に足すだけ。合成容量は個々の容量より大きくなります。

性質 内容
電圧 各コンデンサの電圧はすべて等しい(V1 = V2 = V3 = V)
電荷 全体の電荷 = 各コンデンサの電荷の和(Q = Q1 + Q2 + Q3
合成容量 合成容量は個々の容量より大きくなる

直列と並列の比較まとめ

コンデンサ vs 抵抗 ― 逆の関係に注意!

直列接続 並列接続
コンデンサ 逆数の和(小さくなる) そのまま足す(大きくなる)
抵抗 そのまま足す(大きくなる) 逆数の和(小さくなる)

覚え方:コンデンサは抵抗と逆! これだけ覚えれば試験で迷いません。

誘電体の効果 ― 挟むだけで容量アップ

誘電体を挿入するとどうなる?

平行板コンデンサの極板間に誘電体を挟むと、静電容量がεrに増加します。

誘電体挿入後の容量

C′ = εr C

では、すでに充電されたコンデンサに誘電体を挿入した場合はどうなるでしょうか? これは試験の定番問題です。

条件 電荷 Q 電圧 V 容量 C エネルギー W
電池つなぎっぱなし
(電圧一定)
εr 倍に増加 変化なし εr 倍に増加 εr 倍に増加
電池を外してから挿入
(電荷一定)
変化なし 1/εr に減少 εr 倍に増加 1/εr に減少

試験のコツ:「電池をつないだまま」か「外してから」かで答えが変わる。問題文の「接続したまま」「切り離してから」という一言を見落とさないようにしましょう。

静電エネルギー ― コンデンサに蓄えられるエネルギー

静電エネルギーの3つの公式

コンデンサに蓄えられるエネルギーは次の3つの式で表せます。どれを使っても同じ答えになりますが、与えられた条件によって使い分けます。

静電エネルギーの公式

① W = 12 CV2 [J]

② W = 12 QV [J]

③ W = Q22C [J]

使う場面
W = ½CV² C と V がわかっているとき(いちばん使う)
W = ½QV Q と V がわかっているとき
W = Q²/(2C) Q と C がわかっているとき(電荷一定の問題で活躍)

かみ砕くと:3つの式は Q = CV の関係で互いに変換できます。①の式に Q = CV を代入すると②に、V = Q/C を代入すると③になる。つまり暗記するのは①と Q = CV の2つだけで十分です。

試験に出る!典型的な計算パターン

パターン1:直列・並列の合成

例題

C1 = 6 μF と C2 = 3 μF のコンデンサがある。
(1)直列接続の合成容量は?
(2)並列接続の合成容量は?

【解答】

(1)直列(和分の積):

C = 6 × 36 + 3 = 189 = 2 μF

(2)並列(そのまま足す):

C = 6 + 3 = 9 μF

パターン2:静電エネルギーの計算

例題

10 μF のコンデンサに 100 V の電圧を加えて充電した。蓄えられるエネルギーは何 J か。

【解答】

C = 10 μF = 10 × 10−6 F、V = 100 V

W = ½CV² = ½ × 10 × 10−6 × 100²

W = ½ × 10 × 10−6 × 104 = 0.05 = 5 × 10−2 [J]

パターン3:誘電体挿入による変化

例題

極板間隔 d、面積 S の平行板コンデンサに電圧 V を加えて充電し、電池を外してから比誘電率 εr = 4 の誘電体を挿入した。電圧と静電エネルギーはどう変化するか。

【解答】

電池を外している → 電荷 Q は一定

容量:C′ = εrC = 4C(4倍に増加)

電圧:V′ = Q/C′ = Q/(4C) = V/4(1/4 に減少

エネルギー:W′ = Q²/(2C′) = Q²/(2 × 4C) = W/4(1/4 に減少

パターン4:コンデンサの分圧

例題

C1 = 2 μF と C2 = 4 μF を直列に接続し、全体に 60 V を加えた。C1 の両端の電圧を求めよ。

【解答】

直列接続なので電荷 Q が共通。まず合成容量を求める。

C合成 = 2 × 42 + 4 = 86 = 43 μF

Q = C合成 × V = 43 × 60 = 80 μC

V1 = QC1 = 802 = 40 V

注意ポイント:コンデンサの直列分圧は抵抗と逆の関係です。容量が小さいコンデンサに大きな電圧がかかる(C1 = 2 μF に 40 V、C2 = 4 μF に 20 V)。抵抗なら大きい方に大きな電圧がかかりますが、コンデンサは逆です。

まとめ ― 覚えるべき公式と出題のポイント

公式名 ポイント
静電容量の定義 C = Q/V 最も基本。Q = CV の形で使うことが多い
平行板の容量 C = ε0εrS/d 面積S↑・距離d↓・εr↑で容量アップ
直列合成 1/C = 1/C1 + 1/C2 抵抗の並列と同じ形
並列合成 C = C1 + C2 抵抗の直列と同じ形
静電エネルギー W = ½CV² Q = CV で残り2つの式に変換可能

学習アドバイス:コンデンサの問題は「条件を見極める」ことが合格のカギです。電池接続中なのか、外してあるのか。直列なのか並列なのか。何が一定で何が変化するのか。公式を覚えるだけでなく、「何が保存されるか」を考える習慣をつけましょう。

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