理論

【電験三種・理論】直流回路の基礎(オームの法則・合成抵抗・分圧分流・電力)

結論:直流回路は理論科目の「計算力の土台」

ここからは直流回路の計算に入ります。静電気・磁気の分野で学んだ「電荷」「電位」「電流」を実際の回路で使いこなす力が問われます。

⚡ オームの法則

V = IR
すべての回路計算の出発点

🔗 合成抵抗

直列・並列の
つなぎ方で計算が変わる

💡 電力と電力量

電気がする仕事の大きさ
計算する

直流回路の基礎は、この先の交流回路・三相回路すべてに直結します。ここでの理解が不十分だと後半で必ずつまずくので、腰を据えてしっかりマスターしましょう。

オームの法則 ― すべての計算のスタートライン

オームの法則とは?

ドイツの物理学者オームが発見した法則で、電圧・電流・抵抗の関係を表す式です。

オームの法則

V = IR [V]

記号 意味 単位
V 電圧(電位差) [V](ボルト)
I 電流 [A](アンペア)
R 抵抗 [Ω](オーム)

変形すると I = V/RR = V/I としても使えます。電験三種の計算では、この3つの変形を自在に使い分ける力が必要です。

抵抗の性質

導体の抵抗値は材質・長さ・断面積で決まります。

抵抗値の計算

R = ρ lS [Ω]

ρ(ロー)は抵抗率[Ω·m]で材質ごとに決まる定数、l は長さ [m]、S は断面積 [m²] です。

覚え方:「長ければ抵抗は大きい、太ければ抵抗は小さい」。ホースで水を流すイメージです。細くて長いホースは水が流れにくい(抵抗大)、太くて短いホースは流れやすい(抵抗小)。

温度による抵抗の変化

金属の抵抗は温度が上がると大きくなります。

Rt = R0(1 + αt) [Ω]

R0 は 0°C のときの抵抗、α は温度係数[1/°C]、t は温度 [°C] です。

合成抵抗 ― 直列と並列の計算

直列接続

直列合成抵抗

R = R1 + R2 + R3 + …

直列はそのまま足すだけ。電流はどこでも同じで、電圧が分配されます。

並列接続

並列合成抵抗

1R = 1R1 + 1R2 + …

2個の場合は「和分の積」で計算。電圧はどこでも同じで、電流が分配されます。

R = R1 × R2R1 + R2

直列と並列の性質比較

直列接続 並列接続
電流 全部同じ 分配される
電圧 分配される 全部同じ
合成抵抗 個々より大きくなる 個々より小さくなる

分圧と分流 ― 電圧・電流の配分計算

分圧の公式

直列回路で各抵抗にかかる電圧を求めるのが分圧です。

分圧の公式

V1 = R1R1 + R2 × V

抵抗が大きい方に大きな電圧がかかる。コンデンサの直列分圧とは逆です。

分流の公式

並列回路で各抵抗に流れる電流を求めるのが分流です。

分流の公式

I1 = R2R1 + R2 × I

抵抗が小さい方に大きな電流が流れる。分子が「相手の抵抗」になっている点に注意してください。

混同注意:分圧は「自分の抵抗/合計」、分流は「相手の抵抗/合計」。分圧は自分が大きいほど多くもらい、分流は相手が大きいほど多く流れる。試験本番で分子を間違える人が非常に多いポイントです。

電力・電力量・ジュールの法則

電力の3つの公式

電力の公式

① P = VI [W]

② P = I2R [W]

③ P = V2R [W]

オームの法則 V = IR を代入すると3つの式が得られます。条件に応じて使い分けましょう。

電力量

W = Pt = VIt [J] または [W·s]

電力 × 時間 = 電力量(エネルギー)です。1 kWh = 3,600,000 J = 3.6 MJ と覚えておきましょう。

ジュールの法則

抵抗で消費されるエネルギー(熱に変わるエネルギー)をジュール熱と呼びます。

Q = I2Rt [J]

実務での活用:ビルメンの現場では、電気ヒーターの消費電力やブレーカーの容量計算でこの公式を日常的に使います。たとえば「200Vの回路に1kWのヒーターを何台つなげるか」を計算するとき、P = VI から I = P/V = 1000/200 = 5A と求め、ブレーカー容量と照らし合わせます。

試験に出る!典型的な計算パターン

パターン1:直列・並列の合成と電流計算

例題

6 Ω と 3 Ω の抵抗を並列に接続し、その合成抵抗に 4 Ω の抵抗を直列に接続した。全体に 12 V を加えたとき、回路に流れる電流と 6 Ω の抵抗に流れる電流を求めよ。

【解答】

① 並列部分の合成抵抗:

R並列 = (6 × 3)/(6 + 3) = 18/9 = 2 Ω

② 全体の合成抵抗:

R合計 = R並列 + 4 = 2 + 4 = 6 Ω

③ 全体の電流:

I = V/R = 12/6 = 2 A

④ 6 Ω に流れる電流(分流の公式):

I = 36 + 3 × 2 = 69 = 2/3 A ≈ 0.67 A

パターン2:電力と電力量の計算

例題

100 V、500 W の電気ヒーターを 2 時間使用した。消費した電力量は何 kWh か。また、発生した熱量は何 kJ か。

【解答】

電力量:W = Pt = 0.5 kW × 2 h = 1 kWh

熱量:1 kWh = 3,600 kJ なので 3,600 kJ

パターン3:温度による抵抗変化

例題

0°C で 100 Ω の銅線がある。温度係数 α = 0.004 [1/°C] のとき、50°C での抵抗値を求めよ。

【解答】

R50 = 100 × (1 + 0.004 × 50) = 100 × 1.2 = 120 Ω

まとめ ― 覚えるべき公式と出題のポイント

公式名 ポイント
オームの法則 V = IR 3つの変形を使いこなす
抵抗値 R = ρl/S 長い→大、太い→小
直列合成 R = R1 + R2 足すだけ
並列合成 1/R = 1/R1 + 1/R2 2個なら和分の積
分圧 V1 = R1/(R1+R2) × V 分子は自分の抵抗
分流 I1 = R2/(R1+R2) × I 分子は相手の抵抗
電力 P = VI = I²R = V²/R 3つの式を使い分け
電力量 W = Pt 1 kWh = 3,600 kJ

学習アドバイス:直流回路の基礎はここで完成です。オームの法則・合成抵抗・分圧分流は反射的に使えるレベルまで練習しましょう。次の記事では、キルヒホッフの法則・ブリッジ回路・テブナンの定理といった応用的な解析法を学びます。基礎がしっかりしていれば、応用も怖くありません。

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