機械

変圧器の構造と原理|巻数比と起電力の式・三相結線と30°のずれ・V結線・並行運転【電験三種・機械】

直流機の特性と計算までは、回る機械の話でした。変圧器には、回る部分がありません。1つの鉄心に2つの巻線を巻き、電磁誘導を使って、交流の電圧と電流の大きさを変えます。電圧は巻数の比で決まり、電流はその逆の比になる。ここが出発点です。この記事では、変圧器のつくり、起電力の式と巻数比、極性、三相の結線、V結線、並行運転、単巻変圧器までを順に見ます。巻線の抵抗や漏れ磁束を入れた等価回路と、電圧変動率・損失・効率の計算は、次の変圧器の等価回路と計算に回しました。電気技術者試験センターが公表した機械科目の問題のうち、2022年8月(令和4年度上期)から2026年8月(令和8年度上期)までの9回ぶんを読むと、どの回も問9は変圧器で、変圧器だけを扱う問いは全部で18問ありました。うち6問が、結線・並行運転・V結線・単巻変圧器など、この記事で扱う範囲です。あとの12問は、等価回路・試験・損失・効率でした。

この記事で押さえること

  • 変圧器は、鉄心と巻線でできた、回る部分のない機械。電源につなぐ巻線が一次、負荷につなぐ巻線が二次。
  • 起電力は E=4.44fNΦm。同じ磁束が2つの巻線を通るので、巻線1回あたりの電圧は、一次も二次も同じになる。
  • 理想変圧器では V1/V2=N1/N2=a、I1/I2=1/a。電圧と電流の積は、一次と二次で変わらない。
  • 極性は、2つの巻線の電圧の差が出るか、和が出るかで見分ける。差が出るのが減極性で、日本ではこちらが標準。
  • Y結線は、巻線の電圧が線間電圧の1/√3。Δ結線は、巻線の電流が線電流の1/√3。組み合わせ方で、二次の線間電圧が変わる。
  • Δ-Y と Y-Δ では、一次と二次の電圧が30°ずれる。Δ の巻線は、励磁電流の第3調波を巻線の中で回す。
  • V結線の出力は、1台の容量の√3倍。2台の容量の合計に対する利用率は約0.866で、Δ結線の出力とくらべると約0.577倍。
  • 並行運転でそろえるのは、極性、変圧比、%インピーダンス、抵抗とリアクタンスの比。三相では角変位と相順も。容量は、そろえなくてよい。

記号と前提。V1・V2 は一次と二次の端子電圧、E1・E2 は巻線の誘導起電力で、どれも実効値です。I1・I2 は電流、N1・N2 は巻数、a は巻数比 N1/N2。f は周波数[Hz]、Φm は鉄心を通る磁束の最大値[Wb]を表します。一次は電源につなぐ側、二次は負荷につなぐ側のことで、電圧の高い低いとは別の呼び方です。昇圧に使えば、電圧の低い側が一次になります。容量の単位は kV·A と書きます(ミニテストの kVA と同じもの)。断りがなければ、巻線の抵抗・漏れ磁束・鉄損・励磁電流のない理想変圧器として計算します。計算例と確認問題に出てくる電圧・容量・巻数は、筋道を追いやすい数字を選んだもので、実際の製品の定格とは違います。

変圧器のつくり

JIS C 4304(配電用6 kV油入変圧器、2013年版)は、変圧器を次のように定義しています。電磁誘導作用によって、ある交流の電圧と電流を、周波数は同じまま、別の電圧と電流に変える、鉄心と2つの巻線でできた静止誘導機器。回る部分がないので、軸受の摩擦や風による損失は生じません。

鉄心と巻線

鉄心は、磁束の通り道です。交流の磁束が通るので、けい素を加えた薄い鋼板を重ねてつくります(薄い板を重ねる理由は、「鉄心材料と鉄損」という節を立てて電気材料の種類と特性に書きました)。巻線は、JIS の言い方では、運転のときに電源側の回路から電力を受け取るほうが一次巻線、負荷側の回路へ電力を送るほうが二次巻線です。

鉄心と巻線の位置関係で、変圧器は内鉄形と外鉄形に分かれます。名前は、鉄心がどちら側にあるかを表しています。

形 鉄心と巻線の位置
内鉄形 鉄心が内側。
鉄心の脚のまわりを、
巻線が囲む。
外鉄形 鉄心が外側。
巻線のまわりを、
鉄心が囲む。

日本電気技術者協会の講座「3巻線変圧器について」は、内鉄形の巻線の並べ方を、鉄心に近い内側が低圧巻線、外側が高圧巻線、と説明しています。高圧巻線を外に置くのは、鉄心とのあいだの絶縁距離を長くとるためです。

油入・乾式と冷却

巻線と鉄心で生じた損失は、熱になります。この熱をどう逃がし、巻線をどう絶縁するかで、変圧器の種類が分かれます。

種類 絶縁と冷却
油入
変圧器
鉄心と巻線を絶縁油に
浸す。油が、絶縁と
熱を運ぶ役を兼ねる。
耐熱クラスは A。
モールド
変圧器
巻線の表面を樹脂で
覆った、油を使わない
乾式の変圧器。耐熱
クラスは B・F・H。
ガス絶縁
変圧器
燃えない SF6 ガスを、
絶縁と冷却に使う。
特別高圧用に多い。

油入とモールドの定義は JIS C 4304 と JIS C 4306(配電用6 kVモールド変圧器)、耐熱クラスは協会の講座「変圧器の銘板に学ぶ」によります。ガス絶縁変圧器の説明は、農林水産省の「電気設備計画設計技術指針(高低圧編)」(令和元年9月)から取りました。冷やし方には、次のような方式があります。

冷却方式 冷やし方
油入自冷 油の自然な流れと、
外箱や放熱器からの
放熱だけで冷やす。
油入風冷 放熱器に、送風機で
風を当てる。
送油式 温まった油をポンプで
外へ導き、冷やして戻す。
乾式自冷 油を使わず、鉄心と
巻線を空気で冷やす。

同じ指針は、油入自冷式を、変圧器でいちばん普通に使われる冷却方式としています。鉱油は絶縁にも冷却にもすぐれていますが、万一のときに燃えるのが最大の欠点です。指針によれば、変圧器を盤の中に納めることが増えたこともあって、近年は、保守の手間が少なく防災性の高い乾式の採用が多くなっています。絶縁油の傷み方と、耐熱クラスの温度は、電気材料の種類と特性で扱いました。冷却方式を見分ける問いは、変電所の設備のミニテスト第1回の第5問にあります。

電圧が変わるしくみ

一次巻線に交流の電圧を加えると、鉄心の中に、向きと大きさが変わり続ける磁束ができます。この磁束は二次巻線の中も通るので、二次巻線にも起電力が生じます。2つのコイルが磁束を分け合う相互誘導を、鉄心で強めた形です(電磁誘導とインダクタンス)。起電力は、磁束が変化しているあいだしか生じません。直流を加えても、電圧を変えることはできません。

起電力の式を組み立てる

① 鉄心の磁束を、最大値が Φm の
正弦波 Φ=Φm sin ωt とする。

② 巻数 N の巻線の起電力は、
N×(磁束が変わる速さ)。

③ 磁束が変わる速さの最大は
ωΦm。起電力の最大値は
NωΦm=2πfNΦm

④ 実効値は、最大値÷√2。
2π/√2≒4.44

誘導起電力(実効値)

E=4.44fNΦm[V]

f は周波数、N は巻数
Φm は磁束の最大値(実効値ではない)

交流回路の基礎の計算例1で、回るコイルから出した式と同じ形をしています。あちらはコイルが回ることで、コイルを通る磁束が変わりました。こちらは、止まった巻線の中で、磁束そのものが交流で変わります。

この式には、鉄心の材質が出てきません。加える電圧と周波数と巻数が決まれば、磁束の最大値は決まってしまいます。材質が効いてくるのは、その磁束をつくるのに必要な電流の大きさのほうです(あとの「励磁電流と実際の変圧器」)。

計算例1|巻数と磁束

設定。鉄心の断面積が0.012 m2 の単相変圧器を、50 Hz で使う。磁束密度の最大値を1.5 T にとり、一次を6,600 V、二次を440 V にしたい。それぞれの巻数を求める。次に、この変圧器を、同じ6,600 V で60 Hz の電源につないだときの、磁束密度の最大値を求める。

① 磁束の最大値:
1.5×0.012=0.018 Wb

② 巻線1回あたりの起電力:
4.44×50×0.018≒4.0 V

③ 一次の巻数:
6,600/4.0=1,650回

④ 二次の巻数:
440/4.0=110回

⑤ 60 Hz の電源につなぐ:
1回あたり4.0 V は変わらない。
4.0/(4.44×60)≒0.015 Wb
0.015/0.012=1.25 T

読み取り。巻線1回あたりの電圧は、一次も二次も4.0 V です。同じ磁束が、両方の巻線を通っているからです。巻数の比1,650:110=15:1 が、そのまま電圧の比になります。

周波数が高いと、同じ電圧を、少ない磁束で受け止められます。60 Hz では、磁束密度が1.5 T から1.25 T に下がりました。このあとの計算例は、すべてこの変圧器を使います。

巻数比と電圧・電流

理想変圧器

V1/V2=N1/N2=a

I1/I2=N2/N1=1/a

V1I1=V2I2

a は巻数比
添字の1は一次、2は二次

理想変圧器は、次の3つを仮定した変圧器です。巻線に抵抗がない。磁束は残らず両方の巻線を通る。鉄心に損失がなく、磁束をつくるための電流もいらない。この仮定のもとでは、端子電圧は起電力に等しく、電圧の比は巻数の比になります。

電流が巻数に反比例するわけは、磁束から説明できます。二次巻線に負荷の電流が流れると、その電流は、鉄心の磁束を打ち消す向きに働きます(レンツの法則)。ところが磁束の大きさは、一次に加えた電圧で決まっています。磁束を保つために、一次巻線には、打ち消されたぶんを埋め合わせる電流が電源から流れ込みます。釣り合うのは、巻数と電流の積が、一次と二次で等しくなったときです。

二次につないだ負荷を一次の側から見ると、インピーダンスは a の2乗倍に見えます。電圧が a 倍、電流が1/a 倍だからです。この見方で変圧器と負荷を1つの回路にまとめたものが、次の記事で扱う等価回路です。

計算例2|定格の電流

設定。計算例1の変圧器(6,600/440 V、巻数1,650回と110回)の定格容量は、66 kV·A である。一次と二次の定格電流を求める。次に、二次の電流が120 A のときの、一次の電流を求める。

① 巻数比:
1,650/110=15

② 二次の定格電流:
66,000/440=150 A

③ 一次の定格電流:
66,000/6,600=10 A

④ 巻数と電流の積:
一次 1,650×10=16,500
二次 110×150=16,500

⑤ 二次が120 A のとき:
120/15=8 A

読み取り。電圧は15分の1に、電流は15倍になります。電圧と電流の積は、一次も二次も66,000 V·A です。④の2つの積が等しいことが、電流が巻数に反比例することの中身です。

JIS C 4304 は、定格容量を、決められた温度上昇の限度を超えずに二次の端子間に得られる皮相電力、と定めています。単位は kV·A です。

励磁電流と実際の変圧器

実際の変圧器は、二次に何もつながなくても、一次に小さな電流が流れます。鉄心に磁束をつくるための電流で、励磁電流といいます。励磁電流は、磁束をつくる磁化電流と、鉄損をまかなう鉄損電流に分けて考えます。協会の講座「変圧器の銘板に学ぶ」によると、磁化電流は磁束と同相、鉄損電流は一次に加えた電圧と同相です。

JIS C 4304 は、無負荷のときの電流(無負荷電流)を、定格電流に対する百分率で表すことにしています。この規格の表にある上限は、いちばん大きいものでも、単相が3.5%、三相が6.5%です。計算例2の変圧器で2%なら、0.2 A。定格の10 A にくらべて小さいので、電流の比を考えるときは、多くの場合、無視できます。

励磁電流は、きれいな正弦波になりません。鉄心には磁気飽和とヒステリシスがあるからです(この2つは磁気の基礎と電磁力で説明しました)。試験センターの公開問題も、正弦波の電圧を加えた無負荷の変圧器の電流は正弦波にならず、第3調波をはじめとする高調波を含む、としています。この第3調波が、あとの三相の結線で問題になります。

理想変圧器
の仮定
実際の変圧器では
巻線の
抵抗が0
抵抗がある。
電圧降下と、熱になる
損失(銅損)が生じる。
磁束が全部
両方を通る
片方の巻線だけを通る
漏れ磁束がある。
電圧降下のもとになる。
鉄損も励磁
電流も0
鉄損がある。無負荷でも
励磁電流が流れる。

この3つの違いを、抵抗やリアクタンスに置きかえて1つの回路にしたものが、変圧器の等価回路です。負荷をかけると二次の電圧がどれだけ下がるか、損失はいくらか、という計算は、変圧器の等価回路と計算で扱います。公開問題には、一次巻線に負荷の電流と励磁電流を重ねて流す点で、誘導機と変圧器は等価回路がよく似ている、という趣旨の問いもありました(誘導電動機の原理と構造)。

周波数と磁束

計算例1の⑤では、周波数を50 Hz から60 Hz に上げると、磁束が6分の5になりました。逆向きは注意が要ります。60 Hz 用につくった変圧器を、同じ電圧のまま50 Hz で使うと、磁束は1.2倍必要です。協会の講座は、鉄心は周波数に合わせて経済的に設計されているので、磁束が1.2倍になると磁気飽和に近づき、励磁電流が増える、と説明しています。同じ講座によれば、一般に、60 Hz 専用の変圧器は50 Hz で使えません。50 Hz 用は、インピーダンス電圧が約20%高くなることを見込めば、60 Hz で使えます。

電圧と周波数をいっしょに下げれば、磁束は変わりません。インバータで電動機の速さを変えるとき、電圧と周波数の比を一定に保つのは、磁束を変えないためです。この使い方は誘導電動機の始動法と速度制御で出てきます。

磁気飽和は、電源を入れた瞬間にも顔を出します。止めてあった変圧器に電圧を加えると、鉄心に残っていた磁束に、新しくできる磁束が上乗せされて、鉄心が飽和することがあります。このとき流れる大きな電流を、励磁突入電流と呼びます。協会の講座「変圧器励磁突入電流によるトラブルとその対応」によると、大きさは場合によって定格電流の10倍(ピーク値)にもなり、片側に突き出た波形で、時間とともに減っていきます。

極性と端子の記号

巻線には、巻く向きがあります。一次と二次の端子に、同じ瞬間にどちら向きの電圧が出るか。この関係が極性です。JIS C 4304 は、単相変圧器の一次の端子を U・V、二次の端子を u・v と呼んでいます。極性には、次の2つがあります。

極性 端子の関係と試験での読み
減極性 向かい合う端子(U と u)
が、同じ極性になる。
試験の電圧計は、一次と
二次の電圧の差を指す。
加極性 向かい合う端子が、
逆の極性になる。
試験の電圧計は、一次と
二次の電圧の和を指す。

極性は、次の手順で確かめます(極性試験)。向かい合う端子の片方どうし、たとえば V と v を電線でつなぎます。一次の U と V のあいだに電圧を加え、残った U と u のあいだの電圧を測ります。協会の講座「三相変圧器の位相変位」は、電圧計の読みが、一次と二次の電圧の差なら減極性、和なら加極性、と説明しています。

JIS C 4304 は「極性は、減極性とする」と定めています。同じ講座によると、日本では、一次と二次の巻線が混触したときに、より安全な減極性が標準になっています。極性がなぜ大事かは、2台の変圧器をつなぐ「並行運転」のところで出てきます。

計算例3|極性試験

設定。計算例1の変圧器(巻数比15)の極性を確かめる。一次の端子 V と二次の端子 v をつなぎ、一次の U と V のあいだに、300 V の交流電圧を加えた。U と u のあいだにつないだ電圧計は、減極性なら何 V、加極性なら何 V を指すか。

① 二次に出る電圧:
300/15=20 V

② 減極性のとき:
300−20=280 V

③ 加極性のとき:
300+20=320 V

読み取り。加える電圧は、定格の6,600 V でなくてかまいません。知りたいのは、差が出るか和が出るかだけです。加えた300 V より小さい読みなら減極性、大きい読みなら加極性、と見分けられます。

三相の結線

三相の電圧を変えるには、単相変圧器を3台組むか、3相ぶんを1つにまとめた三相変圧器を使います。巻線のつなぎ方は、Y(星形)と Δ(三角)の2つです。JIS C 4304 の定義では、星形結線は、それぞれの相の巻線の一端を共通の中性点につなぎ、他端を線路の端子につないだもの。三角結線は、相の巻線を、輪になるように直列につないだものです。一次と二次の組み合わせで、4通りの結線ができます。

巻線にかかる電圧

結線 巻線1つの電圧と電流
Y結線 電圧は、線間電圧の
1/√3。
電流は、線電流と同じ。
中性点を引き出せる。
Δ結線 電圧は、線間電圧と同じ。
電流は、線電流の
1/√3。
中性点がない。

√3が付く理由は、三相交流回路の「Y結線|線間電圧は2つの相電圧の差」で説明しました。変圧器の巻数比が決めるのは、巻線1つどうしの電圧の比です。線間電圧の比は、巻数比に、結線による√3が掛かったり、割られたりします。

計算例4|結線と二次電圧

設定。計算例1の単相変圧器(6,600/440 V、巻数比15)を3台使い、線間電圧6,600 V の三相電源につなぐ。一次と二次の結線を4通りに変えたときの、二次の線間電圧を求める。

① 一次が Δ のとき:
一次巻線に6,600 V がかかる。
二次巻線は 6,600/15=440 V

② 一次が Y のとき:
一次巻線は 6,600/√3≒3,811 V
二次巻線は 3,811/15≒254 V

③ 二次の線間電圧:
二次が Δ なら、巻線の電圧と同じ。
二次が Y なら、その√3倍。

結線
一次-二次
一次
巻線
二次
巻線
二次の
線間
Δ-Δ 6,600 V 440 V 440 V
Δ-Y 6,600 V 440 V 約762 V
Y-Δ 約3,811 V 約254 V 約254 V
Y-Y 約3,811 V 約254 V 440 V

読み取り。同じ3台でも、つなぎ方によって、二次の線間電圧が254 V・440 V・762 V の3通りになります。一次と二次の線間電圧の比は、Δ-Δ と Y-Y が巻数比と同じ15、Δ-Y が 15/√3≒8.66、Y-Δ が 15×√3≒26.0 です。

一次を Y にした2つでは、巻線に、定格の約58%の電圧しかかかっていません。この3台を、一次が Y のまま定格いっぱいに使うなら、電源の線間電圧は 6,600×√3≒11,430 V まで上げられます。Y結線は、高い線間電圧を、低い巻線の電圧で受け止められるつなぎ方です。

4つの組み合わせの性格

結線 性格
Y-Δ
Δ-Y
Δ の巻線が、第3調波の
励磁電流を回す。
Y の側で、中性点を
接地できる。一次と二次
の電圧が30°ずれる。
Δ-Δ 両方の Δ が、第3調波を
回す。中性点はとれない。
一次と二次は同相。
単相3台なら、1台を外して
V結線にできる。
Y-Y 両方で中性点を接地
できる。一次と二次は
同相。第3調波を回せず、
電圧がひずむ。

農林水産省の指針は、使い分けを次のように説明しています。受変電用の変圧器には、Y を高圧の一次、Δ を低圧の二次にしたものが多く使われます。Δ を高圧の一次、Y を低圧の二次にするのは、低圧側を400 V 級の配電にして、中性点を接地して使う場合です。Δ-Δ は中性点をとれませんが、高圧は非接地の系統なので、配電用や受変電用に使われます。Y-Y は、第3調波の電流を回せないので電圧がひずみ、通信線に障害を出します。

送電用の大きな変圧器は、事情が違います。協会の講座「3巻線変圧器について」によると、電力系統で使う275 kV 以下の送電用変圧器は、一次も二次も Y にして、電圧の階級ごとに中性点をつくります。そのうえで、Δ につないだ三次巻線を足します(Y-Y-Δ)。Δ の巻線がないと、励磁電流に含まれる第3調波のために、電圧が正弦波からひずんでしまうからです。この三次巻線には、調相設備をつなぎます(変電所の設備)。

計算例4で見たように、Y は、巻線にかかる電圧が線間電圧の1/√3 ですみます。中性点も接地できます。電圧の高い側を Y にする、という考え方でいくと、電圧を下げる変圧器なら一次が Y の Y-Δ、上げる変圧器なら二次が Y の Δ-Y になります。ただし、指針の400 V 級の例のように、電圧の低い側を Y にして中性点を使うこともあります。「Y-Δ は降圧用、Δ-Y は昇圧用」と決まっているわけではありません。どちらの側で中性点を使いたいのか、から読むと整理できます。

第3調波とΔ巻線

磁束をきれいな正弦波に保つには、励磁電流に第3調波が含まれていなければなりません(「励磁電流と実際の変圧器」)。ところが第3調波は、3つの相で位相がそろっています(三相交流回路)。Y結線で中性線がないと、3相とも同じ向きの電流には、流れる道がありません。励磁電流から第3調波が抜け、そのぶん磁束がひずんで、誘導される電圧に第3調波が現れます。

Δ結線の巻線が1つでもあれば、話が変わります。第3調波の電流は、Δ の輪の中を回って流れることができます。線路には出ていかずに、磁束を正弦波に近く保ちます。Y-Y に Δ の三次巻線を足すのは、このためです。協会の同じ講座によれば、66 kV/6.6 kV の配電用変圧器では、三次巻線を外に引き出さず、中に収めたままにします(内蔵デルタ巻線)。

30°のずれ

Δ-Δ と Y-Y は、一次と二次の線間電圧が同相です。Δ-Y と Y-Δ では、30°ずれます。Y の線間電圧は、巻線の電圧(相電圧)と30°ずれているのに、Δ の線間電圧は、巻線の電圧そのものだからです。一次と二次のこの位相の差を、位相変位(角変位)といいます。協会の講座「三相変圧器の位相変位」は、JIS の接続記号ごとに、ずれの向きを次のように説明しています。

接続記号 結線と、二次の電圧の位相
Dd0 Δ-Δ。一次と同相。
Yy0 Y-Y。一次と同相。
Dy11 Δ-Y。
一次より30°進む。
Yd1 Y-Δ。
一次より30°遅れる。

記号の大文字は電圧の高い側の巻線、小文字は低い側の巻線の結線です(配電用の変圧器では、一次と二次にあたります)。数字は時計の文字盤になぞらえたもので、JIS C 4304 は時数と呼んでいます。電圧の高いほうの巻線の電圧を、12時を指す分針に見立てます。電圧の低いほうの巻線の電圧を時針に見立てて、何時を指すかで位相を表します。1時は30°遅れ、11時は30°進みです。同じ Δ-Y でも、Δ の巻線をつなぐ順を逆にすると、進みと遅れが入れかわります。

大きさが同じでも、位相が30°違う2つの電圧のあいだには、差の電圧が残ります。大きさは、元の電圧の約52%(2×sin 15°)。これが、次の節の並行運転で効いてきます。

V結線

Δ-Δ につないだ単相変圧器3台のうち、1台を取り除きます。それでも、残った2台で、三相の電圧をそのまま保てます。3つの線間電圧は、足すと0になる関係にあります。2台が2つの線間電圧を出していれば、3つめは、開いた2つの端子のあいだに現れます。これがV結線(V-V結線)です。

農林水産省の指針は、使い方として、はじめは2台のV結線で運転しておいて将来1台を足す場合と、1台が故障したときの応急運転を挙げています。そのうえで、三相変圧器は信頼性が高く、場所をとらず、単相3台より安いので、V結線はあまり使われなくなってきている、としています。容量の違う2台を組んで、単相と三相の負荷に同時に送る異容量V結線は、配電方式と配電計算で紹介しました。

出力と利用率

Δ結線では、線電流は巻線の電流の√3倍でした。V結線では、巻線の電流がそのまま線電流になります。巻線の定格電圧を V、定格電流を I とすると、線電流は I までしか流せません。

V結線

出力:√3VI
1台の容量 VI の√3倍

利用率:√3VI/(2VI)
=√3/2≒0.866

Δ結線との比:√3VI/(3VI)
=1/√3≒0.577

0.866と0.577は、くらべる相手が違います。利用率は、据えつけてある2台の容量の合計に対して、どれだけ出力を取り出せるかの割合です。0.577は、3台そろった Δ結線の出力に対する割合で、利用率とは別の量です。試験センターの公開問題でも、V結線にすると変圧器の利用率はおよそ0.866倍になる、という記述は正しい側に入っています。

2台の容量を使いきれないのは、巻線の電圧と電流の位相がずれるからです。負荷の力率が1でも、V結線の2台では、巻線の電圧と電流が30°ずれます(1台は進み、もう1台は遅れ)。1台が出す有効電力は VI×cos 30° で、2台を合わせて √3VI です。

計算例5|V結線の出力と損失

設定。計算例2の変圧器(66 kV·A、二次は440 V・150 A)を3台、Δ-Δ につないで使っている。(a)Δ-Δ の出力と、1台を外してV結線にしたときの出力を求める。(b)負荷が99 kV·A のときの巻線の電流を、Δ-Δ とV結線でくらべる。(c)1台あたりの無負荷損を300 W、定格電流での負荷損を1,200 W として、(b)のときの損失の合計をくらべる。

①(a)Δ-Δ の出力:
3×66=198 kV·A

②(a)V結線の出力:
√3×440×150
≒114,300 V·A=114.3 kV·A

③ 利用率と、Δ結線との比:
114.3/(2×66)≒0.866
114.3/198≒0.577

④(b)二次の線電流:
99,000/(√3×440)≒129.9 A

⑤(b)巻線の電流:
Δ-Δ 129.9/√3=75 A
(定格の0.5倍)
V結線 129.9 A
(定格の約0.866倍)

⑥(c)負荷損の合計:
負荷損は電流の2乗に比例する。
Δ-Δ 3×1,200×0.25=900 W
V結線 2×1,200×0.75=1,800 W

⑦(c)無負荷損を足す:
Δ-Δ 900+3×300=1,800 W
V結線 1,800+2×300=2,400 W

読み取り。同じ99 kV·A を送るのに、V結線の負荷損は Δ-Δ の2倍です。1台の電流が√3倍(2乗で3倍)になり、台数は3分の2になるので、3×2/3=2 倍。無負荷損は1台ぶん減りますが、合計では V結線のほうが大きくなりました。

負荷が軽いと、逆になります。33 kV·A なら、Δ-Δ は 100+900=1,000 W、V結線は 200+600=800 W。この変圧器では、約57 kV·A が分かれ目です。協会の講座「変圧器の並行運転と台数制御について」も、負荷が大きく減ったときは、Δ-Δ を V-V に変えて運転するほうが損失が少なくなる、として、分かれ目の求め方を説明しています。

変圧器が4台あれば、V結線を2組つくって並べることもできます。出力は 2×114.3=228.6 kV·A で、3台の Δ-Δ の約1.15倍。4台ぶんの264 kV·A には届きません。無負荷損と負荷損の中身は、変圧器の等価回路と計算で扱います。

並行運転

2台以上の変圧器の、一次どうしと二次どうしをつないで、1つの負荷に電力を送ることを、並行運転といいます。負荷が増えたときに変圧器を足したり、負荷に合わせて運転する台数を変えたりするのに使います。うまく分担させるには、変圧器どうしの性質がそろっていなければなりません。

そろえる条件

そろえるもの そろっていないと
極性 2台の二次の電圧が、
輪の中で足し合わさる。
大きな循環電流が流れ、
巻線が焼ける。
変圧比 二次の電圧に差が出る。
負荷がなくても循環電流
が流れ、巻線が過熱する。
%インピー
ダンス
容量に見合った分担に
ならない。片方が先に
定格に達する。
抵抗とリア
クタンス比
2台の電流の位相が
ずれる。取り出せる電力
が、2台の出力の和より
小さくなる。
角変位
と相順

三相のとき
二次の電圧に、位相の
差が残る。大きな循環
電流が流れる。

上の4行の右の列は、試験センターの公開問題で正しい側に入っている記述を、短く言い直したものです。いちばん下の行は、協会の講座「三相変圧器の位相変位」によります。定格容量は、この表に入っていません。協会の講座は、同じ定格のものを使うのが一般的としたうえで、容量が違うときは、%抵抗降下と%リアクタンス降下がそれぞれ等しければ、容量に比例して負荷を分け合う、と説明しています。

%インピーダンスは、定格電流を流したときに巻線のインピーダンスで生じる電圧降下が、定格電圧の何%にあたるかを表す値です。JIS C 4304 では短絡インピーダンスと呼びます。くわしい意味と測り方は、次の記事に回します。

三相の変圧器では、結線の組み合わせも条件に入ります。協会の講座「三相変圧器の位相変位」が、できる組み合わせとできない組み合わせを整理しています。

組み合わせ 並行運転
Δ-Δ と Δ-Δ
Y-Y と Y-Y
Δ-Δ と Y-Y
できる。
どちらも、一次と二次が
同相。
Δ-Y と Δ-Y
Y-Δ と Y-Δ
できる。
ずれの向きと大きさが
同じ。
Δ-Δ と Δ-Y
Y-Y と Y-Δ
など
できない。
片方だけが30°ずれる。
Δ-Y と Y-Δ 巻線のつなぎ方で、
ずれをそろえた
ときだけできる。

30°の差が残ると、2台の二次のあいだに、線間電圧の約52%にあたる電圧がかかります(「30°のずれ」)。これを受け止めるのは、巻線のインピーダンスだけです。計算例6で見るように、巻線のインピーダンスによる電圧降下は、定格電流を流しても定格電圧の数%しかありません。52%もの電圧がかかれば、定格を大きく超える電流が流れます。

計算例6|負荷の分担

設定。計算例2の変圧器 A(66 kV·A、%インピーダンス3.0%)と、変圧器 B(44 kV·A、4.0%)を並行運転する。定格電圧はどちらも6,600/440 V。極性は同じで、抵抗とリアクタンスの比も等しい。(a)合計99 kV·A の負荷をかけたときの、2台の分担を求める。(b)B の二次の無負荷電圧だけが、1%(4.4 V)高かったとする。負荷がなくても流れる循環電流を求める。

① 二次側で見た A の値:
定格電流150 A で3.0%の降下。
440×0.03/150=0.088 Ω

② 二次側で見た B の値:
定格電流は 44,000/440=100 A
440×0.04/100=0.176 Ω

③ 電流の分かれ方:
並列なので、反比例する。
A:B=0.176:0.088=2:1

④(a)2台の分担:
A 99×2/3=66 kV·A
B 99×1/3=33 kV·A

⑤ 定格に対する割合:
A 66/66=100%
B 33/44=75%

⑥(b)循環電流:
4.4/(0.088+0.176)≒16.7 A

読み取り。2台の定格の合計は110 kV·A あるのに、99 kV·A で A がいっぱいになります。%インピーダンスの小さい A が、容量の比(3:2)より多い2:1で引き受けるからです。分担の比は、容量を%インピーダンスで割った値の比(66/3.0:44/4.0=22:11)でも出せます。2台とも4.0%なら、分担は容量どおりの66:44になり、110 kV·A まで使えます。

(b)の16.7 A は、B の定格電流100 A の約17%にあたります。負荷とは関係なく、2台のあいだを回り続けて、巻線を温めます。容量も%インピーダンスも違う2台の分担は、変電所の設備のミニテスト第1回の第4問でも練習できます。

いろいろな変圧器

ここまでは、一次と二次の巻線が別々になった、ふつうの変圧器(二巻線変圧器)の話でした。公開問題には、巻線のつくりやつなぎ方を変えた変圧器も出てきます。

単巻変圧器

単巻変圧器は、巻線の一部を、一次と二次で共用する変圧器です。共用する部分を分路巻線、共用しない部分を直列巻線といいます。電圧を上げて使うなら、電源を分路巻線の両端につなぎ、負荷を、分路巻線と直列巻線を合わせた全体の両端につなぎます。

単巻変圧器の2つの容量
電圧を上げて使う場合

負荷容量:V2I2
負荷に送る皮相電力

自己容量:(V2−V1)I2
直列巻線の電圧×電流

負荷に届く電力の大部分は、巻線どうしの電磁誘導を通らずに、電線でつながった回路をそのまま流れます。変圧器として受け持つのは、自己容量のぶんだけです。公開問題では、単巻変圧器は、巻線の一部が共通なので漏れ磁束が少なく、電圧変動率が小さい、とされています。三相に結線して、電力系統の電圧を変えるのにも使われます。一次と二次の回路が、巻線を通じてじかにつながっている点は、ふつうの変圧器と違います。

計算例7|単巻変圧器の容量

設定。単相の単巻変圧器で、6,000 V を6,600 V に上げて、負荷に50 A を送る。巻線のインピーダンスと励磁電流は考えない。負荷容量、一次の電流、2つの巻線の電流、自己容量を求める。

① 負荷容量:
6,600×50=330 kV·A

② 一次の電流:
330,000/6,000=55 A

③ 直列巻線:
電圧 6,600−6,000=600 V
電流は負荷と同じ50 A

④ 自己容量:
600×50=30 kV·A

⑤ 分路巻線:
電圧6,000 V
電流 55−50=5 A
6,000×5=30 kV·A

読み取り。330 kV·A を送るのに、巻線が受け持つのは30 kV·A。11分の1です。電圧を1割上げるだけなら、変圧器は1割ぶんほどの大きさですみます。

④と⑤が同じ30 kV·A になるのは、直列巻線と分路巻線が、ふつうの変圧器の2つの巻線と同じ関係にあるからです。上げ下げする電圧の幅が大きくなるほど、自己容量は負荷容量に近づき、この利点は小さくなります。巻数比が1対1の単巻変圧器を、単相3線式の電圧をそろえるのに使う例(バランサ)は、配電方式と配電計算にあります。

スコット結線と計器用変成器

名前 はたらき
スコット
結線
単相変圧器2台で、
三相を、位相が90°違う
2つの単相に変える。
計器用
変圧器
高い電圧を、計器に
加えられる低い電圧に
変える。
変流器 大きな電流を、計器に
流せる小さな電流に
変える。

三相の電源から大きな単相の負荷をとると、3つの相の電流がそろわなくなります。スコット結線は、単相の負荷を2つに分けて受け持ち、三相の側の電流をそろえる結線です。協会の講座「変圧器のスコット(T)結線とその使用例」は、使われる場所として、交流式の電気鉄道、電気炉、非常用予備発電装置の単相負荷を挙げています。

変流器は、二次を開いたままで使ってはいけません。「巻数比と電圧・電流」で見たように、ふつうは二次の電流が、一次の電流による磁束を打ち消しています。二次を開くと打ち消す電流がなくなり、一次の電流がすべて励磁電流になって、二次の端子に高い電圧が現れます。公開問題も、変流器は電流計をつなぐなどして、二次を短絡した状態で使う必要がある、としています。計器用変成器の使い方と読みの直し方は、電気計測と測定器で扱いました。

取り違えやすい点の整理

項目 こう考える
一次と二次 電源の側が一次、
負荷の側が二次。
高圧・低圧とは別。
4.44の式
の磁束
最大値を入れる。
実効値ではない。
磁束を
決めるもの
電圧・周波数・巻数。
鉄心の材質ではない。
電流の比 巻数比の逆数。
電圧の比とは逆になる。
極性 差が出れば減極性、
和が出れば加極性。
標準は減極性。
線間電圧
の比
Δ-Y と Y-Δ では、
巻数比に√3が掛かるか、
√3で割られる。
一次と二次
の位相
Δ-Y と Y-Δ は30°ずれる。
Δ-Δ と Y-Y は同相。
V結線の
0.866と0.577
0.866は、2台の容量に
対する利用率。
0.577は、Δ結線の出力
との比。
並行運転
と容量
容量はそろえなくてよい。
そろえるのは
%インピーダンス。
単巻変圧器
の容量
自己容量は、
負荷容量より小さい。
スコット結線
の2つの単相
位相の差は90°。
180°ではない。

理解度チェック

最後に3問あります。計算例と表を見返せば解ける問いを、当サイトでつくりました。解答欄には、外れの選択肢がどういう計算から出る値なのかも書いてあります。

確認1|磁束の最大値

一次巻線が550回の単相変圧器がある。この一次巻線に、周波数60 Hz、実効値3,300 V の正弦波の電圧を加えた。鉄心を通る磁束の最大値は何 mWb か。巻線の抵抗と漏れ磁束はないものとして、もっとも近い値を選べ。

  1. (1)15.9
  2. (2)22.5
  3. (3)25.0
  4. (4)27.0
  5. (5)100

確認2|V結線で送れる電力

定格容量20 kV·A の単相変圧器2台をV結線にして、力率0.8(遅れ)の平衡した三相負荷に電力を送る。どちらの変圧器も定格を超えないようにすると、送れる有効電力は最大で何 kW か。もっとも近い値を選べ。

  1. (1)16.0
  2. (2)18.5
  3. (3)27.7
  4. (4)32.0
  5. (5)34.6

確認3|結線と運転

変圧器の結線と運転について述べた次の(1)〜(5)から、誤っているものを1つ選べ。

  1. (1)減極性の単相変圧器で、向かい合う端子の片方どうしをつなぎ、一次に電圧を加えると、残りの端子のあいだには、一次と二次の電圧の差が現れる。
  2. (2)Δ-Δ結線の変圧器と Δ-Y結線の変圧器は、二次の線間電圧の大きさをそろえれば、並行運転できる。
  3. (3)Y-Y結線の変圧器に Δ結線の三次巻線を足すと、励磁電流の第3調波が Δ の中を回り、電圧のひずみが抑えられる。
  4. (4)電圧を上げるのに使う単巻変圧器では、自己容量は負荷容量より小さい。
  5. (5)2台の変圧器の%インピーダンスが等しければ、定格容量が違っていても、容量に比例して負荷を分け合う。

まとめと次に読むところ

  • 変圧器は、鉄心と2つの巻線でできた静止器。電源側が一次、負荷側が二次。
  • 起電力は E=4.44fNΦm。磁束の最大値は、電圧・周波数・巻数で決まる。
  • 理想変圧器では、電圧の比は巻数比、電流の比はその逆数。実際には、励磁電流・巻線の抵抗・漏れ磁束がある。
  • 差が出るのが減極性、和が出るのが加極性。日本の標準は減極性。
  • Y は巻線の電圧が線間電圧の1/√3、Δ は巻線の電流が線電流の1/√3。Δ-Y と Y-Δ は、一次と二次が30°ずれる。
  • Δ の巻線は、励磁電流の第3調波を回して、電圧のひずみを抑える。
  • V結線の出力は1台の√3倍。利用率は約0.866、Δ結線の出力との比は約0.577。
  • 並行運転は、極性・変圧比・%インピーダンス・抵抗とリアクタンスの比をそろえる。三相は角変位と相順も。分担は、容量÷%インピーダンスの比。
  • 単巻変圧器は、巻線の一部を共用する。自己容量は負荷容量より小さい。

問題で確かめる・続きを読む

この記事のリンク先と根拠の資料は、2026年10月7日に開いて読みました。問いの数は、冒頭に書いた9回ぶんの機械科目の公開問題を、1問ずつ読んで数えました。励磁電流に高調波が含まれること、V結線の利用率、並行運転の条件がそろわないときに起きること、単巻変圧器の巻線の呼び名と性質、変流器の二次を開いてはいけないこと、誘導機と変圧器の等価回路が似ていることは、該当する問いを公式の解答と照らし、正しい側の記述だと確かめたうえで書いています。スコット結線の位相差は、公開問題では誤りの側の記述に出てくるので、協会の講座にあたって90°と確認しています。問題の文章は、この記事に引用していません。変圧器・油入変圧器・一次巻線と二次巻線・定格容量・無負荷電流・短絡インピーダンス・星形結線と三角結線・接続記号と時数の定義、極性を減極性とする規定は JIS C 4304(2013年版)、モールド変圧器の定義は JIS C 4306(2013年版)によります。JIS の条文は、規格を公開しているウェブサイトで確認しました。原文にあたるときは、上の JIS検索のページを使います。JIS は改正されることがあるので、仕事に使う場合は最新の版を見てください。極性試験、接続記号ごとの位相変位、並行運転できる結線の組み合わせ、耐熱クラス、周波数と磁束・励磁電流の関係、磁化電流と鉄損電流、並行運転の条件、V-V に切りかえる分かれ目、送電用変圧器の Y-Y-Δ と内蔵デルタ巻線、内鉄形の巻線の並べ方、スコット結線の使い道、励磁突入電流は、日本電気技術者協会の講座6本(上のリストにリンクがあります)によります。変圧器の種類、冷却方式、結線の使い分け、V結線が使われなくなってきていることは、農林水産省の「電気設備計画設計技術指針(高低圧編)」(令和元年9月)の3.2によります。内鉄形と外鉄形が鉄心と巻線の位置関係による分類であること、送油式の冷やし方は、百科事典(日本大百科全書・世界大百科事典)の「変圧器」の項で確かめました。起電力の式の組み立て、電流が巻数に反比例する理由、電圧の高い側を Y にするという考え方、V結線で3つめの電圧が現れる理由と利用率が1にならない理由、30°ずれた電圧の差が約52%になること、単巻変圧器の読み取りは、資料の文をなぞったものではなく、本文の式をもとに自分で組み立てた説明です。計算例と確認問題の数値も、同じ式から自分で計算しました。書いているのは、電験三種を独学で勉強中の受験者で、変圧器の設計や保守の仕事をした経験にもとづく記事ではありません。

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