結論:変圧器の計算は「%Z」と「損失の比」がカギ
前回は変圧器の構造と原理を学びました。今回は、実際の変圧器の特性を数値で表す等価回路、そして試験で頻出の電圧変動率・損失・効率の計算を学びます。
📐 等価回路
変圧器の損失を
R と X で表現
📉 電圧変動率
負荷時にどれだけ
電圧が下がるか
⚖️ 効率
鉄損と銅損から
効率と最大効率を計算
変圧器の等価回路
実際の変圧器の損失
理想変圧器では損失ゼロでしたが、実際の変圧器には以下の損失があります。
無負荷試験と短絡試験
| 試験 | 測定するもの | 方法 |
|---|---|---|
| 無負荷試験 | 鉄損 Pi | 二次側を開放し、一次側に定格電圧を加える。ワットメータの読みが鉄損 |
| 短絡試験 | 銅損 Pc、%Z | 二次側を短絡し、一次側に定格電流が流れる電圧を加える。ワットメータ=銅損、電圧÷定格電圧=%Z |
覚え方:「無負荷で鉄損、短絡で銅損」。無負荷=電流ほぼゼロ→銅損なし→鉄損だけ測れる。短絡=電圧低い→磁束小さい→鉄損ほぼゼロ→銅損だけ測れる。
%インピーダンス(%Z)
%Zとは
短絡試験で定格電流を流すために必要な電圧を、定格電圧に対する百分率で表したものです。
%インピーダンス
%Z = VsVn × 100 [%]
Vs:短絡試験時の一次電圧、Vn:定格電圧
%Zは%抵抗降下(%R)と%リアクタンス降下(%X)に分解できます。
%Z = √(%R² + %X²)
【練習問題①】%Zの計算
【問題】定格容量 500 kVA、定格一次電圧 6,600 V の変圧器。短絡試験で定格電流を流したところ、一次電圧が 330 V であった。%Z を求めよ。
電圧変動率
電圧変動率とは
変圧器に負荷をかけると、二次側の電圧が無負荷時より下がります。この変化の割合が電圧変動率です。
電圧変動率
ε = V20 − V2V20 × 100 [%]
V20:無負荷時の二次電圧、V2:定格負荷時の二次電圧
%R・%Xを使った近似式(超重要!)
電圧変動率の近似式
ε ≈ %R cosθ + %X sinθ [%](遅れ力率の場合)
覚え方:送電線の電圧降下の式とまったく同じ構造!「R に cos、X に sin」のペアは変圧器でも同じです。
【練習問題②】電圧変動率
【問題】変圧器の %R = 1.5%、%X = 4.0%。力率 cosθ = 0.8(遅れ)のとき、電圧変動率 [%] を求めよ。
変圧器の効率
効率の公式
変圧器の効率
η = PoutPout + Pi + Pc × 100 [%]
Pout:出力、Pi:鉄損(一定)、Pc:銅損(可変)
出力 Pout = 定格容量 [kVA] × 負荷率 m × cosθ で表せます。また、銅損は負荷率の2乗に比例するため Pc = m² × Pcn(Pcn:定格時の銅損)です。
最大効率の条件(超重要!)
最大効率の条件
鉄損 = 銅損 (Pi = m² Pcn)
このとき m = √PiPcn
暗記必須:「鉄損=銅損のとき効率最大」。固定損と可変損が等しくなるポイントが最大効率です。これは変圧器だけでなく、多くの電気機器に共通する法則です。
【練習問題③】効率の計算
【問題】定格容量 100 kVA の変圧器。鉄損 Pi = 400 W、定格負荷時の銅損 Pcn = 1,600 W。全負荷(m=1)、力率 cosθ = 0.8 のときの効率 [%] を求めよ。
【練習問題④】最大効率時の負荷率
【問題】上の変圧器(Pi = 400 W、Pcn = 1,600 W)の効率が最大になる負荷率 m を求めよ。
全日効率
変圧器は24時間通電されることが多いため、1日を通した効率も重要です。
全日効率
ηd = 1日の出力電力量 [Wh]1日の出力電力量 + 1日の損失電力量 × 100
鉄損は24時間一定(鉄損電力量 = Pi × 24 h)ですが、銅損は負荷がかかっている時間だけ発生します。全日効率を良くするには鉄損を小さくすることが重要です。
理解度チェック
【第1問】
変圧器の鉄損を測定する試験はどれか。
(1) 短絡試験 (2) 無負荷試験 (3) 温度上昇試験 (4) 絶縁抵抗試験 (5) 耐電圧試験
【第2問】
変圧器の %R = 2%、%X = 3%、力率 cosθ = 0.6(遅れ)のとき、電圧変動率 [%] に最も近いものはどれか。
(1) 2.4 (2) 3.0 (3) 3.6 (4) 5.0 (5) 6.0
【第3問】
変圧器の効率が最大になる条件はどれか。
(1) 銅損が最小になるとき
(2) 鉄損が最小になるとき
(3) 銅損 = 鉄損のとき
(4) 負荷率が1のとき
(5) 力率が1のとき
【第4問】
定格容量 50 kVA、鉄損 200 W、定格銅損 800 W の変圧器がある。効率が最大となる負荷率はいくらか。
(1) 0.25 (2) 0.4 (3) 0.5 (4) 0.7 (5) 0.8
まとめ
- 損失:鉄損(無負荷損・一定)+銅損(負荷損・I²に比例)
- 測定:無負荷試験→鉄損、短絡試験→銅損・%Z
- %Z = 短絡電圧/定格電圧 × 100
- 電圧変動率:ε ≈ %R cosθ + %X sinθ(遅れ力率)
- 最大効率の条件:鉄損 = 銅損のとき。m = √(Pi/Pcn)
- 全日効率:鉄損は24時間一定。鉄損低減が全日効率向上のカギ
次の記事では、「誘導電動機の原理と構造」を学びます。交流モーターの世界に入りましょう。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。