火力発電の計算は、「燃料から入る熱」と「取り出す電力」を同じ単位で比べるのが出発点です。この第1回では、機器の役割と、効率の分母・分子を選べるかを5問で確認します。
すべて当サイト独自の学習問題です。各問で正しいものを1つ選び、解答欄でほかの4つが違う理由も確認してください。数値は計算練習用の設定で、実在する発電所の性能値ではありません。
説明を読みながら進める場合は、火力発電の仕組みと熱効率|発電端・送電端・コンバインド計算を参照できます。追加演習は火力発電ミニテスト第2回、火力発電ミニテスト第3回です。
始める前に|熱量と電力の単位をそろえる
第1・2問は機器と熱の流れ、第3〜5問は計算です。紙には選んだ番号だけでなく、計算に使った単位も残しましょう。正解数だけで合否を判定するテストではなく、復習する箇所を見つけるための演習です。
| 量 | 単位の関係 | 確認する点 |
|---|---|---|
| エネルギー | 1 kWh=3,600 kJ | 一定時間の合計量 |
| 電力・熱入力の速さ | 1 kW=1 kJ/s | 1秒あたりの量 |
| 毎時の燃料量 | 1 t/h=1,000 kg/h | kg/sにはさらに3,600で割る |
| 効率の表記 | 40%=0.40 | 掛け算・割り算は小数で扱う |
燃料1 kgの発熱量と、発電所へ1秒間に入る熱入力は別の量です。また、以下の計算では定常運転を仮定し、燃料の発熱量基準は各問の中で統一します。高位・低位発熱量の切替えによる換算は行いません。
第1問|給水ポンプと復水器の役割を区別する
水・蒸気を循環させる単純な汽力発電設備を考える。復水器から液体の水が出て、給水ポンプ、ボイラー、蒸気タービンの順に流れる。給水ポンプと復水器の通常の働きとして、正しい組合せはどれか。
(1)ポンプ:蒸気を膨張させて仕事を得る/復水器:蒸気へ熱を与える
(2)ポンプ:液体の圧力を下げる/復水器:蒸気から熱を奪って水にする
(3)ポンプ:仕事を使って液体を加圧する/復水器:蒸気から熱を奪って水にする
(4)ポンプ:仕事を使って液体を加圧する/復水器:蒸気の膨張から軸の仕事を得る
(5)ポンプ:加熱によって水を蒸気にする/復水器:外部への放熱を止める
第2問|温める流体と熱源から再熱・再生を見分ける
汽力発電所の系統図に、次の2つの経路がある。
A:高圧タービンを出た蒸気を加熱器へ戻し、温め直してから次段タービンへ送る。
B:タービン途中の蒸気の一部を取り出し、その熱でボイラーへ向かう給水を予熱する。
A・Bが表すサイクル上の工夫の組合せとして、正しいものはどれか。
(1)A:再熱/B:再生
(2)A:再生/B:再熱
(3)A:再熱/B:排ガスによる給水加熱
(4)A:再生/B:排ガスによる空気予熱
(5)A:復水/B:再生
第3問|毎時の燃料量から発電端熱効率を求める
燃料を毎時18.0 t消費し、発電機端子で64.0 MWを取り出している。燃料の発熱量を32,000 kJ/kgとする。単位時間あたりの燃料熱入力と、発電端熱効率の組合せとして正しいものはどれか。
(1)16.0 MW、400%
(2)1,600 MW、4.00%
(3)160 MW、60.0%
(4)576,000 MW、約0.0111%
(5)160 MW、40.0%
第4問|所内消費を引き、送電端の熱消費率まで求める
別の発電所では、燃料熱入力225 MW、発電端出力90.0 MW、所内消費電力6.30 MWで運転している。送電端出力は発電端出力から所内消費だけを引くものとする。送電端熱効率と、送電端の電力量1 kWhあたりに必要な燃料熱量(熱消費率)の組合せはどれか。熱消費率は整数に四捨五入する。
(1)33.0%、10,909 kJ/kWh
(2)37.2%、9,677 kJ/kWh
(3)40.0%、9,000 kJ/kWh
(4)42.8%、8,411 kJ/kWh
(5)37.2%、1,339 kJ/kWh
第5問|目標の合成効率から排熱の回収割合を逆算する
簡略化したコンバインドサイクル(ガス側と蒸気側を組み合わせた発電)で、燃料熱入力300 MWに対し、ガス側から126 MWの電力を得る。蒸気側は受け取った熱の35.0%を電力へ変える。
合成熱効率を56.21%にするには、ガス側で電力にならない分の何%を蒸気側へ熱として渡す必要があるか。追加燃焼はなく、圧縮機・発電機・補機などの損失は指定の電力と効率に含まれ、別途差し引く項目はない。
(1)35.00%
(2)40.60%
(3)58.00%
(4)70.00%
(5)160.60%
解き終えたら|間違いを計算の手順へ戻す
| 問題 | 見直す点 | もう一度説明すること |
|---|---|---|
| 第1問 | 機器の役割 | 加圧・受熱・仕事・放熱の違い |
| 第2問 | 再熱と再生 | 温める対象と熱源 |
| 第3問 | 熱入力の単位 | kg/hからkg/sへ直す理由 |
| 第4問 | 電力の測定位置 | 所内消費を引いてから効率を求める理由 |
| 第5問 | 熱の受渡し | 残余分・回収割合・蒸気側効率の順序 |
電卓の数字が合っていても、式の分母を説明できない問題は解き直してみてください。設備のカタログを読むときにも、発電端か送電端か、高位発熱量(HHV)か低位発熱量(LHV)か、定格か部分負荷かを確かめてから効率を比べます。
HHVは燃焼で生じる水蒸気の凝縮熱を含み、LHVはそれを含まない基準です。同じ燃料量と発電出力でも、分母に使う発熱量を変えると効率の表示値が変わります。これは設備が急に高性能になったという意味ではありません。
次の学習先
- 基本を読み直す:火力発電の仕組みと熱効率
- 同じテーマを練習する:火力発電ミニテスト第2回・火力発電ミニテスト第3回
- 前のテーマ:水力発電ミニテスト|有効落差・出力・水車・揚水効率
- 次のテーマ:原子力発電と新エネルギー ミニテスト第1回
- 科目全体を確認する:電験三種の受験ガイド
出典・公式資料の確認先
定義・仕組みを次の資料で確認しました。設問、選択肢、数値例、整理表は当サイトで作成しており、資料の演習問題や図表の転載ではありません。
- パワーアカデミー「熱効率」:発電端・送電端の定義を確認できます。掲載されている設備の効率水準を、現在の全設備に共通する値としては使っていません。
- MIT OpenCourseWare「Thermomechanical Conversion II」(英語PDF):2〜3枚目にランキンサイクル、8枚目に再熱、10枚目に給水加熱、19枚目に複合サイクルの熱収支があります。本問の回収割合を含む計算は、指定した条件に沿って収支を立てています。
- 三菱重工「ガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント」:排熱で蒸気を作り、ガス側と蒸気側を組み合わせる仕組みを確認できます。
- 日本冷凍空調学会「高位発熱量と低位発熱量」:凝縮熱の扱いと、効率を比較するときの基準の違いを確認できます。
- 電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の問題と解答」:公式公開問題の確認先です。本ページの5問は公式問題ではありません。
内容・出典確認日:2026年9月7日。試験問題に効率の定義、測定位置、損失や発熱量の条件が指定された場合は、その条件を優先して計算してください。
※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。
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