この5問は、公式9.8QHηを暗記するだけでなく「総落差から損失落差を引く→水車・発電機の効率を区別する→運転条件に合う水車を選ぶ→電力と電力量を分ける」手順を診断するミニテストです。
水の密度を1,000 kg/m³、重力加速度を9.8 m/s²とする試験用の近似を使います。問題・数値・選択肢は当サイトで作成したオリジナルで、過去問題の転載・改変ではありません。
水路式・ダム式・揚水式、水車の種類を先に復習する場合は「水力発電の仕組みと計算|出力・水車・揚水式」を確認してください。実設備の出力計画では、流況、摩擦・局部損失、効率曲線、環境維持流量なども個別に評価します。
解く前の前提|落差・効率・時間の基準をそろえる
| 量・設備 | このテストで使う関係 | よくある取り違え |
|---|---|---|
| 有効落差H | 総落差H0から導水路・水圧管などの損失落差hlossを引く | 総落差を損失なしで出力式へ入れる、または損失を足す |
| 水力発電出力P | P=ρgQHηtηg [W]、近似形はP=9.8QHηtηg [kW] | 効率を割る、%を80のまま掛ける、kWとWを混同する |
| 水車 | 落差、流量、比速度、部分負荷特性などに合う形式を選ぶ | 高落差用・低落差用を名前だけで逆に覚える |
| 揚水発電 | 揚水入力→貯水池に蓄えた位置エネルギー→発電出力の順に効率を掛ける | 発電効率だけを往復効率とする、または効率で割って出力を増やす |
| 年間発電電力量 | E=Prated×8,760 h×設備利用率 | 発電機効率と設備利用率を同じ意味として二重に掛ける |
採点のしかた
- 流量はm³/s、落差はm、効率と設備利用率は0〜1の無次元量へそろえます。
- 総落差と有効落差、瞬時の出力kWと期間の電力量kWhを区別します。
- 求めた効率が100%以下、出力が理論水力ρgQH以下になっているか検算します。
- 5問中4問以上に正解し、翌日に単位とエネルギーの流れまで説明できれば次へ進みます。
第1問|水の位置エネルギーから9.8QHηを導く
水の密度ρ=1,000 kg/m³、重力加速度g=9.8 m/s²、流量Q [m³/s]、有効落差H [m]、水車効率ηt、発電機効率ηgとする。発電端出力P [kW]を表す式はどれか。
(1)P=9.8QHηtηg
(2)P=9.8QH/(ηtηg)
(3)P=9,800QHηtηg
(4)P=QHηtηg/9.8
(5)P=9.8Q(H2)ηtηg
第2問|総落差から損失を引き、水車・発電機効率を掛ける
総落差72.0 m、導水系の損失落差7.0 m、使用水量3.00 m³/s、水車効率88.0%、発電機効率96.0%の水力発電所がある。発電端出力として最も近いものはどれか。
(1)1.61 MW
(2)1.91 MW
(3)1.96 MW
(4)2.26 MW
(5)16.1 MW
第3問|落差と流量から代表的な水車形式を対応させる
水車の詳細選定には比速度や効率曲線も必要である。ここでは一般的な適用傾向だけを考える。高落差・比較的小流量の地点Aと、低落差・大流量の地点Bに対応する代表的な水車の組合せはどれか。
(1)A:ペルトン水車、B:カプラン水車
(2)A:カプラン水車、B:ペルトン水車
(3)A:プロペラ水車、B:ペルトン水車
(4)A:フランシス水車、B:ペルトン水車
(5)A:カプラン水車、B:フランシス水車
第4問|揚水と発電の効率を順に掛けて往復効率を求める
揚水運転へ120 MWhの電力量を入力する。電動機・ポンプ・水路をまとめた揚水側効率を85.0%、水路・水車・発電機をまとめた発電側効率を90.0%とし、待機中の損失は無視する。回収できる発電電力量と往復効率の組合せはどれか。
(1)91.8 MWh、76.5%
(2)102 MWh、85.0%
(3)108 MWh、90.0%
(4)120 MWh、100%
(5)141 MWh、117.6%
第5問|設備利用率から年間発電電力量を求める
定格出力1.50 MWの水力発電所について、流量変動・停止期間・出力抑制をまとめた年間設備利用率を55.0%とする。1年を8,760時間として、年間発電電力量に最も近いものはどれか。
(1)0.825 GWh
(2)3.98 GWh
(3)7.23 GWh
(4)13.1 GWh
(5)72.3 GWh
結果の読み方|どのエネルギー段階へ戻るか
| 間違えた問題 | 戻る項目 | 再テストの完了条件 |
|---|---|---|
| 第1問 | ρgQHとkW換算 | 係数9.8の由来と効率を掛ける理由を単位から説明できる |
| 第2問 | 総落差・損失落差・有効落差 | H=H0−hlossとして理論水力以下の出力を出せる |
| 第3問 | 水車の適用傾向 | ペルトン・フランシス・カプランを落差と流量で位置づけられる |
| 第4問 | 揚水発電のエネルギー連鎖 | 揚水側と発電側の効率を順に掛け、往復効率を求められる |
| 第5問 | 出力と電力量 | MW×h=MWhと設備利用率の意味を区別できる |
追加演習は水力発電ミニテスト第2回、第3回へ進めます。前のテーマへ戻る場合は電気計測ミニテスト、次の電力分野は火力発電ミニテストです。
公式資料と計算条件の確認先
- 電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者の試験概要」:電力科目と五肢択一方式
- 第三種電気主任技術者試験の問題と解答:公表問題と本番の発電計算
- J-POWER「水力発電事業について」:一般水力・揚水発電と水力設備の位置づけ
- J-POWER「揚水式水力発電所の仕組み」:上池・下池と発電・揚水の流れ
- BIPM「SI Brochure, 9th edition」:W、J、m³、sとSI接頭語の表記確認
問題・解説・公式資料確認日/最終更新日:2026年9月3日
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