「架空送電線路」のミニテスト第3回(全5問)です。
テストの使い方
まず自分で答えを考えてから「解答を見る」をタップしてください。間違えた問題は解説記事に戻って確認すると効果的です。
第1問
送電線の電圧階級が高くなるほど、懸垂がいしの連結個数を増やすのはなぜか。
(1)がいし連全体の機械的な強さを増して、電線の重量に耐えるため
(2)電圧が高いほど、必要な沿面距離が長くなるため
(3)がいし1個ずつの分担電圧を完全に均一にするため
(4)風圧による電線の振れを抑えるため
(5)通信線への誘導障害を防ぐため
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正解:(2)電圧が高いほど、必要な沿面距離が長くなるため
がいしが絶縁を保っているのは、単なる空間の隙間の距離だけでなく、がいしの表面をたどった距離=沿面距離によります。ひだ(かさ)が何段も付いているのは、限られた全長で沿面距離をかせぐためです。懸垂がいしは直径250 mmのものを標準に、必要な数だけ連結して使うので、電圧が上がれば個数を増やして沿面距離を確保します。個数は電圧階級だけでなく汚損のきびしさでも変わり、塩害地域ではさらに増えます(第5問)。個数を固定値として覚えるのではなく、「電圧が上がれば増え、汚れるところではさらに増える」という向きでつかんでください。(1)(4)がいし連は直列につないだ鎖なので、個数を増やしても機械的な強さは1個分のままです。風圧による振れは、電線の張力や鉄塔とのオフセットで扱います。(3)連の各個に加わる電圧は等分されず、電線に近い側ほど大きく分担します。個数を増やしても均一にはならないので、両端にアークホーンやシールドリングを付けて分担をならします。(5)誘導障害はねん架や離隔で扱う話です(第2回の第3問、およびこの回の第4問)。
第2問
両端の支持点が同じ高さにある架空送電線で、弛度(たるみ)D=10 m、径間 S=400 m であった。電線の実長は、径間より約何m長いか。ただし電線の形は放物線で近似できるものとする。
(1)約0.17 m
(2)約0.33 m
(3)約0.67 m
(4)約1.33 m
(5)約2.67 m
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正解:(3)約0.67 m
実長と径間の差は L-S ≒ 8D2/(3S) で近似できます。数字を入れると 8×102/(3×400)=800/1,200=0.666…、約0.67 mです。実長は約400.67 mで、径間に対する伸びは0.17 %ほどしかありません。10 mもたるんでいるのに、電線の長さ自体は径間より1 m も長くない——この感覚をつかんでおくと、温度で電線が少し伸びただけでたるみが大きく変わる理由が腑に落ちます(第1回の第3問は、これと逆向きに、伸びからたるみを求めています)。放物線で近似できるのは、たるみが径間に比べて十分小さいときです。ここでは D/S=10/400=1/40 なので問題ありません。(1)係数を8ではなく2として計算した値です。(2)係数を4とするか、径間を800 mと読み違えた値です。(4)径間を200 mとして計算した値です。(5)弛度を20 mとして計算した値です。係数の8と分母の3はセットで覚え、径間と弛度のどちらが2乗になるかを取り違えないでください。
第3問
長距離の送電線やケーブル系統で、軽負荷または無負荷のときに現れるフェランチ効果とは、どのような現象か。
(1)受電端の電圧が、送電端より低くなる現象
(2)受電端の電圧が、送電端より高くなる現象
(3)負荷電流が定格を超えて増える現象
(4)負荷の力率が遅れ側へ大きく下がる現象
(5)電圧が短い周期で振動を続ける現象
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正解:(2)受電端の電圧が、送電端より高くなる現象
送電線には電線と大地とのあいだに静電容量があり、ここに進み位相の充電電流が流れています。負荷が重いときは遅れ電流のほうが上回るので、線路のリアクタンスによる電圧降下が効いて受電端のほうが低くなります。ところが軽負荷・無負荷になると進み電流が上回り、リアクタンスに進み電流が流れることで電圧が持ち上がって、受電端のほうが高くなります。これがフェランチ効果です。線路が長いほど、また対地静電容量の大きいケーブル系統ほど起きやすく、深夜の軽負荷時などに問題になります。対策は、進み分を打ち消す分路リアクトルを入れる、調相設備で力率を調整する、といったものです。(1)は負荷が重いときの通常の状態で、フェランチ効果とは逆向きです。(3)フェランチ効果が出るのは軽負荷のときなので、負荷電流はむしろ小さい状態です。(4)力率の低下そのものを指す言葉ではありません。(5)電圧の振動は別の現象です。多導体にして静電容量が大きくなるとこの効果が出やすくなる点は、第2回の第1問とつながっています。
第4問
送電線と並行する通信線への電磁誘導障害を小さくする対策として、適切なものはどれか。
(1)通信線を送電線と、より長い区間にわたって並行させる
(2)送電線と通信線の離隔距離を大きくし、並行する区間を短くする
(3)鉄塔上の架空地線を取り外す
(4)中性点を抵抗接地から直接接地に変えて、地絡電流を大きくする
(5)がいしの連結個数を減らす
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正解:(2)送電線と通信線の離隔距離を大きくし、並行する区間を短くする
誘導障害には2種類あります。静電誘導は送電線の電圧に、電磁誘導は流れる電流と、通信線が並行している長さに比例します。とくに問題になるのは、地絡事故のときに大きな零相電流が流れて起きる電磁誘導です。どちらも、離れれば弱くなり、並行する区間が短ければ小さくなります。ですからいちばん素直な対策は、離隔をとることと、並行区間を短くすることです。(1)並行区間を長くすれば誘導は大きくなります。向きが逆です。(3)架空地線には、送電線の電流と逆向きの電流が流れて誘導を打ち消す遮へい効果があるので、外すと誘導は大きくなります。(4)直接接地にすると地絡電流が大きくなり、電磁誘導も大きくなります。誘導障害の面では、地絡電流を抑える抵抗接地などのほうが有利です。(5)がいしの個数は絶縁の話で、誘導障害とは別です(第1問)。このほか線路側の対策としては、各相の位置を入れ替えて三相の打ち消しをそろえるねん架があります(第2回の第3問)。
第5問
海に近い区間で、がいしの表面に塩分が付着して起きる汚損(塩害)への対策として、適切なものはどれか。
(1)がいしの連結個数を減らす
(2)定期的にがいしを洗浄し、汚損のきびしい区間には長幹がいしや耐塩がいしを使う
(3)がいし表面のひだ(かさ)をなくして、つるつるの形にする
(4)送電電圧を下げて運用する
(5)架空地線を2条に増やす
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正解:(2)定期的にがいしを洗浄し、汚損のきびしい区間には長幹がいしや耐塩がいしを使う
塩分などの汚れが表面に付くと、湿ったときにそこを電流が流れやすくなり、沿面距離が実質的に短くなったのと同じことになります。この状態からフラッシオーバに至るのを防ぐため、汚れを落とす(活線洗浄や停電洗浄)、継ぎ目がなく汚れのたまりにくい長幹がいしを使う、ひだを深くした耐塩がいしを使う、連結個数を増やして沿面距離に余裕を持たせる、といった対策を組み合わせます。(1)個数を減らすと沿面距離が短くなり、汚損に弱くなります。向きが逆です(第1問)。(3)ひだは限られた全長で沿面距離をかせぐためのものなので、なくすと絶縁は下がります。(4)送電電圧は系統全体で決まるもので、塩害のために下げることはできません。(5)架空地線を増やすのは雷の遮蔽の話で、汚損とは別です(第2回の第5問)。
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