電力

電気材料の種類と特性 ミニテスト【第2回】

「電気材料の種類と特性」のミニテスト第2回(全5問)です。扱うのはけい素鋼板・渦電流損と周波数・ニクロム・軟磁性と硬磁性・n形の不純物の5つで、1問ずつ短く確かめます。計算と、数字の比べ方は第1回にあります。

電気材料の種類と特性 ミニテスト

第1回 第2回 第3回

テストの使い方

まず自分で答えを考えてから「解答を見る」をタップしてください。間違えた問題は解説記事に戻って確認すると効果的です。

第1問

変圧器の鉄心にけい素鋼板を使うのは、おもにどの理由からか。

(1)導電率が高いため
(2)永久磁石として使えるため
(3)鉄損(ヒステリシス損と渦電流損)を小さくできるため
(4)耐熱温度が最も高いため
(5)半導体の性質をもつため

解答を見る

正解:(3)鉄損(ヒステリシス損と渦電流損)を小さくできるため
けい素鋼は、鉄にけい素を数%混ぜた鋼です。日本機械学会の事典は、電気抵抗と透磁率が大きい、と説明しています。抵抗が大きいと、鉄心の中を回る渦電流が小さくなり、渦電流損が減ります。透磁率が大きく保磁力の小さい材料は、ヒステリシス損も小さくてすみます。
(1)逆です。けい素を混ぜると抵抗率が上がり、導電率は下がります。導電率の高さを使うのは、巻線の銅です。(2)永久磁石には、保磁力の大きい材料を使います。鉄心はその反対です。(4)耐える温度の高さで選ぶのは、絶縁材料です。(5)けい素(シリコン)は半導体の材料にもなりますが、けい素鋼板は金属で、半導体ではありません。
けい素は、増やすと鋼板が硬くもろくなるので、約3%までにとどめてきました(第1回の第4問の(3))。板を薄くして重ねる理由は、第3回の第4問です。

第2問

最大磁束密度が同じとき、鉄心の渦電流損の特徴として正しいものはどれか。

(1)周波数に比例する
(2)周波数の2乗に比例する
(3)周波数に反比例する
(4)周波数に無関係である
(5)板の厚さに反比例する

解答を見る

正解:(2)周波数の2乗に比例する
鉄損は2つに分かれます(電気学会の用語解説)。
・ヒステリシス損:周波数に比例
・渦電流損:周波数・最大磁束密度・板の厚さの、それぞれ2乗に比例。材料の導電率にも比例
(1)ヒステリシス損のほうの性質です。(3)周波数が上がると磁束の変化が速くなり、渦電流は増えます。(5)逆です。厚さの2乗に比例するので、薄い板ほど小さくなります。
(4)は、条件が違うときの答えです。電圧を一定にして周波数だけを上げると、磁束密度は周波数に反比例して下がります。周波数と磁束密度の積が変わらないので、渦電流損はほぼ変わりません。問題文の「最大磁束密度が同じとき」は、この場合と分けるための条件です。
磁束密度が同じまま50 Hz を60 Hz にすると、渦電流損は1.2×1.2=1.44倍、ヒステリシス損は1.2倍です。測った鉄損を2つに分ける計算は解説記事の計算例3、式の形は電磁誘導とインダクタンスにあります。

第3問

電気ヒーターの発熱体にニクロム(ニッケルとクロムの合金)を使うのは、おもになぜか。

(1)金属の中で導電率が最も高いため
(2)抵抗率が高く、高温でも酸化しにくいため
(3)抵抗の温度係数が小さいため
(4)銅に対する熱起電力が大きいため
(5)磁束をよく通す磁性材料であるため

解答を見る

正解:(2)抵抗率が高く、高温でも酸化しにくいため
JIS C 2520 の電熱用ニッケルクロム1種は、体積抵抗率が1.08 μΩ·m です。標準軟銅(0.017241 μΩ·m)の約63倍なので、短い線でも大きな抵抗になります。同じ規格は、耐酸化性がよく、発熱体の表面で約1,100 ℃ まで使える、としています。
(1)導電率が最も高い金属は銀です。発熱体には、反対に抵抗率の高い材料を使います。(3)抵抗器用のニッケルクロムには、温度係数の小さい種類があります(JIS C 2532 の108種)。ただ、これは値を変えたくない抵抗器で役に立つ性質で、発熱体に使う理由ではありません。(4)熱電対にも使える銅ニッケル(コンスタンタン)の性質です。(5)鉄心の材料に求める性質です。同じ108種は非磁性です。
温度係数も熱起電力も小さい合金は、銅マンガン(マンガニン)です(第3回の第5問)。3つの合金の使い分けは、解説記事の「抵抗材料は合金でつくる」にあります。

第4問

軟磁性材料と硬磁性材料の説明として、正しいものを選べ。

(1)軟磁性材料は保磁力が大きく、永久磁石に使われる
(2)硬磁性材料は透磁率が大きく、鉄心に使われる
(3)軟磁性材料は保磁力が小さく、磁化の向きを変えやすい
(4)硬磁性材料は保磁力が小さく、磁化しやすい
(5)軟磁性材料と硬磁性材料に、性質の違いはない

解答を見る

正解:(3)軟磁性材料は保磁力が小さく、磁化の向きを変えやすい
2つを分けるのは保磁力です。残った磁気を0に戻すのに要る、逆向きの磁界の強さをいいます。
・軟磁性材料:保磁力が小さい。透磁率が大きい。鉄心に使う(電磁鋼板、ソフトフェライト、アモルファス)
・硬磁性材料:保磁力が大きい。逆向きの磁界を受けても、磁気が消えにくい。永久磁石に使う(アルニコ、フェライト磁石、ネオジム磁石)
(1)保磁力の大きさも使いみちも、硬磁性材料の説明になっています。(2)鉄心に使うのは軟磁性材料で、透磁率が大きいのもそちらです。(4)保磁力が小さいのは軟磁性材料です。(5)鉄心は磁化の向きがたえず入れかわり、磁石は磁気をずっと保ちます。求める性質は反対です。
保磁力が小さい材料ほど鉄損も小さいことは、第1回の第4問の(1)で確かめました。ヒステリシスの輪の読み方は、解説記事の「磁性材料は2種類ある」にあります。

第5問

シリコンに少し加えると n形半導体ができる元素はどれか。

(1)ホウ素(B)
(2)インジウム(In)
(3)リン(P)
(4)ガリウム(Ga)
(5)アルミニウム(Al)

解答を見る

正解:(3)リン(P)
シリコンの価電子(いちばん外側の電子)は4個です。価電子が5個のリンを少し加えると、結合に入れない電子が1個ずつ余り、結晶の中を動けるようになります。電子が多数キャリアの n形です。ヒ素やアンチモンでも同じです。
(1)(2)(4)(5)は、4つとも価電子が3個の元素です。結合の電子が1個足りず、その抜けたところが正孔になります。できるのは、正孔が多数キャリアの p形です。
n は negative(負)、p は positive(正)の頭文字で、多数キャリアのもつ電気の符号を表します。結晶そのものが負や正に帯電するわけではありません(第1回の第5問の(2))。p形のキャリアは第3回の第3問、元素の一覧は半導体と電子回路にあります。「n型」「p型」と書いてあっても、同じものです。

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-電力