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パワーエレクトロニクス ミニテスト第1回|整流・サイリスタ・PWMの5問

パワーエレクトロニクスの計算は、回路名だけでなく、電圧の基準と負荷の条件から式を選びます。整流した電圧の平均と、抵抗で消費する電力に使う実効値は別の量です。

この第1回は、整流波形・半導体の動作・直流変換・PWMを扱う独自の5問です。まず答えを1つ選び、「解答を見る」で計算と全選択肢の理由を確認してください。

公式の導出から復習する場合はパワーエレクトロニクスの解説記事へ。追加演習はミニテスト第2回・第3回から進められます。

第1問|相電圧から三相ブリッジの出力を求める

平衡した正弦波三相電源を、理想ダイオード6個の三相全波ブリッジで整流する。電源はY結線で、相電圧の実効値が110 V、電源周波数が50 Hzである。

負荷は抵抗だけとし、平滑コンデンサは接続しない。電源インピーダンス、配線の電圧降下、転流の重なりは無視する。出力電圧の平均値と、出力電圧に含まれる脈動の基本周波数の組み合わせはどれか。平均値は小数第1位まででよい。

  1. (1)約148.6 V、300 Hz
  2. (2)約257.3 V、300 Hz
  3. (3)約257.3 V、150 Hz
  4. (4)約269.4 V、300 Hz
  5. (5)約99.0 V、100 Hz

第2問|点弧角90°でも抵抗で電力を消費するか

実効値120 Vの正弦波単相電源に、理想サイリスタ4個の単相全制御ブリッジを接続する。負荷は12 Ωの抵抗だけで、コイル、平滑コンデンサ、還流ダイオードは付けない。

正負それぞれの半周期の開始から90°遅らせて適切な対のサイリスタを点弧し、電流は電源電圧の零点で消滅する。素子の電圧降下や転流の重なりを無視すると、負荷電圧の平均値と、抵抗の平均消費電力の組み合わせはどれか。

  1. (1)0 V、0 W
  2. (2)約54.0 V、約243 W
  3. (3)約108.0 V、1200 W
  4. (4)約54.0 V、600 W
  5. (5)約84.9 V、600 W

第3問|ラッチング電流と保持電流を読み分ける

通常のサイリスタ(SCR)について、ある温度・試験条件でラッチング電流IL=80 mA、保持電流IH=35 mAとする。GTOではない。以下は同じ条件での動作記録である。

  1. 十分なゲートパルスで点弧し、アノード電流が100 mAになってからゲートパルスを取り除いた。
  2. その後、外部回路によってアノード電流を50 mAへゆっくり減らした。
  3. さらに外部回路で主電流をゼロにし、指定のターンオフ時間を満たす逆バイアスを与えた。その後、ゲート信号なしで順方向電圧を再び加えた。

順方向電圧はブレークオーバ電圧より低く、急な電圧変化による誤点弧もないものとする。この記録について正しい説明はどれか。

  1. (1)100 mAであっても、ゲートパルスを取り除いた時点で必ずオフになる。
  2. (2)50 mAは80 mAより小さいので、記録2でオフになる。
  3. (3)35 mAは、点弧に必要なゲート電流の値である。
  4. (4)記録3の最後は、順方向電圧を加えるだけでオンに戻る。
  5. (5)記録2では導通を保ち、記録3の消弧後は順方向電圧を再印加してもオフを保つ。

第4問|同じ通流率の降圧・昇圧を比較する

回路Aは降圧チョッパ、回路Bは昇圧チョッパで、互いに独立している。いずれも直流入力90 V、スイッチの通流率D=0.40で運転する。通流率は1周期のうちスイッチがオンの時間の割合である。

両回路とも損失のない理想回路で、定常状態とする。コイル電流は常に流れる連続電流モードで、出力電圧の脈動は十分小さい。各回路の負荷はそれぞれ360 Wを消費する。

Aの直流出力電圧、Bの直流出力電圧、各回路が電源から取る平均入力電流の組み合わせはどれか。最後の電流は2回路の合計ではない。

  1. (1)A:36 V、B:150 V、各4.0 A
  2. (2)A:36 V、B:225 V、各4.0 A
  3. (3)A:54 V、B:150 V、各4.0 A
  4. (4)A:36 V、B:150 V、各10 A
  5. (5)A:150 V、B:36 V、各4.0 A

第5問|PWMの短い平均と交流の周期を区別する

直流電圧280 Vから交流を作る単相フルブリッジインバータを考える。出力電圧が+280 Vと−280 Vの2値を取るバイポーラPWMとし、素子の電圧降下や切替の時間を無視する。

40 Hzの正弦波指令と8 kHzの三角波キャリアを比較して制御している。正弦波指令はキャリアの振幅内にあり、過変調はない。あるキャリア1周期では、+280 Vの時間が65%、−280 Vの時間が35%であった。

そのキャリア1周期の出力電圧の平均値と、出力の目的とする基本波の周波数の組み合わせはどれか。

  1. (1)182 V、40 Hz
  2. (2)84 V、8 kHz
  3. (3)84 V、40 Hz
  4. (4)0 V、40 Hz
  5. (5)280 V、40 Hz

解き直しに使う2つの整理表

読み分ける量 どこを見るか
相電圧・線間電圧 三相整流の約2.34倍は相実効値、約1.35倍は線間実効値が基準。
平均値 波形を符号付きで時間平均する。PWMでは平均を取る区間も指定する。
実効値 二乗→時間平均→平方根。抵抗の電力は実効値の二乗を抵抗で割る。
基本波・キャリア 目的の交流の周期と、その中でパルスを作る速さを分ける。
式・動作 先に確認する条件
制御整流のcosα 全制御ブリッジで負荷電流が連続するか。抵抗だけの波形と混同しない。
SCRの導通保持 点弧直後はIL、成立後はIH。消弧には回復時間も必要。
降圧D、昇圧1/(1−D) 標準回路・定常・コイル電流連続・損失無視。Dはオン時間の割合。
入出力の電力収支 入力側か出力側かを明記。理想回路なら両側の平均電力が等しい。

間違えた問題は、数字を入れる前に「どの電圧か」「どの時間の平均か」「電流は連続か」を余白に書いてみてください。第3問では、点弧直後と導通中という時間の順序を追うと、2つの電流の違いが整理できます。

復習と次の演習

原理を確かめる技術資料

回路と動作条件は次の一次資料で確認しています。問題の数値・設定、選択肢、計算過程は本ページ用に作成しました。

2026年10月25日確認・改訂。公式試験問題や資料の図表を転載せず、適用条件を読み分けるための独自問題5問として作成しています。

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