ミニテスト 理論

半導体・電子回路ミニテスト|ダイオード・BJT・FET・オペアンプ5問

この5問は、素子名を暗記するだけでなく「動作モデルと端子極性を決める→導通・遮断・能動・飽和を判定する→回路方程式で電流と電力を求める→仮定が成立するか検算する」手順を診断するミニテストです。

各問に示す理想モデルまたは区分線形モデルを使います。問題文と数値は当サイトで作成したオリジナルで、過去問題の転載・改変ではありません。

素子の基礎を先に復習する場合は「半導体と電子回路|ダイオード・トランジスタ・FET・オペアンプ」を確認してください。実在素子の定格・温度依存性・ばらつきはデータシートで確認する必要がありますが、以下では問題文のモデルを優先します。

解く前の前提|公式を使える動作領域か確認する

素子・回路 このテストで確認すること よくある適用範囲の誤り
整流ダイオード 導通区間、波高値、平均値、実効値を別々に積分する 交流の実効値をそのまま波高値や直流平均値とする
ツェナーダイオード 直列抵抗電流を負荷電流とツェナー電流へ分流する ツェナー電流が正か、許容損失内かを確認しない
BJT ICIBの能動領域仮定を、電源と負荷で検算する 飽和してもβIBが必ず流れるとする
MOSFETスイッチ 指定されたRDS(on)と負荷を直列回路として解く しきい値電圧だけで十分なオン抵抗が保証されるとする
理想オペアンプ 負帰還・非飽和を確認して入力電流0、仮想短絡を使う 帰還状態を見ず、常に両入力電圧が等しいとする

採点のしかた

  1. 問題文から理想モデル、固定電圧モデル、オン抵抗モデルのどれを使うか書き出します。
  2. 端子電圧と電流の正方向を決め、素子の動作状態を仮定して回路方程式を立てます。
  3. 得られた電圧・電流が仮定した導通、飽和、定格、非飽和の条件を満たすか確認します。
  4. 5問中4問以上に正解し、翌日に数式だけでなく動作領域の判定理由も説明できれば次へ進みます。

第1問|半波整流の波高値・平均値・実効値を分ける

実効値12.0 Vの正弦波電圧源、理想ダイオード、120 Ωの抵抗を直列に接続した半波整流回路がある。平滑コンデンサはなく、正の半周期だけダイオードが導通する。抵抗電流の波高値Im、1周期平均値Iavg、実効値Irmsの組合せとして最も近いものはどれか。

(1)141 mA、45.0 mA、70.7 mA
(2)100 mA、31.8 mA、50.0 mA
(3)141 mA、90.0 mA、100 mA
(4)141 mA、45.0 mA、100 mA
(5)0 mA、0 mA、0 mA

解答を見る

正解:(1)141 mA、45.0 mA、70.7 mA

電源の波高値はVm=√2×12.0≈16.97 Vなので、Im=16.97/120≈0.141 Aです。理想半波整流波形では、1周期平均値はIavg=Im/π≈45.0 mA、実効値はIrms=Im/2≈70.7 mAです。

  • (1)入力の実効値を波高値へ直し、半波波形の平均値と実効値を別々に求めています。
  • (2)12.0 Vを波高値として扱い、すべてを1/√2倍にしています。
  • (3)正負両半周期を正側へ折り返す全波整流の平均・実効値を混ぜています。
  • (4)半波電流の実効値を、導通前の正弦波電流100 mAと同じにしています。
  • (5)負の半周期では遮断しますが、正の半周期には電流が流れます。

第2問|ツェナー定電圧回路の分流と損失を確認する

18 Vの理想直流電源から330 Ωの直列抵抗を通し、ツェナー電圧9.0 Vの理想ツェナーダイオードと1.0 kΩの負荷抵抗を並列に接続する。ツェナーが降伏領域で9.0 Vを保つと仮定する。負荷接続時のツェナー電流とツェナー損失、および負荷を外したときに定格0.50 Wを超えるかの組合せはどれか。

(1)18.3 mA、0.164 W、超えない
(2)27.3 mA、0.246 W、超えない
(3)9.0 mA、0.081 W、超えない
(4)18.3 mA、1.65 W、超える
(5)0 mA、0 W、判定できない

解答を見る

正解:(1)18.3 mA、0.164 W、超えない

直列抵抗電流は(18−9)/330≈27.3 mA、負荷電流は9/1000=9.0 mAです。よってIZ≈27.3−9.0=18.3 mA、PZ=9.0×18.3 mA≈0.164 Wです。負荷を外すと全電流27.3 mAがツェナーへ流れ、損失は約0.246 Wとなるため0.50 Wを超えません。

  • (1)直列抵抗電流から負荷電流を差し引き、無負荷時も別に検算しています。
  • (2)27.3 mAと0.246 Wは無負荷時の値で、負荷接続時の分流を無視しています。
  • (3)9.0 mAは負荷電流です。ツェナー電流と入れ替えています。
  • (4)9.0 Vと18.3 mAの単位換算を誤り、損失を10倍にしています。
  • (5)計算したツェナー電流は正なので、降伏領域という仮定と矛盾しません。

第3問|BJTの電流増幅式を飽和領域まで延長しない

エミッタを接地したnpn形BJTのコレクタを、1.0 kΩの抵抗を介して12 V電源へ接続する。直流電流増幅率β=100、ベース電流IB=150 µA、飽和電圧VCE(sat)=0.20 Vとする。BJTの動作領域、コレクタ電流、VCEの組合せとして最も適切なものはどれか。

(1)飽和、11.8 mA、0.20 V
(2)能動、15.0 mA、−3.0 V
(3)遮断、0 mA、12 V
(4)能動、10.0 mA、2.0 V
(5)飽和、15.0 mA、0.20 V

解答を見る

正解:(1)飽和、11.8 mA、0.20 V

能動領域を仮定するとβIB=100×150 µA=15.0 mAですが、コレクタ回路が供給できる飽和時電流は(12−0.20)/1.0 kΩ=11.8 mAです。15.0 mAは回路上流せないためBJTは飽和し、IC≈11.8 mA、VCE≈0.20 Vとなります。

  • (1)βIBを候補値として計算した後、コレクタ負荷線の上限と比較しています。
  • (2)負のVCEが出た時点で能動領域の仮定が破綻しています。
  • (3)正のベース電流が十分に与えられており、遮断状態ではありません。
  • (4)10.0 mAとなる根拠がなく、与えたベース電流とβにも対応しません。
  • (5)15.0 mAなら抵抗降下だけで15 Vとなり、12 V電源と両立しません。

第4問|MOSFETスイッチのオン抵抗と損失を計算する

nチャネル・エンハンスメント形MOSFETを低側スイッチとして使い、10 V電源、20 Ω抵抗負荷、MOSFETを直列に接続する。ソースは接地し、VGS=5.0 VでRDS(on)=0.20 Ω、VGS=0 Vで漏れ電流0とする。オン時のドレイン電流とMOSFET損失の組合せとして最も近いものはどれか。

(1)0.495 A、0.049 W
(2)0.500 A、5.00 W
(3)0.495 A、4.90 W
(4)50.0 A、500 W
(5)0 A、0 W

解答を見る

正解:(1)0.495 A、0.049 W

オン時は負荷20 ΩとRDS(on)=0.20 Ωの直列回路なので、ID=10/(20+0.20)≈0.495 Aです。MOSFET損失はPMOS=ID2RDS(on)≈0.049 Wです。負荷電力は約4.90 Wで、両者の和は電源電力約4.95 Wと一致します。

  • (1)オン抵抗を含めた電流を求め、MOSFET部分だけの損失を計算しています。
  • (2)5.00 Wは負荷側に近い電力であり、MOSFETの導通損失ではありません。
  • (3)4.90 Wは20 Ω負荷で消費される電力です。
  • (4)10 Vをオン抵抗0.20 Ωだけへ加え、直列の負荷20 Ωを無視しています。
  • (5)VGS=0 Vのオフ時なら成立しますが、問われているのは5.0 Vのオン時です。

第5問|反転加算回路で電流の符号をそろえる

理想オペアンプの非反転入力を接地し、負帰還が成立して出力は飽和していない。反転入力へ、v1=+0.20 Vを10 kΩ、v2=−0.10 Vを20 kΩを介して接続し、出力から反転入力へ20 kΩを帰還する。各入力から加算点へ流れ込む向きを正としたi1i2と、出力電圧の組合せはどれか。

(1)+20 µA、−5 µA、−0.30 V
(2)+20 µA、+5 µA、−0.50 V
(3)+20 µA、−5 µA、+0.30 V
(4)+20 µA、+5 µA、+0.50 V
(5)0 µA、0 µA、0 V

解答を見る

正解:(1)+20 µA、−5 µA、−0.30 V

負帰還と非飽和の条件から反転入力は仮想接地で0 Vです。したがってi1=(0.20−0)/10 kΩ=+20 µA、i2=(−0.10−0)/20 kΩ=−5 µAです。オペアンプ入力へ電流は流れないため、正味15 µAが帰還抵抗へ流れ、vo=−20 kΩ×15 µA=−0.30 Vです。

  • (1)負電圧入力の枝電流を符号付きで扱い、加算点の電流則を満たしています。
  • (2)v2枝の電流を大きさだけで足し、−0.10 Vの符号を失っています。
  • (3)反転加算回路の出力極性を逆にしています。
  • (4)2本目の符号と反転動作の両方を取り違えています。
  • (5)理想オペアンプの入力端子電流は0ですが、外付け抵抗を流れる電流まで0ではありません。

結果の読み方|どの判定へ戻るか

間違えた問題 戻る項目 再テストの完了条件
第1問 整流波形の3種類の値 波高値・1周期平均値・実効値を定義から区別できる
第2問 ツェナー回路の分流 負荷接続時と無負荷時の電流・損失を両方検算できる
第3問 BJTの動作領域 βIBと負荷線上限を比較し、飽和を判定できる
第4問 MOSFETのオン抵抗 負荷電力とMOSFET損失を分け、電力収支を確認できる
第5問 仮想接地とKCL 負電圧入力の枝電流も符号付きで加算できる

追加演習は半導体と電子回路ミニテスト第2回第3回へ進めます。前のテーマへ戻る場合は過渡現象ミニテスト、次のテーマは電気計測と測定器ミニテストです。

公式資料と試験形式の確認先

問題・解説・公式資料確認日/最終更新日:2026年9月3日

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

内容の誤りやお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。正確な情報をお届けできるよう、随時修正してまいります。

-ミニテスト, 理論