ミニテスト 理論

過渡現象ミニテスト|RC・RL回路の初期値と時定数を5問で計算

この5問は、充電・放電の公式を丸暗記するのではなく「切替直前の状態を読む→保存量の連続性で初期値を決める→切替後の最終値と時定数を求める→指定時刻へ代入する」手順を診断するミニテストです。

理想的な集中定数回路、直流電源、線形なR・L・C、十分速い理想スイッチを扱います。問題文と数値は当サイトで作成したオリジナルで、過去問題の転載・改変ではありません。

公式を先に復習する場合は「過渡現象|RC・RL回路の時定数と過渡応答」を確認してください。本問ではコンデンサ電圧vCとコイル電流iLの基準方向を各問で定め、切替時刻をt=0とします。

解く前の前提|初期値・最終値・時定数の3点を固定する

確認項目 RC回路 RL回路
切替時に連続する量 vC(0+)=vC(0−) iL(0+)=iL(0−)
蓄積エネルギー WC=CvC2/2 WL=LiL2/2
一次回路の時定数 τ=ReqC τ=L/Req
任意の状態量xの応答 x(t)=x(∞)+{x(0+)−x(∞)}et
1τ後の残差 初期値と最終値の差がe−1≈0.368倍になる

Reqは切替後にCまたはLの端子から見た等価抵抗です。独立電圧源を短絡、独立電流源を開放して求めますが、従属源がある回路では試験源を用います。「1τで63.2%」は初期値0から最終値へ増加する場合の到達率であり、あらゆる電圧・電流が63.2%になるという意味ではありません。

採点のしかた

  1. 切替前と切替後の回路を分け、x(0−)、x(0+)、x(∞)を欄外へ書きます。
  2. Cの電圧またはLの電流だけに連続条件を使い、抵抗電流やコイル電圧まで連続と決めつけません。
  3. 切替後の回路からReqとτを求め、指数部t/τを無次元にして代入します。
  4. 5問中4問以上に正解し、翌日に一般形から式を作り直せれば次のテーマへ進みます。

第1問|非ゼロ初期電圧から別の直流値へ移るRC回路

500 µFのコンデンサは、上側端子を正として切替直前に12 Vへ充電されている。t=0で、コンデンサを2.0 kΩの抵抗を介して同じ極性の4.0 V理想電圧源へ接続した。電流の正方向を4.0 V電源から抵抗を通ってコンデンサ上側端子へ流れる向きとする。τ、vC(1.0 s)、i(0+)の組合せはどれか。

(1)1.0 s、6.94 V、−4.0 mA
(2)1.0 s、12.0 V、0 mA
(3)1.0 s、4.00 V、+4.0 mA
(4)4.0 s、10.2 V、−4.0 mA
(5)1.0 s、6.94 V、+4.0 mA

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正解:(1)1.0 s、6.94 V、−4.0 mA

τ=RC=2.0×103×500×10−6=1.0 sです。vC(0+)=12 V、vC(∞)=4.0 Vなので、vC(t)=4.0+8.0et。1.0 s後は4.0+8.0/e≈6.94 Vです。指定方向の初期電流は{4.0−12}/2.0 kΩ=−4.0 mAで、実際にはコンデンサから4.0 V電源側へ流れます。

  • (1)電圧の連続性、4.0 Vという最終値、電流の基準方向をすべて反映しています。
  • (2)コンデンサ電圧は0+で12 Vですが、その後も12 Vのままではありません。
  • (3)最終値4.0 Vへ瞬時に変化するとしています。理想コンデンサ電圧は飛びません。
  • (4)時定数でRとCを正しく乗算していません。500 µFは500×10−6 Fです。
  • (5)電圧は正しい一方、指定した電流方向に対する符号が逆です。

第2問|RC充電で指定電圧へ達する時刻を逆算する

初期電圧0 Vの100 µFコンデンサを、t=0で30 kΩを介して24 Vの理想直流電源へ接続する。コンデンサ電圧が18 Vへ達する時刻と、その瞬間に電源から流れる電流の組合せとして最も近いものはどれか。

(1)4.16 s、0.200 mA
(2)3.00 s、0.294 mA
(3)6.00 s、0.108 mA
(4)4.16 s、0.600 mA
(5)0.863 s、0.200 mA

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正解:(1)4.16 s、0.200 mA

τ=RC=30×103×100×10−6=3.0 s。18=24(1−et/3)よりet/3=0.25、したがってt=3 ln 4≈4.16 sです。その瞬間の抵抗電圧は24−18=6 Vなので、i=6/30 kΩ=0.200 mAです。

  • (1)到達率75%を残差25%へ直し、同じ時刻の抵抗電圧から電流を求めています。
  • (2)1τでは到達率63.2%で、電圧は約15.2 Vです。
  • (3)2τの値です。18 Vへはそれより前に到達します。
  • (4)18 Vを抵抗へ直接加えており、電源電圧との差6 Vを使っていません。
  • (5)−ln(0.75)を使っています。指数項は到達率ではなく残差率0.25です。

第3問|初期電流を持つRL回路の電流とコイル電圧

3.0 Hの理想コイルには、切替直前に基準方向へ1.0 Aが流れている。t=0で、このコイルを12 Ωの抵抗と48 Vの理想直流電源からなる直列回路へ、電流を増加させる極性で接続した。τ、iL(0.50 s)、同じ基準方向に対するコイル電圧vL(0.50 s)の組合せとして最も近いものはどれか。

(1)0.250 s、3.59 A、4.87 V
(2)0.250 s、3.59 A、43.1 V
(3)4.00 s、1.35 A、31.8 V
(4)0.250 s、4.00 A、0 V
(5)0.250 s、2.59 A、16.9 V

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正解:(1)0.250 s、3.59 A、4.87 V

τ=L/R=3.0/12=0.250 s、iL(0+)=1.0 A、iL(∞)=48/12=4.0 Aです。したがってiL(t)=4.0−3.0et/0.25。0.50 s=2τでは約3.59 Aです。受動符号規約でvL=48−12iL≈4.87 Vとなり、電流増加率が正であることとも整合します。

  • (1)コイル電流の連続性と、電流差3.0 Aの指数減衰を使っています。
  • (2)43.1 Vは抵抗電圧12iであり、コイル電圧ではありません。
  • (3)時定数をR/Lとして逆に扱い、初期値からの変化も過小評価しています。
  • (4)4.0 Aと0 Vは十分時間が経った最終値で、2τ後にはまだ達しません。
  • (5)初期電流1.0 Aを最終電流から差し引いたまま、応答全体へ戻していません。

第4問|RC放電で電圧とエネルギーの減り方を区別する

200 µFの理想コンデンサを100 Vに充電し、電源を切り離して50 kΩの抵抗だけで放電させる。放電開始から1τ後のコンデンサ電圧、残っているエネルギー、抵抗で消費されたエネルギーの初期エネルギーに対する割合として最も近い組合せはどれか。

(1)36.8 V、0.135 J、86.5%
(2)36.8 V、0.368 J、63.2%
(3)63.2 V、0.399 J、60.1%
(4)36.8 V、1.00 J、0%
(5)13.5 V、0.018 J、98.2%

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正解:(1)36.8 V、0.135 J、86.5%

τ=RC=50×103×200×10−6=10 s。1τ後の電圧は100/e≈36.8 Vです。初期エネルギーはW0=CV2/2=1.00 J。エネルギーは電圧の2乗に比例するため、1τ後はW0e−2≈0.135 J、抵抗で消費された割合は1−e−2≈86.5%です。

  • (1)電圧の残存率36.8%を2乗して、エネルギーの残存率13.5%を求めています。
  • (2)電圧の割合をそのままエネルギーの割合へ使っています。
  • (3)63.2%は0から最終値へ増加する量の到達率で、放電電圧の残存率ではありません。
  • (4)理想コンデンサが初期エネルギーを保つとして、抵抗のジュール損を無視しています。
  • (5)e−2を電圧へ適用しています。e−2になるのはエネルギーの比です。

第5問|切替が2回あるRC回路を区間ごとに解く

初期電圧0 Vの100 µFコンデンサを、0≤t<2.0 sでは20 kΩを介して12 V電源へ接続する。t=2.0 sで電源と20 kΩを切り離し、直ちに10 kΩの抵抗だけへ切り替えて放電させる。vC(2.0 s−)とvC(3.0 s)の組合せとして最も近いものはどれか。

(1)7.59 V、2.79 V
(2)7.59 V、4.79 V
(3)12.0 V、4.42 V
(4)7.59 V、0 V
(5)4.42 V、1.63 V

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正解:(1)7.59 V、2.79 V

第1区間の時定数はτ1=20 kΩ×100 µF=2.0 sなので、vC(2.0 s−)=12(1−e−1)≈7.59 Vです。切替直後もvC(2.0 s+)=7.59 V。第2区間ではτ2=10 kΩ×100 µF=1.0 sで、切替後の経過時間をt′=t−2.0 sとすると、vC(3.0 s)=7.59e−1≈2.79 Vです。

  • (1)区間ごとに時定数と時間原点を変え、境界の電圧を次区間の初期値にしています。
  • (2)放電区間で線形に2.80 Vだけ減るとしています。一次回路の応答は指数関数です。
  • (3)第1区間の1τで12 Vへ完全充電されるとしており、残差36.8%を無視しています。
  • (4)スイッチ切替と同時にコンデンサ電圧が0 Vへ飛ぶとしています。
  • (5)最初の充電を12e−1として、増加形と減衰形を取り違えています。

結果の読み方|どの手順へ戻るか

間違えた問題 戻る項目 再テストの完了条件
第1問 非ゼロ初期値と基準方向 一般形から電圧式を作り、初期電流の正負を説明できる
第2問 到達率と残差率 指数項を残差へ置き換え、対数で時刻を逆算できる
第3問 RLの連続条件 電流の初期値・最終値・コイル電圧を同じ符号規約で求められる
第4問 蓄積エネルギー 電圧・電流の指数とエネルギーの指数を区別できる
第5問 区分的な切替 各区間の時間原点と、境界で引き継ぐ状態量を書ける

追加演習は過渡現象ミニテスト第2回第3回へ進めます。前のテーマへ戻る場合は三相交流回路ミニテスト、次のテーマは半導体と電子回路ミニテストです。

公式資料と試験形式の確認先

問題・解説・公式資料確認日/最終更新日:2026年9月3日

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