ミニテスト 理論

三相交流回路ミニテスト|Y・Δ結線と三相電力を5問で計算

この5問は、√3の位置を暗記するだけでなく「相順と基準フェーザを決める→線間量を1相分の相量へ直す→複素インピーダンスで電流を求める→3相分の電力と等価変換で検算する」手順を診断するミニテストです。

正弦波定常状態、実効値フェーザ、対称な正相順a-b-c、3相のインピーダンスが等しい平衡負荷を扱います。問題文と数値は当サイトで作成したオリジナルで、過去問題の転載・改変ではありません。

公式を先に復習する場合は「三相交流回路|Y結線・Δ結線・三相電力・Y-Δ変換」を確認してください。以下では線間電圧をVAB=VAVB、線電流を電源から負荷へ流れ込む向き、Δ枝電流IABをA端子からB端子へ流れる向きと定義します。

解く前の前提|√3だけでなく30°も読む

対象 大きさの関係 正相順a-b-cでのフェーザ関係
平衡Y結線 VL=√3VPIL=IP VABVANより30°進む
平衡Δ結線 VL=VPIL=√3IP IA=IABICAで、IAIABより30°遅れる
1相分の等価回路 平衡ならY形1相分を解析して3相へ戻せる IA=VAN/ZY
平衡三相の複素電力 S=3VPIP*=√3VLIL(cosφ+j sinφ) S=P+jQ、誘導性負荷はQ>0
平衡Y-Δ等価変換 ZΔ=3ZYZY=ZΔ/3 同じ端子から見た線電流と三相電力を保つ変換

VLILは大きさを表す式です。30°の進み・遅れは、相順、線間量の引き算順序、枝電流の向きを変えると表現も変わります。問題文の基準を固定せずに「必ず+30°」と覚えないでください。

採点のしかた

  1. YかΔか、線間量か相量か、正相順か逆相順かを問題文へ書き込みます。
  2. 平衡負荷なら1相分へ直し、電圧と電流を同じ基準フェーザで複素数計算します。
  3. 線電流へ戻すときだけ接続に合う√3と30°を使い、最後に3相電力で検算します。
  4. 5問中4問以上に正解し、翌日に「接続・√3・30°・3相分」の4点を再現できれば次のテーマへ進みます。

第1問|Y結線の線間電圧から相電圧と線電流を求める

正相順a-b-cの対称三相電源に、1相当たりのインピーダンスZY=8+j6 Ωの平衡Y結線負荷を接続した。線間電圧をVAB=400∠0° Vとするとき、相電圧VANと線電流IAの組合せはどれか。負荷中性点の電位移動はないものとする。

(1)230.9∠−30° V、23.1∠−66.9° A
(2)400∠0° V、40.0∠−36.9° A
(3)230.9∠30° V、23.1∠−6.9° A
(4)230.9∠−30° V、23.1∠6.9° A
(5)230.9∠0° V、23.1∠−36.9° A

解答を見る

正解:(1)230.9∠−30° V、23.1∠−66.9° A

正相順ではVABVANより30°進むため、VAN=(400/√3)∠−30°≈230.9∠−30° Vです。ZY=10∠36.9° Ωなので、Y結線の線電流は相電流と等しく、IA=VAN/ZY≈23.1∠(−30°−36.9°)=23.1∠−66.9° Aです。

  • (1)線間電圧を大きさ1/√3・角度−30°で相電圧へ戻し、インピーダンス角を引いています。
  • (2)400 Vをそのまま1相のインピーダンスへ加えています。Yの各相へ加わるのは線間電圧ではありません。
  • (3)VANVABより30°進むとして符号を逆にしています。
  • (4)相電圧までは正しいものの、割り算でインピーダンス角を足しています。
  • (5)大きさだけ1/√3にし、線間電圧と相電圧の30°差を落としています。

第2問|Δ結線の枝電流を線電流へ戻す

正相順a-b-cの対称三相電源に、各枝のインピーダンスZΔ=12−j9 Ωの平衡Δ結線負荷を接続した。VAB=200∠0° Vのとき、枝電流IABと線電流IAの組合せはどれか。

(1)13.3∠36.9° A、23.1∠6.9° A
(2)13.3∠36.9° A、13.3∠36.9° A
(3)13.3∠36.9° A、23.1∠66.9° A
(4)13.3∠−36.9° A、23.1∠−66.9° A
(5)13.3∠36.9° A、40.0∠36.9° A

解答を見る

正解:(1)13.3∠36.9° A、23.1∠6.9° A

ZΔ=15∠−36.9° Ωなので、IAB=200∠0°/15∠−36.9°≈13.3∠36.9° Aです。A線では枝電流の向きをそろえてIA=IABICAとします。正相順の平衡Δでは、この差はIA=√3IAB∠−30°となるため、IA≈23.1∠6.9° Aです。

  • (1)容量性インピーダンスで枝電流が36.9°進み、2枝の差で線電流が大きさ√3倍・角度30°遅れることを反映しています。
  • (2)Δ結線でも線電流と相電流が等しいとしています。これはY結線の関係です。
  • (3)線電流を枝電流より30°進ませています。指定した相順と電流方向では遅れます。
  • (4)Zの負の角度を電流にもそのまま付け、I=V/Zの角度計算を逆にしています。
  • (5)3枝あることから電流を3倍しています。A線の電流はA端子で接続する2枝のフェーザ差です。

第3問|1相分から平衡三相の電流と複素電力を出す

線間電圧400 Vの対称三相電源に、1相当たりZY=12+j9 Ωの平衡Y結線負荷を接続した。線電流の大きさIL、三相全体の有効電力P、無効電力Q、皮相電力|S|の組合せとして最も近いものはどれか。受動符号規約を用いる。

(1)15.4 A、8.53 kW、6.40 kvar、10.67 kVA
(2)26.7 A、14.78 kW、11.09 kvar、18.48 kVA
(3)15.4 A、6.40 kW、8.53 kvar、10.67 kVA
(4)15.4 A、8.53 kW、−6.40 kvar、10.67 kVA
(5)15.4 A、10.67 kW、0 kvar、10.67 kVA

解答を見る

正解:(1)15.4 A、8.53 kW、6.40 kvar、10.67 kVA

Y結線の相電圧はVP=400/√3≈230.9 V、|ZY|=15 Ωなので、IL=IP=230.9/15≈15.4 Aです。力率は12/15=0.80遅れ、sinφ=9/15=0.60。したがって|S|=√3×400×15.4≈10.67 kVA、P=10.67×0.80≈8.53 kW、Q=10.67×0.60=6.40 kvarです。S=8.53+j6.40 kVAとして|S|を検算できます。

  • (1)線間電圧を相電圧へ直して電流を出し、三相全体のPQ・|S|へ戻しています。
  • (2)400 VをYの1相へ直接加えた26.7 Aを使っており、全電力も√3倍過大です。
  • (3)cosφとsinφを入れ替え、有効電力と無効電力を逆にしています。
  • (4)誘導性の+j9 Ωを容量性とみなし、無効電力を負にしています。
  • (5)皮相電力をすべて有効電力とみなし、力率を1として扱っています。

第4問|平衡Δを等価Yへ変換して検算する

線間電圧300 Vの対称三相電源に、各枝ZΔ=18+j24 Ωの平衡Δ結線負荷を接続した。等価Y結線の1相インピーダンスZY、線電流の大きさIL、三相有効電力Pの組合せとして最も近いものはどれか。

(1)6+j8 Ω、17.3 A、5.40 kW
(2)54+j72 Ω、1.92 A、0.60 kW
(3)6+j8 Ω、10.0 A、5.40 kW
(4)18+j24 Ω、17.3 A、1.80 kW
(5)6+j8 Ω、17.3 A、9.00 kW

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正解:(1)6+j8 Ω、17.3 A、5.40 kW

平衡負荷の等価変換ではZY=ZΔ/3=6+j8=10∠53.1° Ωです。Y等価回路の相電圧は300/√3≈173.2 Vなので、IL=173.2/10≈17.3 A。力率は6/10=0.60遅れで、P=√3×300×17.3×0.60≈5.40 kWです。

Δのまま計算しても、枝電流は300/30=10.0 A、線電流は√3×10.0≈17.3 A、P=3×300×10.0×0.60=5.40 kWとなり一致します。無効電力は7.20 kvar、|S|は9.00 kVAです。

  • (1)インピーダンスを1/3にしてYへ変換し、線電流と端子から見た電力が保存されることを確認しています。
  • (2)ΔからYへ移すときに3倍しています。54+j72 Ωはさらに逆方向へ離れた値です。
  • (3)Δ枝電流10.0 Aを線電流としています。Δの線電流の大きさは枝電流の√3倍です。
  • (4)インピーダンスを変換せずYの相電圧へ使い、電力にも1相と3相の混同があります。
  • (5)9.00 kVAという皮相電力を、そのまま有効電力のkWで表しています。

第5問|同じ素子のY-Δ切替と等価変換を区別する

12 Ωの同じ抵抗素子3本を、線間電圧240 Vの対称三相電源へ最初はY結線、次に各素子を変更せずΔ結線で接続する。Δ接続時の線電流I、Y接続時に対する線電流比I/ILY、三相有効電力比PΔ/PYの組合せはどれか。

(1)34.6 A、3、3
(2)34.6 A、√3、3
(3)11.5 A、1、1
(4)34.6 A、3、9
(5)3.85 A、1/3、1/3

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正解:(1)34.6 A、3、3

Y接続では各素子電圧が240/√3 Vなので、ILY=240/(√3×12)≈11.5 A、PY=√3×240×11.5≈4.80 kWです。Δ接続では各素子へ240 Vが加わり、枝電流は20.0 A、線電流はI=√3×20.0≈34.6 A、PΔ=3×240×20.0=14.4 kWです。よって線電流も電力もY接続時の3倍です。

  • (1)同じ素子をつなぎ替えると各素子電圧が√3倍となり、線電流と全電力が3倍になることを計算しています。
  • (2)Δの線電流34.6 Aは正しい一方、Yの11.5 Aとの比を√3としています。
  • (3)同じ端子特性を保つY-Δ等価変換と混同しています。等価変換ならΔの各抵抗を36 Ωへ変える必要があります。
  • (4)線電流比3をさらに2乗して全電力比9としていますが、YとΔでは各線電流が流れる抵抗の見え方も変わります。
  • (5)YからΔへ変えると電流が減るとして比を逆にしています。同じ抵抗なら各素子へ加わる電圧は増えます。

この設問は抵抗素子の定格内である理想的な定常計算です。実機のY-Δ始動では、切替時の過渡現象、モーター巻線の定格電圧、保護・インターロックを含めて判断します。

結果の読み方|どの基準へ戻るか

間違えた問題 戻る項目 再テストの完了条件
第1問 Yの線間電圧と相電圧 正相順でVABからVANへ1/√3・−30°で戻せる
第2問 Δの枝電流と線電流 IA=IABICAを方向付きで書ける
第3問 1相分と三相複素電力 PQ、|S|を単位と符号まで区別できる
第4問 平衡Y-Δ等価変換 変換前後を別経路で計算し、線電流と三相電力の一致を示せる
第5問 等価変換と同一素子の再接続 インピーダンスを3倍・1/3にする変換か、素子をそのまま切り替える問題かを判別できる

追加演習は三相交流回路ミニテスト第2回第3回へ進めます。交流電力へ戻る場合は交流電力・力率改善ミニテスト、次のテーマは過渡現象ミニテストです。

公式資料と試験形式の確認先

問題・解説・公式資料確認日/最終更新日:2026年9月3日

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