静電気は理論科目のいちばん最初に出てくるテーマですが、「冬にバチッとくるアレ」で終わらせると、あとで必ず戻ってくることになります。ここで出てくる電界・電位・電気力線は、このあと学ぶコンデンサ、絶縁物の選び方、接地の考え方まで、形を変えてそのまま使われるからです。
この記事では、クーロンの法則を「どんな条件で成り立つ式なのか」から確認し、定数 k がどこから来た数字なのかを確かめ、電界が0になる点を同符号と異符号で解き分け、電荷を動かしたときの仕事とエネルギーの符号を決め、電気力線の本数が真空中と誘電体中でどう変わるかまで扱います。式には単位を付けたまま置き、途中で出た数字も丸めずに残します。電卓を1つ用意すれば、同じ値まで自分の手で追えます。
静電気は「たまって動かない電気」
冬にドアノブへ手を伸ばした瞬間、バチッとくる。セーターを脱ぐと髪が逆立つ。あれが静電気です。「静」は「動かない」という意味で、電流のように流れ続けるのではなく、物の表面にたまったままになっている電気を指します。
こすると帯電するのは、電子が引っ越すから
物質をこすり合わせると、片方の表面から電子(負の電荷を持つ粒)が相手側へ移ります。電子を失った側は正に、受け取った側は負に帯電する。これが帯電の中身です。
ここを取り違えないでください。こすったときに電気が「生まれた」わけではありません。もともとあった電子が引っ越しただけです。したがって2つを合わせた電荷の合計は、こする前と後で変わりません。これを電荷保存の法則といいます。片方が +1 µC になったなら、相手はかならず −1 µC になっています。
電荷の大きさは、動いた電子の個数で決まる
電荷の単位はクーロン [C]です。そして電子1個が持つ電荷の大きさを電気素量 e といいます。
この e は、いまでは測って求める値ではありません。2019年の国際単位系(SI)の改定で、アンペアを定義するために「この値と決めてしまった」定数になりました。米国立標準技術研究所(NIST)が公開しているCODATA推奨値のページでも、e=1.602 176 634×10−19 C、不確かさは「exact(厳密)」と示されています。
Q = n × e [C]
Q:電荷の大きさ [C]/n:移動した電子の個数 [個]/e=1.602 176 634×10−19 C
逆に 1 C が電子何個ぶんかを出すと、1÷e=6.241 509 074×1018 個。1 C は静電気の世界ではとてつもなく大きな量で、だから問題文に出てくる電荷はたいてい µC(10−6 C)や nC(10−9 C)です。計算の前に、この10の指数だけを別の行に書き出しておくと事故が減ります。
クーロンの法則|2つの電荷が押し合う力を出す
式と、その式が成り立つ前提
クーロンの法則(真空中)
F = k × Q1Q2/r2 [N]
F:電荷間に働く力 [N]/Q1, Q2:それぞれの電荷 [C]/r:電荷どうしの距離 [m]/k:比例定数 [N・m2/C2]
言葉にすると「電荷が大きいほど強く、離れるほど急激に弱くなる」。しかも弱まり方は距離の2乗に反比例するので、距離を2倍にすると力は4分の1、3倍にすると9分の1になります。ここまでは教科書のとおりですが、この式には書かれていない前提が4つあります。
| 前提 | 外れるとどうなるか |
|---|---|
| 点電荷とみなせる | 大きさを無視できるほど小さい電荷であること。広がった帯電体では、電荷がどう分布しているかまで考えないと合わない |
| 電荷が止まっている | 動いている電荷どうしには磁気による力も働く。静電気の単元で扱うのは静止した電荷だけ |
| まわりが一様な媒質 | 途中で材質が変わると、この1本の式では書けない。試験問題は「真空中」「一様な媒質中」と必ず断ってくる |
| 距離の単位は m | cmのまま代入すると答えが104 倍ずれる。いちばん多い失点はここ |
力の向きは、2つの電荷を結ぶ直線に沿います。同符号なら遠ざける向き(斥力)、異符号なら近づける向き(引力)。式に符号ごと代入して F の符号から向きを読む方法もありますが、試験では大きさは絶対値で計算し、向きは符号の組合せから別に判断するほうが取り違えにくいです。
定数 k は、どこから来た数字なのか
k は測って決めた「クーロン専用の定数」ではありません。真空の誘電率 ε0 から計算で出てくる値です。
k = 1/(4πε0) = 8.987 6×109 [N・m2/C2]
ε0=8.854 187 8188(14)×10−12 F/m(NIST、CODATA 2022推奨値)
試験では k ≒ 9×109 を使ってかまいません。NISTが示す ε0 の推奨値から計算した正確な値と比べると、9×109 は約0.14 %だけ大きい丸めた値です。有効数字2桁で選択肢が並ぶ問題なら差は出ません。ただし「9×109は定義された値ではなく近似値」だと知っていれば、問題文が k を与えてくるときも、ε0 だけを与えて自分で k を作らせるときも、落ち着いて対応できます。
まわりが真空でないとき|比誘電率が分母に入る
ガラスやプラスチック、油といった誘電体(絶縁物)の中に電荷を置くと、力は弱くなります。誘電体の中の分子が電界に引っぱられて向きをそろえ、もとの電界を打ち消す向きに働くためです。
F = k × Q1Q2/(εr r2) [N]
εr:比誘電率(真空を1としたときの倍率、単位なし)
εr は分母に入るので、値が大きいほど力は弱くなります。比誘電率2.2の絶縁油の中なら、同じ配置でも力は2.2分の1です。
| 材質 | 比誘電率 εr の目安 | 読み方 |
|---|---|---|
| 真空 | 1(基準) | 定義そのもの |
| 空気(常温・大気圧) | 1.0006 程度 | 実用上は真空と同じ1として扱ってよい |
| 絶縁油・ポリエチレン | 2〜2.5 程度 | 力はおよそ半分以下になる |
| 磁器(がいし)・ガラス | 4〜10 程度 | 組成で大きく変わる。石英ガラスは4に近い |
| 水(常温) | 80 程度 | けた違いに大きい。ただし温度が上がると小さくなる |
この表の値は目安です。比誘電率は材料の組成だけでなく、温度と、かける電圧の周波数によっても変わります。水が「80」なのは常温で、しかも周波数が低いときの話です。だから試験では、表を覚えて当てにいくのではなく、問題文に書かれた εr をそのまま使うのが正解です。表は「どの材料がどのくらいの桁か」を感覚としてつかむために見てください。
計算例1|9×109 で計算して、誤差がどれだけ出るか確かめる
問題 真空中に Q1=2.0×10−6 C と Q2=3.0×10−6 C の点電荷が 0.10 m 離れて置かれている。働く力の大きさを求めよ。
① 分子をまとめる。Q1Q2=2.0×10−6×3.0×10−6=6.0×10−12 C2
② 分母をまとめる。r2=(0.10)2=1.0×10−2 m2
③ 代入する。F=9×109×6.0×10−12/(1.0×10−2)=5.4×10−2/10−2=5.4 N
④ 正確な k=8.987 6×109 で計算し直すと 5.393 N。差は0.14 %で、有効数字2桁ならどちらも5.4 Nです。丸めた k を使ってよい理由がここにあります。
⑤ 同じ配置を比誘電率2.2の絶縁油に沈めると、F=5.4/2.2=2.5 N。電荷も距離も変えていないのに力が半分以下になります。
電界|「1 C を置いたら何 N か」で空間を測る
定義と、試験電荷という前提
電荷のまわりの空間には、ほかの電荷に力を及ぼす性質が広がっています。これが電界(電場)です。目には見えないので、「そこへ 1 C の電荷を置いたら何ニュートンの力を受けるか」という測り方で数値にします。
E = F/Q [V/m](=[N/C])
変形すると F=QE。電界のわかっている場所に電荷を置いたときの力はこれで出る
ここでも前提があります。この Q は、電界を測るために置く試験電荷です。置いた電荷が大きすぎると、もとの電荷の分布を動かしてしまい、測りたかった電界そのものが変わってしまいます。だから定義としては「じゅうぶん小さい電荷を置いたときの F/Q」と考えます。試験問題ではこの断りが省かれますが、「電界は置いた電荷の大きさによらない」という言い回しの根拠はここにあります。
点電荷がつくる電界
E = k × Q/r2 [V/m]
誘電体中なら E=kQ/(εr r2)
クーロンの法則と見比べてください。相手の電荷 Q2 を取り除いた形になっています。つまり電界は「相手が決まる前の、場所そのものが持っている強さ」です。相手の電荷を掛け戻せば力に戻ります。
| 電荷の符号 | 電界の向き | 覚え方 |
|---|---|---|
| +(正電荷) | 電荷から外へ、放射状に広がる | +は出す、−は吸う |
| −(負電荷) | まわりから電荷へ吸い込まれる |
電界の合成は、大きさより先に向きを描く
電荷が複数あるとき、ある点の電界はそれぞれの電荷がつくる電界のベクトル和です。同じ向きなら足し、逆向きなら引き、直角なら三平方の定理で合成します。
手順を固定してください。まず紙に矢印を描き、それから大きさを計算する。数字を先に出すと、向きの判断が数字に引きずられます。正電荷からは外向き、負電荷へは内向き。この2本を描いてから、足すのか引くのかを決めます。
計算例2|電界が0になる点を、同符号と異符号で解き分ける
(a) 同符号の場合 真空中の直線上に、A点に +4.0 µC、B点に +1.0 µC が 0.30 m 離れて置かれている。合成電界が0になる点はどこか。
2つの電界は、A−B間では必ず逆向きになります(Aからは右向き、Bからは左向き)。だから打ち消し合う点は2つの電荷のあいだにあります。A点から x [m] の位置とすると、
k×4.0/x2 = k×1.0/(0.30−x)2
両辺の k と µ が消えて 4.0(0.30−x)2=x2 → 2.0(0.30−x)=x(A−B間なので正の根)
0.60−2.0x=x → 3.0x=0.60 → x=0.20 m(A点から 0.20 m)
一般化しておくと、A点から測った位置は x=r/(1+√(Q2/Q1))。今回なら 0.30/(1+√0.25)=0.30/1.5=0.20 m。電荷の比が4:1なら距離の比は2:1で、これは比の平方根です。9:1なら3:1になります。
(b) 異符号の場合 同じ直線上に、A点に +9.0 µC、B点に −1.0 µC が 0.20 m 離れて置かれている。合成電界が0になる点はどこか。
A−B間では、Aからの電界は右向き、Bへの電界も右向き(負電荷は吸い込むため)。2つが同じ向きにそろうので、あいだでは絶対に0になりません。0になるのは外側、それも電荷の小さいほうの外側だけです。B点からさらに x [m] 離れた点とすると、
9.0/(0.20+x)2 = 1.0/x2 → 3.0x=0.20+x → x=0.10 m
まとめると、同符号なら2つのあいだ、異符号なら絶対値の小さいほうの外側。ここを先に決めてから式を立てると、解が2つ出てどちらか迷う、という事故が起きません。
電位|基準を決めて、はじめて数字になる量
電位は「電気的な高さ」だが、基準がないと決まらない
山の高さを「1,200 m」と言えるのは、海面を0 mと決めたからです。電位もまったく同じで、どこを0 Vにするか決めない限り、数値になりません。
V = W/Q [V]
W:基準の点からその点まで電荷を静かに運ぶのに要する仕事 [J]/Q:運んだ電荷 [C]
点電荷のまわりの電位は次の式で出ますが、この式は「無限に遠いところを0 V」と決めたときの値です。教科書がいちいち書かないので見落としがちですが、問題文に「無限遠を0 Vとする」と書いてあるのは、この約束を確認しているだけです。
V = k × Q/r [V]
電界の式と違い、分母は r2 ではなく r。Q は符号ごと代入する
実務では、無限遠のかわりに大地を0 Vとするのがふつうです。これがそのまま接地の考え方につながります。
電界と電位の違いを、表で1枚にする
| 比べるところ | 電界 E | 電位 V |
|---|---|---|
| 種類 | ベクトル量(向きがある) | スカラー量(向きがない) |
| 距離との関係 | 1/r2 に比例 | 1/r に比例 |
| 合成のしかた | 矢印を描いてベクトル和 | 正負の符号を付けて、そのまま足す |
| 単位 | V/m(=N/C) | V |
| 意味 | 1 C あたりに働く力 | 1 C あたりの位置エネルギー |
電界が0の場所で、電位も0とはかぎりません。逆もまた同じです。同じ大きさの正電荷2つの中点は、電界は打ち消し合って0ですが、電位は両方から正の値が足されるので0になりません。反対に、+Q と −Q の中点では、電位は +と− が打ち消して0ですが、電界は2つが同じ向きにそろうので最大になります。「電界が0だから電位も0」と書かれた選択肢は、その場で切れます。
一様な電界では V=Ed
平行平板の間のように、どこでも同じ強さ・同じ向きの電界(一様電界)では、次の関係が成り立ちます。
V = E × d [V] / E = V/d [V/m]
条件:一様電界であること。d は電界の向きに沿って測った距離 [m]
電界の単位が [V/m] である理由がここでわかります。「1 m 進むあいだに電位が何ボルト下がるか」が電界の強さです。だから電界は、電位の高いほうから低いほうへ向きます。d を斜めに測ってはいけないのも、この式が「電界に沿った距離」で定義されているからです。
計算例3|電荷を動かしたときの、仕事とエネルギーの符号を決める
問題 一様な電界 E=500 V/m の中に、電界の向きに沿って 0.020 m 離れた2点 A、Bがある(Aのほうが電位が高い)。+5.0×10−6 C の電荷をAからBへ動かしたときの、電気的な位置エネルギーの変化ΔU と、電界がした仕事 W を求めよ。
① 2点間の電位差を出す。VA−VB=Ed=500×0.020=10 V
② 位置エネルギーの変化は、終点の電位から始点の電位を引いた値に電荷を掛ける。
ΔU=q(VB−VA) = 5.0×10−6×(−10) = −5.0×10−5 J = −0.050 mJ
③ 電界がした仕事は、その符号を反転させたもの。W=−ΔU=+0.050 mJ
④ 意味を確かめる。位置エネルギーが減った分だけ、電界が電荷を押して仕事をしたということです。坂道をボールが転がり落ちるのと同じで、高さが減った分が運動のエネルギーになります。
⑤ もし電荷が −5.0×10−6 C だったら、ΔU も W も符号が逆になります。正電荷は電位の低いほうへ、負電荷は高いほうへ自然に動く。この一文を覚えておけば、符号は毎回導けます。
等電位面は、地図の等高線と同じ
電位が等しい点をつないだ面を等電位面といいます。
- 電気力線と直交する。面に沿った向きに電界の成分があると、その向きに電位差ができてしまい、「等電位」でなくなるからです
- 面に沿って電荷を動かすかぎり、仕事は0。高さが変わらないので、位置エネルギーも変わりません
- 点電荷のまわりでは、電荷を中心とした同心球になる
電気力線と電束|見えない電界を「数える」
6つのルールと、それぞれの条件
| ルール | そう決まっている理由・条件 |
|---|---|
| 正電荷から出て、負電荷に入る | 近くに負電荷がなければ、そのまま無限遠まで伸びていく |
| 接線の向きが、その点の電界の向き | 電気力線は電界の向きをつないで描いた線だから |
| 線の密度が電界の強さを表す | 真空中での話。誘電体中では本数そのものが変わる(次項) |
| 途中で交差しない | ある1点で電界の向きは1つしか決まらないため。電界が0の点は例外で、そこは線が集まったり途切れたりする |
| 等電位面と直交する | 面に沿う成分があれば等電位でなくなるから |
| 導体の表面に垂直に出入りする | 静電平衡のとき。導体内部の電界は0で、電荷は表面にしか存在しない |
本数の式には、媒質が入っている
真空中:N = Q/ε0 [本] / 誘電体中:N = Q/(ε0εr) [本]
「N=Q/ε0」だけを覚えて誘電体中の問題に使うと外します。比誘電率 εr の媒質に入れると、電気力線の本数は εr 分の1に減ります。力が弱まるのと同じ理屈です。
電束は、媒質が変わっても減らない
ところが、電気力線とよく似た名前の電束は、まったく違うふるまいをします。
| 量 | 式 | 媒質を変えると |
|---|---|---|
| 電気力線の本数 N | Q/(ε0εr) [本] | 変わる(εr 分の1になる) |
| 電束 ψ | Q [C] | 変わらない(電荷そのものだから) |
| 電束密度 D | ψ/S = ε0εrE [C/m2] | 電界 E は変わるが、積である D は変わらない |
電束は「電荷 Q [C] から Q [C] ぶん出る」と決めた量です。だから媒質を油に変えても水に変えても、電束の総数は変わりません。「誘電率で割るのは電気力線、割らないのが電束」——ここを1行で言えるようにしておくと、選択肢の見分けが速くなります。
本数の式から、電界の式が出てくる
点電荷 Q を、半径 r の球でぐるりと包んでみます。電気力線はすべてこの球面を突き抜けるので、面積あたりの本数がその場所の電界です。球の表面積は S=4πr2。
E = N/S = (Q/ε0)/(4πr2) = Q/(4πε0r2) = kQ/r2
さきほどの点電荷の電界の式に、ぴたりと戻りました。電気力線の本数の式と、電界の式は、同じことを別の言い方で書いたものだとわかります。これがガウスの法則の入口です。電験三種では厳密な積分を扱う必要はありませんが、「面積で割ると電界になる」という関係だけは、公式を忘れたときの復元手段として使えます。
ビルメンの現場では、この話がどこで効くか
静電気は理論科目の中だけの話ではありません。労働安全衛生総合研究所の技術指針「静電気安全指針」(JNIOSH-TR-No.42)は、静電気による災害を防ぐ基本を「接地・ボンディング、不導体の排除、不導体の静電気対策、作業者の帯電防止・接地、爆発性雰囲気の防止、安全管理」の6つにまとめています。同研究所の液体の帯電に関する解説も、ほとんどの静電気災害は導体の接地・ボンディングで防止できると述べています。
なぜ接地がそこまで効くのか。理由は、この記事で見た「電位は基準を決めないと意味を持たない」という性質そのものです。金属どうしを電気的につないで(ボンディング)、まとめて大地と同じ電位にしてしまえば(接地)、そのあいだの電位差は0になります。電位差が0なら、E=V/d より、あいだの空気にかかる電界も0。電界がなければ空気は絶縁破壊せず、火花放電も起きません。「電位差がなければ放電しない」——これが接地工事の考え方の根っこです。法令としての接地は電気設備技術基準・接地工事で扱います。
理解できたか確かめる3問
ここまでで扱った「電気素量」「電界が0になる点」「電気力線と電束の違い」を、それぞれ1問ずつ確認します。選択肢を見る前に紙で計算してから開いてください。問題文と数値は当サイトで作成したオリジナルで、過去問題の転載・改変ではありません。
確認1|電子が抜けた側は、何クーロンになるか
ある絶縁物の表面から、電子が 5.0×1012 個だけ抜けて相手側へ移りました。この表面に残った電荷として最も近いものはどれですか。電気素量は e=1.602×10−19 C とします。
(1)−8.0×10−7 C
(2)+8.0×10−7 C
(3)+8.0×10−6 C
(4)+5.0×1012 C
(5)+3.1×1031 C
確認2|異符号の2電荷で、電界が0になる点
真空中の一直線上に、A点に +9.0 µC、B点に −1.0 µC の点電荷が 0.20 m 離れて置かれています。合成電界が0になる点として正しいものはどれですか。
(1)A−B間で、A点から 0.15 m の点
(2)A−B間の中点(A点から 0.10 m の点)
(3)B点の外側(Aと反対側)へ 0.10 m の点
(4)B点の外側(Aと反対側)へ 0.20 m の点
(5)A点の外側(Bと反対側)へ 0.10 m の点
確認3|誘電体中の電気力線の本数と、電束
比誘電率 4.0 の一様な誘電体の中に、+2.0 µC の点電荷を置きました。この電荷から出る電気力線の総本数と電束の総数の組合せとして最も近いものはどれですか。真空の誘電率は ε0=8.85×10−12 F/m とします。
(1)本数 5.6×104 本、電束 2.0×10−6 C
(2)本数 2.3×105 本、電束 2.0×10−6 C
(3)本数 5.6×104 本、電束 5.0×10−7 C
(4)本数 9.0×105 本、電束 2.0×10−6 C
(5)本数 2.0×10−6 本、電束 2.0×10−6 C
押さえどころと、次に読むところ
- 帯電は電子の引っ越し。合計の電荷は変わらない(電荷保存)。電荷は Q=ne で、e=1.602 176 634×10−19 C はいまでは定義された値である。
- クーロンの法則が成り立つのは点電荷・静止・一様な媒質のとき。距離は必ず m に直す。cmのままだと104 倍ずれる。
- k=1/(4πε0)=8.987 6×109。9×109 は約0.14 %大きい丸めた値で、有効数字2桁なら差は出ない。
- 比誘電率は分母に入るので、εr が大きいほど力も電界も弱くなる。ただし εr は温度と周波数で変わるので、問題文の値を使う。
- 電界はベクトル、電位はスカラー。電界が0でも電位が0とはかぎらない。正電荷2つの中点は電界0・電位は0でない、+と−の中点は電位0・電界は最大。
- 電界が0になる点は、同符号なら2つのあいだ、異符号なら絶対値の小さいほうの外側。位置を先に決めてから式を立てる。
- 電位は基準を決めないと数字にならない。点電荷の V=kQ/r は無限遠が0 V、実務では大地が0 V。
- ΔU=q(VB−VA)、電界がした仕事は W=−ΔU。正電荷は電位の低いほうへ、負電荷は高いほうへ自然に動く。
- 電気力線の本数は媒質で減るが、電束は減らない。N=Q/(ε0εr)、ψ=Q。
- 接地・ボンディングが静電気災害に効くのは、電位差をなくせば電界も生まれず、放電しないから。
手を動かして確かめる
- 静電気とクーロンの法則 ミニテスト第1回:クーロン力の向き、2電荷の合成電界、電位の代数和、電界がする仕事、比誘電率と距離変化を五肢択一で1周する。
- ミニテスト第2回/第3回:同じ範囲を別の数値と設定で追加演習する。
- コンデンサの基礎と計算:次のテーマ。この記事の V=Ed と比誘電率が、そのまま静電容量と静電エネルギーの式になる。
- 磁気の基礎と電磁力:クーロンの法則と同じ「距離の2乗に反比例」が、磁気の世界でどう対応するかを見る。
- 電気設備技術基準・接地工事:電位を大地に合わせるという考え方が、A種〜D種の接地工事としてどう条文になっているか。
- 電験三種とは?日程・科目合格・合格率:理論科目の位置づけと、4科目をどの順で受けるかの組み立て方。
- ビルメン資格の学習ロードマップ:電験三種を、ほかのビルメン系資格とどう並べて計画するか。
- 電気技術者試験センター「試験の概要」:理論科目の出題範囲と五肢択一という形式を、実施機関の原文で確認する。
- 同センター「試験の問題と解答」:静電気の分野が実際にどんな条件の与えられ方で出題されたのかを、本番の問題文で確かめる。
物理定数と公的資料を確認したのは2026年9月10日です。電気素量と真空の誘電率はNISTが公開するCODATA 2022推奨値、静電気災害の防止の考え方は労働安全衛生総合研究所の技術指針TR-No.42とその解説によります。本文の計算例と確認問題に置いた電荷・距離・電界・比誘電率の数値は、計算の道すじを見せるために当サイトで設定したもので、特定の製品や設備の仕様ではありません。比誘電率の表は材料ごとのおおよその桁をつかむための目安であり、実際の値は組成・温度・周波数で変わります。演習で迷ったときは、その問題文に書かれている条件だけを根拠にしてください。
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