ミニテスト 理論

交流電力・力率改善ミニテスト|単相・三相・進相コンデンサの計算5問

この5問は、交流電力の式を暗記するだけでなく「単相か三相かを読む→実効値と位相から複素電力を出す→遅れ無効電力を進相コンデンサで減らす→改善後の電流を検算する」手順を診断するミニテストです。

正弦波定常状態、実効値フェーザ、線形で平衡した三相負荷を扱います。問題文と数値は当サイトで作成したオリジナルで、過去問題の転載・改変ではありません。

公式を先に復習する場合は「交流電力と力率改善|有効・無効・皮相電力と進相コンデンサ」を確認してください。以下では負荷が吸収する複素電力をS=P+jQとし、誘導性の遅れ無効電力をQ>0、容量性の進み無効電力をQ<0とします。

解く前の前提と式の使い分け

対象 確認する前提
単相の複素電力 S=VI*=P+jQ VIは実効値フェーザ、*は複素共役
電力の大きさ |S|=VI=√(P2+Q2)、力率=P/|S| W、var、VAを区別し、遅れ・進みは力率の数値だけでなくQの符号で示す
平衡三相 P=√3VLILcosφ、Q=√3VLILsinφ VLは線間電圧、ILは線電流。1相分の式には係数3を使う
力率改善 QC=P(tanφ1−tanφ2) QCはコンデンサ設備の必要容量を正の大きさで表記。負荷の有効電力と端子電圧は一定
単相コンデンサ QCCV2C=QC/(ωV2) 理想コンデンサを同じ単相電圧へ並列接続。三相では結線と相電圧を確認して1相分から求める

ここでの力率は、正弦波の電圧と電流の位相差による変位力率です。高調波を含む非正弦波では、総合力率をcosφだけで表せない場合があります。また、力率改善は負荷の有効電力を増やす操作ではなく、電源側から供給する無効電力と電流を減らす操作として計算します。

採点のしかた

  1. 単相か平衡三相か、電圧が相電圧か線間電圧かを問題文から確定します。
  2. 遅れならQ>0、進みならQ<0として、PQを別々に計算します。
  3. コンデンサ接続後もPは変わらないとして、合成後のQ、力率、電流を逆算します。
  4. 5問中4問以上に正解し、翌日に接続・符号・単位の3点を再現できれば三相交流へ進みます。

第1問|単相フェーザから複素電力を求める

単相負荷の端子電圧と負荷へ流れ込む電流が、実効値フェーザでV=200∠0° V、I=12∠−36.9° Aである。複素電力S、皮相電力|S|、力率の組合せとして最も近いものはどれか。

(1)1.92+j1.44 kVA、2.40 kVA、0.80遅れ
(2)1.92−j1.44 kVA、2.40 kVA、0.80進み
(3)2.40+j0 kVA、2.40 kVA、1.00
(4)1.44+j1.92 kVA、2.40 kVA、0.60遅れ
(5)1.92+j1.44 kVA、3.36 kVA、0.80遅れ

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正解:(1)1.92+j1.44 kVA、2.40 kVA、0.80遅れ

S=VI*=200∠0°×12∠36.9°=2400∠36.9° VAです。cos36.9°≈0.80、sin36.9°≈0.60なので、P=2.40×0.80=1.92 kW、Q=2.40×0.60=1.44 kvar。電流が電圧より遅れるためQは正です。

  • (1)電流の複素共役を採り、遅れ無効電力を正として計算しています。
  • (2)VI*ではなくVIの角度を使い、Qの符号を逆にしています。
  • (3)電圧と電流の大きさだけを掛け、位相差を落としています。
  • (4)cosとsinを入れ替え、有効電力と無効電力を交換しています。
  • (5)皮相電力をP+Qで求めています。直交成分なので√(P2+Q2)を使います。

第2問|平衡三相を線間電圧と線電流で計算する

平衡三相負荷へ線間電圧200 Vを加えると、線電流20 A、力率0.80遅れとなった。有効電力P、無効電力Q、皮相電力|S|の組合せとして最も近いものはどれか。

(1)5.54 kW、4.16 kvar、6.93 kVA
(2)3.20 kW、2.40 kvar、4.00 kVA
(3)6.93 kW、0 kvar、6.93 kVA
(4)4.16 kW、5.54 kvar、6.93 kVA
(5)9.60 kW、7.20 kvar、12.0 kVA

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正解:(1)5.54 kW、4.16 kvar、6.93 kVA

|S|=√3VLIL=√3×200×20≈6.93 kVAです。cosφ=0.80かつ遅れなのでsinφ=0.60。P=6.93×0.80≈5.54 kW、Q=6.93×0.60≈4.16 kvarです。

  • (1)平衡三相の線間電圧・線電流へ√3を使い、0.8-0.6-1の関係を正しく適用しています。
  • (2)単相のVIだけを使い、三相分の係数を落としています。
  • (3)皮相電力をすべて有効電力としています。力率は1ではありません。
  • (4)cosとsinを入れ替え、PQを交換しています。
  • (5)3VLILとして、線間電圧を相電圧の式へそのまま入れています。

第3問|単相の進相コンデンサ容量と電流

有効電力4.8 kW、力率0.60遅れの単相負荷が、200 V、50 Hzの電源へ接続されている。理想コンデンサを負荷と並列に接続して力率を0.80遅れへ改善する。必要なコンデンサ容量QCと静電容量C、改善前後の電源電流の組合せとして最も近いものはどれか。

(1)2.80 kvar、223 µF、40 Aから30 A
(2)3.60 kvar、286 µF、40 Aから24 A
(3)2.80 kvar、44.6 µF、40 Aから30 A
(4)6.40 kvar、509 µF、24 Aから30 A
(5)2.80 kW、223 µF、40 Aから40 A

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正解:(1)2.80 kvar、223 µF、40 Aから30 A

tanφ1=0.80/0.60=4/3、tanφ2=0.60/0.80=3/4です。よってQC=4.8×(4/3−3/4)=2.80 kvar。C=2800/(2π×50×2002)≈2.23×10−4 F=223 µFです。電流は改善前が4800/(200×0.60)=40 A、改善後が4800/(200×0.80)=30 Aとなります。

  • (1)改善前後の無効電力差を求め、同じ単相200 Vへ並列接続するコンデンサとして換算しています。
  • (2)目標力率0.80でも残る遅れ無効電力を引かず、異なる電流値を組み合わせています。
  • (3)50 Hzをωへ直さず、係数2πの扱いを誤っています。
  • (4)有効電力を力率で割った値と無効電力を混同し、改善前後の電流も逆です。
  • (5)コンデンサ容量の単位はkvarでありkWではありません。また改善後は電源電流が減ります。

第4問|三相力率改善で線電流と銅損はどう変わるか

線間電圧200 Vの平衡三相負荷が有効電力30 kW、力率0.60遅れで運転している。有効電力と端子電圧を一定に保ち、進相コンデンサで力率を0.90遅れへ改善する。改善前後の線電流と、同じ線路抵抗に生じる三相銅損の比「改善後/改善前」の組合せとして最も近いものはどれか。

(1)144 Aから96.2 A、44.4%
(2)86.6 Aから77.9 A、81.0%
(3)144 Aから130 A、81.0%
(4)96.2 Aから144 A、225%
(5)150 Aから100 A、66.7%

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正解:(1)144 Aから96.2 A、44.4%

I1=30000/(√3×200×0.60)≈144 A、I2=30000/(√3×200×0.90)≈96.2 Aです。同じ三相線路の銅損は3I2Rに比例するため、比は(I2/I1)2=(0.60/0.90)2=4/9≈44.4%です。これは負荷の有効電力を30 kWのまま保つ比較です。

  • (1)平衡三相の電力式から両電流を求め、銅損へ電流比の2乗を使っています。
  • (2)力率そのものを電流へ掛け、電力式を逆向きに使っています。
  • (3)銅損比を(0.90)2とし、改善前の力率との比を採っていません。
  • (4)改善前後を逆にし、銅損が増える計算にしています。
  • (5)電流の概算比は近いものの、銅損を電流に比例させています。銅損は電流の2乗に比例します。

第5問|進相コンデンサの過補償を符号で判定する

有効電力8.0 kW、力率0.80遅れの負荷へ、無効電力容量8.0 kvarの理想進相コンデンサを並列接続した。合成後の複素電力、力率と進み・遅れの組合せとして最も近いものはどれか。有効電力は変わらないものとする。

(1)8.0−j2.0 kVA、0.970進み
(2)8.0+j2.0 kVA、0.970遅れ
(3)8.0+j0 kVA、1.00
(4)8.0−j8.0 kVA、0.707進み
(5)14.0+j0 kVA、1.00

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正解:(1)8.0−j2.0 kVA、0.970進み

負荷のtanφは0.60/0.80=0.75なので、遅れ無効電力はQL=8.0×0.75=6.0 kvarです。コンデンサの無効電力は符号付きで−8.0 kvar。したがって合成はS=8.0+j(6.0−8.0)=8.0−j2.0 kVAです。|S|=√(8.02+2.02)≈8.25 kVA、力率は8.0/8.25≈0.970で、Q<0のため進みです。

  • (1)負荷の遅れ6.0 kvarからコンデンサ8.0 kvarを引き、2.0 kvarの過補償を進みとして判定しています。
  • (2)合成無効電力の大きさは同じでも、容量性を正符号にしています。
  • (3)力率1に必要なのは6.0 kvarです。8.0 kvarでは打ち消した後に容量性成分が残ります。
  • (4)負荷側にもともとある6.0 kvarを無視し、コンデンサだけを合成しています。
  • (5)コンデンサが有効電力を6.0 kW供給するとみなしています。理想コンデンサの平均有効電力は0です。

実設備では過補償による進み力率だけでなく、電圧、開閉条件、高調波、直列リアクトル、機器定格も含めて設計・運用します。この設問は基本的な正弦波定常計算に範囲を限定しています。

結果の読み方|どの式と前提へ戻るか

間違えた問題 戻る項目 再テストの完了条件
第1問 複素電力と共役 電流が遅れるとVI*の角度とQが正になると説明できる
第2問 単相・平衡三相の区別 線間電圧と線電流の式へ√3を使える
第3問 改善前後の無効電力差 kvarからFへ直す前に接続電圧と周波数を確認できる
第4問 力率と線電流・銅損 PV一定ならIが力率に反比例し、銅損がI2に比例すると説明できる
第5問 無効電力の符号 補償後のQが負なら進みで、力率1を越えて過補償と判定できる

追加演習は交流電力と力率改善ミニテスト第2回第3回へ進めます。インピーダンスへ戻る場合はRLC回路ミニテスト、次のテーマは三相交流回路ミニテストです。

公式資料と試験形式の確認先

問題・解説・公式資料確認日/最終更新日:2026年9月2日

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