理論

コンデンサの基礎と計算|静電容量・直列並列・誘電体・静電エネルギー【電験三種・理論】

コンデンサの計算は、公式を5つ覚えれば解けるように見えて、実際には「その式がいま使える状況か」を読み違えて落とすテーマです。直列なら電荷がそろう、誘電体を入れると容量が εr 倍、エネルギーは ½CV2。どれも正しい式ですが、それぞれに成り立つための条件が付いています。

この記事では、静電気とクーロンの法則で扱った電束密度と V=Ed を使って平行平板の式を自分で組み立て、直列で電荷がそろう理由と、そろわない場合を確かめます。そのうえで、誘電体を一部だけ入れたときの容量、エネルギーの式に ½ が付く理由、充電したコンデンサどうしをつないだときに消えるエネルギーまで、単位と途中の数字を残して計算します。

コンデンサは「電荷を分けて置いておく」部品

2枚の導体と、あいだの絶縁物でできている

いちばん基本の形は平行平板コンデンサです。2枚の金属板(極板)を向かい合わせ、あいだに空気や絶縁物(誘電体)をはさみます。直流電源につなぐと、電源が片方の極板から電子を引き抜いて、もう片方の極板へ送り込みます。その結果、一方の極板に +Q、もう一方に −Q がたまります。

電流が絶縁物を通り抜けているわけではありません。電子が動くのは電源と導線の中だけで、極板のあいだの誘電体は電荷を通しません。2枚を合わせた電荷は +Q と −Q で合計0のままです。「コンデンサの電荷 Q」と言ったら、片方の極板にある電荷の大きさを指します。合計が0だから何もたまっていない、という意味ではありません。

電池との違いは「何の形でためているか」

電池は化学反応の形でエネルギーをためていて、つないでいるあいだ、ほぼ一定の電圧を出し続けます。コンデンサは極板のあいだの電界そのものにエネルギーを置いています。だから電荷を取り出すほど電圧が下がり、電荷が0になれば電圧も0です。

「コンデンサは一瞬で放電する」と言われることがありますが、これも条件つきです。放電の速さは、つながっている抵抗 R と容量 C の積、時定数 RC で決まります。抵抗が小さければ一瞬、抵抗が大きければ長い時間をかけて放電します。この時間の変化は過渡現象(RC回路・RL回路の時定数)で扱います。

もう1つ、実際のコンデンサは絶縁物にわずかな漏れ電流があるので、電源を外したあとも電荷はしばらく残り、ゆっくり減っていくのがふつうです。「切り離したら電荷は保存される」というのは理想的なコンデンサとして計算するときの約束で、現場で「外したから安全」とは言えない理由がここにあります(後半の現場の節で扱います)。

静電容量|「1 V あたり何 C ためられるか」

定義と、容量を決めているもの

C = Q/V [F]

Q:片方の極板の電荷 [C]/V:極板間の電圧 [V]/1 F = 1 C/V

ためられる電荷は電圧に比例します。電圧を2倍にすれば電荷も2倍。その比例定数が静電容量 C です。

「電圧を上げると静電容量が大きくなる」は誤りです。電圧を上げて増えるのは電荷 Q で、Q/V の比は変わりません。静電容量を決めているのは、極板の面積・極板の間隔・あいだの材料という「形と材料」です(理想的なコンデンサとして扱う場合)。問題文で「電圧を2倍にした」とあれば、C は動かさずに Q と W を動かします。

単位の桁を、計算する前にそろえる

1 F は非常に大きな容量で、教科書や試験問題に出てくる値は µF・nF・pF で書かれていることがほとんどです。接頭語どうしで掛け算をすると、答えの単位もそのまま決まります。10の指数を毎回書き出すより、この対応を先に知っておくほうが速く、ミスも減ります。

容量の単位 F に直すと CV と ½CV2 の単位
µF(マイクロ) 10−6 F µC と µJ
nF(ナノ) 10−9 F nC と nJ
pF(ピコ) 10−12 F pC と pJ

たとえば 47 µF×12 V=564 µC、½×47 µF×(12 V)2=3,384 µJ=3.384 mJ。µFのまま計算して、答えの単位にµを付けるだけです。1,000 µC=1 mC、1,000 µJ=1 mJ の換算は最後にまとめて行います。

平行平板コンデンサ|式を静電気の知識から組み立てる

4行で導く

C=ε0εrS/d は、覚えるより組み立てたほうが条件まで一緒に身につきます。材料は静電気とクーロンの法則で見た、電束密度と一様な電界の2つです。極板の面積を S(教材によっては A)、間隔を d とします。

① D = Q/S [C/m2]

② E = D/(ε0εr) = Q/(ε0εrS)

③ V = Ed = Qd/(ε0εrS)

④ C = Q/V = ε0εrS/d [F]

ε0=8.854 187 8188(14)×10−12 F/m(CODATA 2022の推奨値、NIST掲載)。試験では問題文に書かれた値を使う

①は「極板の電荷が面全体に一様に広がる」、③は「極板のあいだの電界が一様」という前提で書いた式です。④の答えには Q も V も残りません。さきほどの「容量は形と材料で決まる」が、式の形でも確かめられます。真空の誘電率の値は米国立標準技術研究所(NIST)の物理定数ページに掲載されています。

この式が成り立つ前提

前提 外れるとどうなるか
間隔 d が極板の大きさに比べて十分小さい 極板の端では電界が外へふくらむ(端効果)。間隔が広いと、実際の容量は式の値より大きめになる。試験問題は「端効果は無視する」と断ってくる
誘電体が極板間をすき間なく一様に満たす 一部だけのときは、この1本の式では書けない。直列または並列の組合せとして考える(後の節で扱う)
面積は m2、間隔は m で代入する cm2 は×10−4、mm は×10−3。cm2 を×10−2 としてしまうのが典型的な失点で、答えが100倍ずれる

計算例1|容量・電荷・電界・エネルギーを一続きで出す

問題 極板面積 50 cm2、極板間隔 0.20 mm、あいだを比誘電率 3.0 の絶縁フィルムで満たした平行平板コンデンサに 100 V を加えた。静電容量、電荷、極板間の電界、蓄えられるエネルギーを求めよ。端効果は無視し、ε0=8.854×10−12 F/m とする。

① 単位をSIに直す。S=50×10−4=5.0×10−3 m2、d=0.20×10−3=2.0×10−4 m

② 容量。先に S/d=5.0×10−3/(2.0×10−4)=25 m を出しておくと、C=8.854×10−12×3.0×25=6.64×10−10 F=664 pF(0.664 nF)

③ 電荷。Q=CV=664 pF×100 V=66,400 pC=66.4 nC

④ 電界。E=V/d=100/(2.0×10−4)=5.0×105 V/m(1 mm あたり 500 V)

⑤ エネルギー。W=½CV2=½×664 pF×10,000 V2=3,320,000 pJ=3.32 µJ

⑥ 検算。電束密度から逆にたどると、D=Q/S=6.64×10−8/(5.0×10−3)=1.33×10−5 C/m2。E=D/(ε0εr)=1.33×10−5/(2.66×10−11)=5.0×105 V/m で、④と一致します。2通りの道で同じ値が出れば、単位の換算は合っています。

直列接続|電荷がそろう理由と、そろわない場合

なぜ各コンデンサの電荷が等しくなるのか

C1 と C2 を直列につなぐと、C1 の右の極板と C2 の左の極板は導線でつながった1つの導体になり、しかもほかのどこともつながっていない「島」になります。電源が C1 の左の極板を +Q にすると、島の中の電子が引き寄せられて C1 の右の極板に −Q が現れ、電子が抜けた分だけ C2 の左の極板が +Q になります。島全体の電荷は、はじめ0なら最後まで0。だから各コンデンサには、大きさの等しい電荷 Q が並ぶのです。

この理屈の前提は「島の電荷がはじめ0」であることです。別々に充電しておいたコンデンサを、あとから直列につないだ場合、島にははじめから電荷があるので、各コンデンサの電荷は等しくなりません。試験問題が「はじめ電荷は蓄えられていないものとする」と断ってくるのは、この前提を確認するためです。

合成の式と、分圧の式を導く

電荷が共通の Q なので、各コンデンサの電圧は V1=Q/C1、V2=Q/C2。全体の電圧はその和です。

V = V1 + V2 = Q/C1 + Q/C2

1/C = 1/C1 + 1/C2

2個なら C=C1C2/(C1+C2)(和分の積)/同じ容量 C0 を n 個なら C=C0/n

合成容量は、つないだどのコンデンサよりも小さくなります。同じ平行平板を2個直列にするのは、極板間隔を2倍にしたコンデンサを1つ作ったのと同じだと考えると納得できます(間隔が広いほど容量は小さい)。

各コンデンサが受け持つ電圧は、容量の逆比になります。

V1 = C2/(C1+C2) × V

V2 = C1/(C1+C2) × V

分子に来るのは「相手側」の容量です。容量が小さいコンデンサほど、大きな電圧を受け持ちます。抵抗の分圧では自分の抵抗が分子に来るので、式を丸暗記するより、「Q が同じなら V=Q/C。C が小さいほど V が大きい」と毎回たどるほうが確実です。

計算例2|容量の違う2個を直列にしたら、耐電圧は足し算できるか

問題 C1=10 µF と C2=40 µF を、はじめ電荷のない状態で直列につなぎ、150 V の直流電圧を加えた。各コンデンサの電圧を求めよ。また、2個とも耐電圧(加えてよい電圧の上限)が 100 V のとき、この直列回路に加えてよい電圧の上限を求めよ。

① 合成容量。C=10×40/(10+40)=400/50=8.0 µF

② 電荷。Q=8.0 µF×150 V=1,200 µC(1.2 mC)。直列なので2個とも同じ

③ 各電圧。V1=1,200/10=120 V、V2=1,200/40=30 V。和は 150 V で、分圧の式 V1=40/50×150=120 V とも一致する

④ 耐電圧と比べる。C1 は 120 V で、100 V を超えている。全体の 150 V は「100 V×2個=200 V」より小さいのに、容量の小さい C1 に電圧が偏るからです。

⑤ 上限を出す。C1 の分担は、全体の電圧によらず 40/50=0.80。0.80×(全体の電圧)≦100 V から、全体は 125 V まで。このとき C2 は 25 V しか受け持っていません。

耐電圧を足し算してよいのは、容量がそろっていて電圧が均等に分かれるときだけです。しかも直流を長時間かけ続けると、分担は容量の比ではなく、各コンデンサの絶縁抵抗(漏れ電流の流れにくさ)の比に近づいていきます。容量が等しくても均等になるとはかぎらないので、実際にコンデンサを直列で使うときは、各コンデンサに分圧用の抵抗を並べて分担をそろえることがあります。

並列接続|電圧がそろい、電荷は容量に比例して分かれる

合成の式を導く

並列では、どのコンデンサも同じ2点のあいだにつながるので、電圧 V が共通です。電荷は Q1=C1V、Q2=C2V と容量に比例して分かれ、全体の電荷はその和になります。

Q = Q1 + Q2 = (C1 + C2)V

C = C1 + C2 / Q1:Q2 = C1:C2

同じ平行平板を2個並列にするのは、極板の面積を2倍にしたコンデンサを1つ作ったのと同じです(面積が広いほど容量は大きい)。

抵抗ではなく「コンダクタンス」と同じ形

「コンデンサの合成は抵抗と逆」と覚える方法がありますが、分圧・分流まで含めてそろえるなら、抵抗の逆数であるコンダクタンス G=1/R と同じ形と覚えるほうが崩れません。

比べるところ 抵抗 R G と C(同じ形)
直列の合成 そのまま足す 逆数の和
並列の合成 逆数の和 そのまま足す
直列でそろう量 電流 I G なら電流 I、C なら電荷 Q
直列で大きな電圧を受け持つのは R が大きいもの G・C が小さいもの
並列で多く受け持つのは R が小さいもの(電流) G・C が大きいもの(G は電流、C は電荷)

右の列を G と C でまとめて書けるのは、「電流 I=GV」と「電荷 Q=CV」が同じ形の式だからです。抵抗側の合成と分圧・分流は直流回路の基礎(合成抵抗・分圧分流)で確認できます。

誘電体と極板間隔|何が一定かを先に決める

条件ごとの変化を、表で確かめる

極板間を比誘電率 εr の誘電体ですき間なく満たすと、容量は εr 倍になります。極板間隔を k 倍にすると、容量は 1/k 倍です。ここまでは式から直接出ますが、電荷・電圧・電界・エネルギーがどう変わるかは、電源につないだままか、切り離してからかで逆になります。

(a) 比誘電率 εr の誘電体で、極板間をすき間なく満たす

量 電源につないだまま(V 一定) 切り離してから(Q 一定)
容量 C εr 倍 εr 倍
電荷 Q εr 倍 変わらない
電圧 V 変わらない 1/εr
電界 E 変わらない 1/εr
エネルギー W εr 倍 1/εr

(b) 極板間隔を k 倍にする

量 電源につないだまま(V 一定) 切り離してから(Q 一定)
容量 C 1/k 1/k
電荷 Q 1/k 変わらない
電圧 V 変わらない k 倍
電界 E 1/k 変わらない
エネルギー W 1/k k 倍

読み方の手順は2つだけです。① 一定の量を決める(つないだまま→V、切り離した→Q)。② 一定の量が入ったエネルギーの式を選ぶ(V 一定なら ½CV2、Q 一定なら Q2/(2C))。あとは C の倍率を入れるだけで、W が増えるのか減るのかが決まります。

見落とされやすいのは、(b) の表で、切り離して間隔を広げても電界 E が「変わらない」欄です。電荷 Q が一定なら電束密度 D=Q/S も一定で、E=D/(ε0εr) も変わりません。間隔が広がったぶん、V=Ed で電圧だけが上がります。「間隔を広げたから電界は弱まる」と答えると、ここで外します。

エネルギーの増減は、どこから来てどこへ行くのか

電源につないだまま誘電体を入れると、電荷が (εr−1)CV だけ電源から追加で流れ込みます。電源が送り出したエネルギーは、その電荷×V で (εr−1)CV2。ところがコンデンサに増えたエネルギーは ½(εr−1)CV2 で、ちょうど半分です。残りの半分は、誘電体を極板のあいだへ引き込む力がした仕事などに回ります。

切り離してから入れた場合は、電源がないのでエネルギーは外から入りません。容量が増えたぶん電圧が下がり、W は 1/εr に減ります。減ったぶんも、誘電体を引き込む力の仕事になります。どちらの場合も誘電体は極板間へ引き込まれるので、「エネルギーが減ったのに、どこへ消えたのか」と迷ったら、この力を思い出してください。

誘電体を「厚さの一部」だけ入れる→直列とみなす

厚さ t の誘電体の板を、極板と平行に、面積いっぱいに入れた場合です(t<d)。極板間は「厚さ d−t の空気の層」と「厚さ t の誘電体の層」が重なった状態で、2つのコンデンサを直列につないだものと考えられます。層の境目は電位が等しい面なので、そこに薄い導体の板をはさんでも電界は変わらず、2個のコンデンサに分けて考えてよいのです。

1/C = (d − t)/(ε0S) + t/(ε0εrS)

C = ε0S/(d − t + t/εr)

分母の d−t+t/εr は、誘電体の部分だけ厚さを εr 分の1に縮めて見た間隔です。誘電体を片方の極板にくっつけて入れても、真ん中に浮かせて入れても、層の厚さが同じなら容量は同じです。

誘電体を「面積の一部」だけ入れる→並列とみなす

今度は、間隔 d をいっぱいに満たす誘電体を、面積の一部 S2 にだけ入れた場合です(残りの S1 は空気)。どちらの部分にも同じ電圧 V がかかるので、2つのコンデンサを並列につないだものとして足し算します。

C = ε0S1/d + ε0εrS2/d

入れ方 2つの部分で等しくなる量 組合せ
厚さ方向に一部(層が重なる) 電荷 Q(電束密度 D) 直列
面積方向に一部(横に並ぶ) 電圧 V(電界 E) 並列

見分け方は、電気力線が「空気と誘電体を順に通り抜ける」なら直列、「どちらか一方だけを通る」なら並列です。

静電エネルギー|なぜ ½ が付くのか

電荷を運ぶほど、次の電荷は運びにくくなる

空のコンデンサに電荷を運び込む作業を考えます。最初の電荷は電圧0の状態で運ぶので、仕事はほとんどいりません。しかし電荷がたまるほど電圧が上がり、次の電荷を運ぶには大きな仕事が必要になります。電圧は電荷に比例して0から V まで直線的に上がるので、全体を平均すると、V/2 の電圧に逆らって Q を運んだことになります。

実際に4回に分けて確かめます。1回に運ぶ電荷は Q/4 で、その回の平均の電圧(始めと終わりの中間)を掛けます。

回 運ぶ電荷の範囲 平均電圧 仕事
1 0 → Q/4 V/8 QV/32
2 Q/4 → Q/2 3V/8 3QV/32
3 Q/2 → 3Q/4 5V/8 5QV/32
4 3Q/4 → Q 7V/8 7QV/32
計 — — 16QV/32
=½QV

電圧が直線的に上がるので、何回に分けても合計はちょうど ½QV になります。横軸に Q、縦軸に V をとったグラフで言えば、原点から伸びる直線の下にできる三角形の面積がエネルギーです。

3つの形と、どれを使うか

W = ½QV = ½CV2 = Q2/(2C) [J]

Q=CV を代入すれば互いに移り変われるので、覚えるのは ½QV と Q=CV の2つで足ります。どれを使うかは、問題の中で変わらない量が何かで決めます。

式 使う場面 読み取れること
½CV2 電源につないだまま(V 一定)、または C と V が与えられたとき V 一定なら W は C に比例
Q2/(2C) 切り離したあと(Q 一定) Q 一定なら W は C に反比例
½QV Q と V が両方わかっているとき 電源が送り出したエネルギー QV と比べられる

電源から充電すると、電源が出したエネルギーの半分しか残らない

一定電圧 V の直流電源から、抵抗を通して空のコンデンサを充電します。充電し終わるまでに電源が送り出した電荷は Q=CV で、そのあいだ電源の電圧はずっと V なので、電源がした仕事は QV=CV2。ところがコンデンサに残るのは ½CV2 です。

残りの半分は、抵抗でジュール熱になります。しかも、この「半分」という割合は抵抗の大きさによりません。抵抗が小さければ大きな電流が短い時間、抵抗が大きければ小さな電流が長い時間流れて、合計の発熱はどちらも ½CV2 です。前提は「電源の電圧が一定」「はじめ電荷0」「充電し終わるまで待つ」の3つです。

計算例3|充電したコンデンサを、空のコンデンサにつなぐ

問題 120 V に充電した C1=30 µF を電源から切り離し、電荷のない C2=10 µF と並列につないだ。つないだあとの電圧と、つなぐ前後の静電エネルギーの変化を求めよ。

① 変わらない量を決める。電源はなく、電荷の行き場は2個のコンデンサだけなので、電荷の合計が保存される。Q=30 µF×120 V=3,600 µC

② つないだあとは並列なので電圧が共通。V′=3,600 µC/(30+10) µF=90 V。電荷は C1 に 2,700 µC、C2 に 900 µC と、容量に比例して分かれる

③ つなぐ前のエネルギー。W=½×30 µF×(120 V)2=216,000 µJ=216 mJ

④ つないだあと。W′=½×40 µF×(90 V)2=162,000 µJ=162 mJ

⑤ 差は 54 mJ。つなぐ前の 25 % が失われた。一般に、失われる割合は C2/(C1+C2)=10/40 になる

電荷は保存されるのに、エネルギーは保存されません。失われた 54 mJ は、電荷が移動するときに導線の抵抗で熱になったり、接点で火花になったりしたぶんです。抵抗の大きさによらず同じだけ失われる、というのはさきほどの充電の話と同じ構造です。

もし両方とも充電されていて、極性を逆向きにつないだら、+と−の電荷が打ち消し合うので、残るのは電荷の差です。同じ向きなら和、逆向きなら差。そのあと容量の合計で割る、という手順は変わりません。

ビルメンの現場では|電源を切っても電荷が残る

ビルの高圧受電設備には、力率を改善するための進相コンデンサが組み込まれていることが多く、これもここで学んだコンデンサです(力率改善の計算は交流電力と力率改善で扱います)。また電力ケーブルも、中心の導体と外側の遮へい層のあいだを絶縁物で隔てた構造なので、長さに比例した静電容量をもちます(地中送電線路で計算する充電容量がこれです)。

電源を切っても、コンデンサの電荷はすぐには0になりません。e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」の第339条第1項第2号は、停電作業を行うときの措置として、「開路した電路が電力ケーブル、電力コンデンサー等を有する電路で、残留電荷による危険を生ずるおそれのあるものについては、安全な方法により当該残留電荷を確実に放電させること」と定めています。続く第3号では、高圧・特別高圧だった電路について、検電器具で停電を確かめ、短絡接地器具で確実に短絡接地することを求めています。

残った電荷がなぜ危ないかは、エネルギーの式から読めます。W=½CV2 は電圧の2乗に比例するので、同じ 1.0 µF でも、100 V なら 5.0 mJ、6,600 V なら約 22 J です。電圧が66倍でエネルギーは約4,400倍になります(式の比較のために置いた数値で、特定の設備の値ではありません)。放電用の抵抗が組み込まれている場合でも、電荷が抜けるまでには時定数 RC に応じた時間がかかります。「スイッチを切ったから0 V」ではなく、「放電させて、検電で確かめてから0 V」という順番が規則になっている理由がここにあります。

理解できたか確かめる3問

本文の計算例では扱わなかった「誘電体を厚さの一部だけ入れる」「充電中に抵抗で失われるエネルギー」「逆向きにつないだときの電圧」を1問ずつ確かめます。答えを開くのは、自分の数字が出てからにしてください。3問とも当サイトが独自に作った問題で、過去の試験問題を写したり手直ししたりしたものではありません。

確認1|誘電体を厚さの一部だけ入れたときの容量

極板間隔 3.0 mm の空気コンデンサ(容量 C0)の極板間に、厚さ 2.0 mm・比誘電率 4.0 の誘電体の板を、極板と平行に面積いっぱいに入れました。容量は C0 の何倍になりますか。端効果は無視し、空気の比誘電率は1とします。

(1)0.50倍
(2)1.33倍
(3)2.0倍
(4)3.0倍
(5)4.0倍

確認2|充電中に抵抗で失われるエネルギー

電荷のない 25 µF のコンデンサを、抵抗を通して 160 V の直流電源につなぎ、充電が終わるまで待ちました。このあいだに抵抗で熱になったエネルギーとして正しいものはどれですか。電源の電圧は一定とします。

(1)0 J
(2)0.16 J
(3)0.32 J
(4)0.64 J
(5)抵抗の値がわからないので求められない

確認3|充電済みの2個を逆向きにつないだときの電圧

100 V に充電した C1=6.0 µF と、200 V に充電した C2=2.0 µF を、それぞれ電源から切り離しました。そのあと、C1 の+側と C2 の−側、C1 の−側と C2 の+側をつなぎました。落ち着いたあとの電圧として正しいものはどれですか。

(1)25 V
(2)50 V
(3)100 V
(4)125 V
(5)150 V

押さえどころと、次に読むところ

  • 静電容量 C=Q/V は形と材料で決まる。電圧を上げて増えるのは Q で、C は変わらない。
  • µF×V=µC、µF×V2÷2=µJ。接頭語のまま計算して、最後に換算する。
  • C=ε0εrS/d は、D=Q/S と V=Ed から4行で組み立てられる。端効果を無視し、誘電体がすき間なく満たすときの式。
  • 直列で電荷がそろうのは、あいだの「島」の電荷がはじめ0だから。電圧は容量の逆比で分かれ、小さいコンデンサほど大きな電圧を受け持つ。耐電圧は単純に足せない。
  • 並列は電圧が共通で、電荷は容量に比例。合成の形は、抵抗ではなくコンダクタンスと同じ。
  • 一定の量を先に決める。つないだまま→V 一定で ½CV2、切り離した→Q 一定で Q2/(2C)。切り離して間隔を広げても E は変わらない。
  • 誘電体が厚さの一部なら直列(C=ε0S/(d−t+t/εr))、面積の一部なら並列。
  • W=½QV の ½ は、電圧が0から直線的に上がるから。電源から充電すると、電源の仕事 QV の半分は抵抗で熱になり、その割合は抵抗の大きさによらない。
  • コンデンサどうしをつなぐと、電荷は保存されるがエネルギーは減る。同じ向きなら電荷の和、逆向きなら差。
  • 停電作業では残留電荷を放電させ、高圧なら検電と短絡接地で確かめる(労働安全衛生規則第339条)。

手を動かして確かめる

2026年9月15日に、次の3つの資料を原文で確認しました。真空の誘電率の値(NIST掲載のCODATA 2022推奨値)、停電作業で残留電荷を放電させる義務(e-Gov法令検索の労働安全衛生規則第339条)、理論科目の範囲と解答方式(電気技術者試験センターの試験概要)。計算例・確認問題の容量、電圧、寸法、比誘電率、耐電圧は、解き方を追いやすいように当サイトが決めた数字です。実在する機器の定格や設備の値を示したものではないので、実際の機器を扱うときは銘板や取扱説明書の値に従ってください。

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

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