直流機の特性を問う問題は、「何を一定にして、何を動かすか」でできています。 端子電圧はそのままで、負荷を重くする。トルクはそのままで、電圧を下げる。回転速度はそのままで、負荷の電流を増やす。一定に保つものが決まると、式の中で動く文字は1つか2つに減ります。この回は、つなぎ方ごとの特徴を1問、分巻の逆起電力を1問、速さの変え方を2問、効率を1問で確かめます。
問題は5つとも、当サイトが一から用意しました。過去の試験の文や数字は使っていません。解答欄では、正解のわけに加えて、残りの4つがどんな思い違いから出てくるのかを、選択肢ごとに説明します。電圧や抵抗の値は、計算の流れを見せるために置いたもので、実在する機械の定格ではありません。
つなぎ方ごとの式、速さを変える3つの方法、損失の分け方は、解説記事の直流機の特性と計算 に、計算例つきで載せています。解答欄の説明でつまずいたら、該当する節へ戻ってください。さらに演習するなら、第2回 ・第3回 へ。それぞれ5問です。
最初に|一定を先に読む
5問それぞれで、一定に保つものと、そこから決まることを並べます。
問い
一定に 保つもの
そこから 決まること
第1問 つなぎ方
端子電圧と 界磁の調整
磁束の動きが つなぎ方で 分かれる
第2問 分巻
端子電圧
界磁電流も 一定
第3問 方法
電圧・磁束・ 抵抗のうち 2つ
残る1つで 速さが動く
第4問 電圧
磁束と、 負荷の トルク
電機子電流も 一定
第5問 効率
端子電圧と 回転速度
界磁の銅損、 鉄損、機械損 もほぼ一定
右の列が、解くときの足がかりです。問題文に「一定」「変えずに」「そのまま」とあったら、まず丸で囲みます。そこから、もう1つ一定のものが出てきます。残った文字を追えば、答えに届きます。
文字の使い方は、解説記事と同じです。V は端子電圧、E は起電力(電動機では逆起電力)。電流は3つ出てきます。外の回路とやりとりする I (電動機なら電源から入り、発電機なら負荷へ出ていく)、電機子を通る I a 、界磁巻線を通る I f です。抵抗は、電機子回路のものを R a 、分巻界磁の回路のものを R f と書きます。Φ は磁極1つぶんの磁束、N は1分あたりの回転速度、K は機械ごとに決まる定数です。計算では、ブラシでの電圧降下と電機子反作用を入れません。機械科目でどこまでが出題範囲になるかは、電気技術者試験センターの試験概要 に載っています。
第1問|つなぎ方の見分け
界磁のつなぎ方が違う直流機が3台ある。どれも、端子電圧(発電機は回転速度)と界磁の調整はそのままにして、負荷だけを変える。ア〜ウに当てはまるつなぎ方を正しく並べたものはどれか。
ア 電動機。負荷が軽くなるほど磁束が減って、速く回る。負荷がなくなると、速さが上がりすぎる。
イ 電動機。負荷が重くなっても、速さは少ししか下がらない。定速度電動機と呼ばれる。
ウ 発電機。界磁巻線を2つもち、その磁束が足し合う向きにつないである。負荷の電流が増えても、端子電圧がほぼ変わらないように調整してある。
(1)ア 分巻 イ 直巻 ウ 和動複巻
(2)ア 分巻 イ 直巻 ウ 差動複巻
(3)ア 直巻 イ 分巻 ウ 差動複巻
(4)ア 直巻 イ 分巻 ウ 和動複巻
(5)ア 直巻 イ 和動複巻 ウ 分巻
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正解:(4)
端子電圧と界磁の調整が同じでも、負荷が変わったときに磁束がどう動くかは、つなぎ方で違います。そこが、見分けるところです。
アは直巻。 直巻では、電機子を通った電流が、そのまま界磁巻線にも流れます。負荷が軽くなって電流が減ると、磁束も減ります。速さの式 N =(V −R a I a )/(K Φ) は、磁束が分母にあるので、磁束が減ると速くなります。
イは分巻。 分巻の界磁巻線には、端子電圧がかかっています。端子電圧が変わらなければ、界磁電流も磁束も動きません。負荷が重くなって変わるのは、抵抗で落ちる電圧 R a I a だけなので、速さは少し下がるだけです。試験センターの公開問題でも、分巻電動機は定速度電動機と呼ばれています。
ウは和動複巻。 分巻界磁と直巻界磁の両方をもつのが複巻で、2つの磁束が足し合う向きのものを和動複巻といいます。負荷の電流が増えると直巻界磁の磁束が増え、分巻発電機なら下がるはずの端子電圧を補います。日本電気技術者協会の、直流発電機を扱った講座は、端子電圧がほぼ一定になるものを平複巻、上がるものを過複巻と呼び、どちらも和動複巻に入れています。
(1)アとイが入れかわっています。分巻は、負荷が軽くなっても磁束が減りません。負荷がなくなっても、速さは少し上がるだけです。
(2)アとイが逆で、ウも違います。差動複巻は、次の(3)のとおりです。
(3)アとイは合っています。ウの差動複巻は、直巻界磁の磁束が、分巻界磁の磁束を打ち消す向きです。負荷の電流が増えるほど磁束が減るので、端子電圧は大きく下がります。「足し合う向き」「ほぼ変わらない」のどちらにも合いません。
(4)正しい並びです。
(5)アは合っています。イの和動複巻電動機は、負荷が重くなると直巻界磁の磁束が加わります。同協会の直流電動機の講座によれば、重い負荷での速さは分巻より下がります。定速度電動機と呼ばれるのは分巻です。ウの分巻発電機は、界磁巻線が1つです。負荷の電流が増えると、端子電圧は下がります。
負荷を増やしたとき。 電動機は速さ、発電機は端子電圧で並べます。
方式
電動機の 速さ
発電機の 端子電圧
分巻
少しだけ 下がる
下がる
直巻
大きく 下がる
上がる
和動 複巻
分巻より 下がる
ほぼ一定か、 上がる
差動 複巻
ほとんど 使われない
大きく 下がる
他励は、分巻と同じ行に入ります。界磁電流を別の電源で決めるので、電動機なら磁束が一定で、速さは少ししか下がりません。発電機の端子電圧の下がりは、分巻より小さくなります。分巻発電機は、端子電圧が下がると界磁電流まで減るからです。直巻発電機の「上がる」は、鉄心が飽和するまでの話です。
直巻が向く仕事。 直巻電動機は、電流が大きいときに磁束も大きくなります。トルクは磁束と電流の掛け算なので、回し始めに大きなトルクが出ます。公開問題は、クレーンや巻上機に適した電動機として扱っています。アの後半、負荷がなくなると速さが上がりすぎるわけは、第2回 の第1問で問われます。発電機の端子電圧の動き方をくらべる問いは、第3回 の第2問にあります。
第2問|分巻の逆起電力
分巻の直流電動機を、端子電圧260 V で使っている。電源から入る電流は18 A で、界磁回路の抵抗は130 Ω、電機子回路の抵抗は1.5 Ω である。逆起電力[V]として正しい値はどれか。
(1)230
(2)233
(3)236
(4)257
(5)284
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正解:(3)236 V
分巻は、電源から入った電流が、界磁と電機子の2つに分かれます。逆起電力の式 E =V −R a I a に入れるのは、電機子を通るほうだけです。
① 界磁電流: I f =260/130=2 A
② 電機子電流: I a =18−2=16 A
③ 抵抗で落ちる電圧: 1.5×16=24 V
④ 逆起電力: 260−24=236 V
⑤ 電力で確かめる: 入力は 260×18=4,680 W。 界磁の銅損は 260×2=520 W。 電機子の銅損は 1.5×16×16=384 W。 残りは4,680−520−384=3,776 W。 236×16=3,776 W と合う。
(1)界磁電流を足しています。18+2=20 A として、260−1.5×20=230 V。 足すのは、発電機のときです。
(2)電源からの18 A を、そのまま電機子電流にしています。260−1.5×18=233 V。 他励電動機なら、この値になります。分巻では、18 A のうち2 A が界磁へ回ります。
(3)正しい値です。
(4)界磁電流の2 A に、電機子回路の抵抗を掛けています。260−1.5×2=257 V。 界磁電流は、電機子回路を通りません。
(5)抵抗で落ちる電圧を足しています。260+24=284 V は、発電機の起電力を出す式です。電動機は、端子電圧から引きます。
負荷を変えても、界磁電流は同じ。 端子電圧260 V のまま、電源からの電流だけを変えてみます。
電源 から [A]
界磁 電流 [A]
電機子 電流 [A]
逆起 電力 [V]
2
2
0
260
10
2
8
248
18
2
16
236
34
2
32
212
界磁電流の列は、どの行も2 A です。端子電圧が一定なら、負荷で動くのは電機子電流だけです。電機子電流を8 A から16 A へ2倍にしても、逆起電力は248 V から236 V へ、約5% 下がるだけでした。磁束が一定なら、速さは逆起電力に比例します。速さの下がりも約5% です。第1問のイの「少ししか下がらない」は、この数字のことです。
1行目は、電機子電流が0という、理想の場合です。実際の電動機は、軸に何もつながなくても、鉄損と機械損をまかなうぶんの電機子電流が流れます(解説記事の「負荷と効率」)。発電機では、電流の足し引きが逆になります。電機子がつくった電流から、界磁のぶんを引いた残りが負荷へ行くので、I a =I +I f です。第5問で使います。
第3問|速さを変える方法
直流電動機の速さの変え方について、次の(1)〜(5)から正しい記述を選べ。
(1)界磁制御は、界磁電流を変えて磁束を変える。界磁電流を増やして磁束を強めるほど、電動機は速く回る。
(2)抵抗制御は、電機子回路に直列に抵抗を足す。足した抵抗は電圧を分けるだけなので、電力の損失は増えない。
(3)界磁調整器と呼ぶ可変抵抗は、分巻電動機では界磁巻線と並列に、直巻電動機では界磁巻線と直列につなぐ。
(4)静止レオナード方式は、電機子回路に入れた抵抗をサイリスタで切りかえる方式で、抵抗制御の一種である。
(5)直流チョッパは、半導体のスイッチを入れている時間と切っている時間の割合を変えて、電動機に加わる平均の電圧を変える。
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正解:(5)
速さを決める式は N =(V −R a I a )/(K Φ) です。外から動かせるのは、電圧 V 、磁束 Φ、電機子回路の抵抗の3つ。どれか1つを動かし、残りの2つはそのままにします。
(1)前半は合っています。後半が逆です。磁束は式の分母にあるので、強めれば遅く、弱めれば速く回ります。他励電動機の界磁電流を大きくすれば回転速度が上昇する、という趣旨の文は、試験センターの公開問題で、誤りの側に置かれています。
(2)前半は合っています。足した抵抗には、電機子電流がそのまま流れます。抵抗値×電流の2乗の電力が、熱になります。日本電気技術者協会の直流電動機の講座も、抵抗制御は損失が大きい、としています。
(3)つなぎ方が逆です。分巻の界磁巻線には、端子電圧がかかっています。直列に抵抗を入れれば、界磁電流が減ります。並列につないでも、界磁巻線にかかる電圧は変わらないので、界磁電流は変わりません。直巻は、界磁巻線が電機子と直列です。並列に抵抗をつなぐと、電流の一部がそちらへ分かれて、界磁巻線を通る電流が減ります。同じ講座も、他励と分巻は直列、直巻は並列、と説明しています。
(4)抵抗を切りかえる方式ではありません。静止レオナード方式は、交流の電源を、サイリスタの変換器で直流に変えます。サイリスタを点弧する位相で、電機子に加える電圧を調整します。公開問題では、電圧制御法の一種で、おもに他励電動機に使う、とされています。
(5)正しい記述です。同協会の別の講座(変換装置を使った速度制御の回)は、直流チョッパについて、スイッチのオンとオフの時間の比率を変えれば電圧を連続して調整できる、と説明しています。この講座では、電機子の電圧を変える方式に入っています。
方法
動かすもの
速さ
電圧 制御
電機子に 加える電圧
下げると 遅くなる
界磁 制御
界磁電流 (磁束)
弱めると 速くなる
抵抗 制御
電機子回路 に足す抵抗
足すと 遅くなる。 熱が出る
定格の速さから、下か上か。 電機子に加える電圧は、定格を超えて上げないのが通例です。そのため、電圧で動かせるのは、定格の速さより下の側になります。定格より上の速さがほしいときは、界磁を弱めます。(5)の解説に出てきた講座は、ふつうは電機子の電圧を変える方式が多く使われ、界磁電流を変える方式は補助的に使われる、としています。
チョッパと抵抗のちがい。 抵抗制御は、いらない電圧を抵抗に受け持たせて、熱にします。チョッパは、スイッチを切っているあいだ、電源から電流を取りません。同じ講座は、直流チョッパには可変抵抗器での電力の損失がない、としています。チョッパがどんな回路でできているかは、パワーエレクトロニクス の記事で扱います。抵抗制御の欠点を選ぶ問いが、第3回 の第4問にあります。
第4問|電圧を下げた速さ
他励の直流電動機が、端子電圧180 V、電機子電流15 A、回転速度1,620 min−1 で回っている。電機子回路の抵抗は1.2 Ω である。界磁電流は変えずに、端子電圧を半分の90 V に下げた。負荷のトルクは速さによらず一定とする。下げたあとの回転速度[min−1 ]はどれか。
(1)720
(2)810
(3)900
(4)1,620
(5)3,645
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正解:(1)720 min−1
一定のものを、先に拾います。界磁電流を変えないので、磁束は一定です。トルクは Φ×I a に比例します。トルクも磁束も一定なら、電機子電流は15 A のままです。
① 抵抗で落ちる電圧: 1.2×15=18 V (前もあとも同じ)
② はじめの逆起電力: 180−18=162 V
③ 1 V あたりの速さ: 1,620/162=10 min−1
④ あとの逆起電力: 90−18=72 V
⑤ あとの速さ: 72×10=720 min−1
(1)正しい値です。
(2)速さが端子電圧に比例するとしています。1,620×90/180=810。 電圧が半分なら電流も半分になる、と考えても、同じ値になります(90−9=81 V)。 電機子電流を決めているのは、負荷のトルクです。①の18 V は、電圧を下げても減りません。
(3)あとの逆起電力を、90 V のままにしています。1,620×90/162=900。 18 V を、はじめの側でしか引いていません。
(4)磁束が一定なら速さも変わらない、としています。速さを決めるのは、逆起電力と磁束の比です。磁束が同じでも、逆起電力が162 V から72 V に下がれば、速さも下がります。
(5)比を逆にしています。1,620×162/72=3,645。 弱めると速くなるのは、磁束です。電圧は、下げると遅くなります。
電圧ごとに並べる。 右の列は、逆起電力を端子電圧で割った値です。入力 V ×I a のうち、電機子の中で動力に変わる E ×I a の割合にあたります。
端子 電圧 [V]
逆起 電力 [V]
速さ [min−1 ]
動力に 変わる 割合
180
162
1,620
90%
135
117
1,170
約87%
90
72
720
80%
45
27
270
60%
18
0
0
0%
半分より遅くなる。 電圧を半分にしたのに、速さは1,620の約44% です。抵抗で落ちる18 V は、電圧を下げても変わりません。180 V のうちの18 V は1割ですが、90 V のうちの18 V は2割です。
18 V では回らない。 端子電圧が18 V まで下がると、逆起電力が0になります。15 A を流すだけで、電圧を使い切るからです。このトルクの負荷を回すには、18 V より高い電圧が要ります。
抵抗制御とくらべる。 180 V のまま、抵抗を足して720 min−1 にするとします。抵抗で受け持つ電圧は 180−72=108 V。 回路の抵抗は 108/15=7.2 Ω 要るので、足すのは6.0 Ω です。入力は、抵抗制御が2,700 W(180×15)、 電圧制御が1,350 W(90×15)。 動力に変わるのは、どちらも1,080 W(72×15) です。抵抗制御は、足した抵抗だけで1,350 W(6.0×15×15) を熱にします。
「他励」と断ったわけ。 分巻のまま端子電圧を下げると、界磁巻線にかかる電圧もいっしょに下がります。界磁電流が減るので、「磁束は一定」という足がかりが使えません。第3問の(4)で見たとおり、静止レオナード方式は、おもに他励電動機に使います。
電機子回路の抵抗で落ちる電圧を0とみなせば、速さは電圧にぴったり比例して、半分になります。その形の問いが、第3回 の第5問にあります。同じ負荷を、電圧・抵抗・界磁の3つの方法で動かしたくらべは、解説記事の計算例5で読めます。
第5問|発電機の効率
分巻の直流発電機が、端子電圧250 V で、負荷へ76 A を送っている。界磁電流は4 A、電機子回路の抵抗は0.125 Ω、鉄損と機械損は合わせて1,200 W である。(a) 損失の合計[W]と、(b) 効率[%]の正しい組を選べ。
(1)(a) 3,000 (b) 84.2
(2)(a) 3,000 (b) 86.4
(3)(a) 2,922 (b) 86.7
(4)(a) 2,000 (b) 90.5
(5)(a) 1,800 (b) 91.3
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正解:(2)
発電機は、電気の出力が、電圧×電流ですぐに出ます。そこへ損失を足していって、軸からの入力を求めます。
① 出力: 250×76=19,000 W
② 電機子電流: I a =76+4=80 A
③ 電機子の銅損: 0.125×80×80=800 W
④ 界磁の銅損: 250×4=1,000 W
⑤ 損失の合計: 800+1,000+1,200=3,000 W
⑥ 軸からの入力: 19,000+3,000=22,000 W
⑦ 効率: 19,000/22,000×100≒86.4%
(1)(a) は合っています。(b) は、電動機の形の式に入れています。(19,000−3,000)/19,000 ≒84.2%。 19,000 W は出力です。入力は、これに損失を足した22,000 W です。
(2)正しい組です。
(3)電機子電流を、負荷の76 A のままにしています。電機子の銅損が 0.125×76×76=722 W になり、合計は2,922 W。19,000/21,922≒86.7%。 分巻発電機の電機子には、界磁へ行く4 A も流れています。
(4)界磁の銅損1,000 W を、数えていません。19,000/21,000≒90.5%。 界磁巻線で熱になる電力も、もとは軸から入ったものです。
(5)鉄損と機械損の1,200 W を、数えていません。19,000/20,800≒91.3%。 20,800 W は、起電力×電機子電流の 260×80 と同じ値です。これは電機子がつくった電力で、軸からの入力は、それより1,200 W 大きくなります。
入力22,000 W の行き先。
行き先
電力 [W]
入力に 対する 割合
鉄損と 機械損
1,200
約5.5%
電機子の 銅損
800
約3.6%
界磁の 銅損
1,000
約4.5%
負荷への 出力
19,000
約86.4%
負荷で大きく変わる損失は、1つだけ。 端子電圧250 V と回転速度を保ったまま、負荷の電流を半分の38 A にしてみます。電機子電流は42 A で、要る起電力は 250+0.125×42=255.25 V。 もとの260 V から2%ほどしか変わらないので、界磁電流の調整はわずかです。そこで、界磁の銅損1,000 W と、鉄損と機械損の1,200 W は、そのままとします。電機子の銅損は 0.125×42×42=220.5 W に減ります。損失の合計は2,420.5 W、出力は 250×38=9,500 W。 効率は 9,500/11,920.5≒79.7% に下がります。出力が半分になっても、損失は2割ほどしか減りません。
電動機なら、引いていく。 電動機は、電気の側が入力です。電圧×電流で入力を出し、そこから損失を引いて、軸の出力を求めます。分巻電動機の効率を出す問いは、第3回 の第3問にあります。負荷で変わる損失を選ぶ問いは、第2回 の第4問です。
5問のまとめ
つなぎ方: 負荷が変わっても磁束が変わらないのが、分巻と他励の電動機。電流といっしょに磁束が動くのが直巻。和動複巻は、2つの界磁の磁束を足し合わせる。
分巻の逆起電力: I f =V /R f 。 電動機は I a =I −I f で、E =V −R a I a 。
速さを変える方法: N =(V −R a I a )/(K Φ)。 電圧を下げると遅く、界磁を弱めると速く、抵抗を足すと遅くなる。抵抗制御は熱が出る。
電圧を下げた速さ: 磁束とトルクが一定なら、電機子電流も一定。速さは V −R a I a に比例する。
発電機の効率: 出力/(出力+損失)。分巻は I a =I +I f 。 損失は、電機子の銅損、界磁の銅損、鉄損と機械損。
計算の3問は、最初の表の「一定に保つもの」から始めると、式に入れる数字を取り違えにくくなります。分巻の電動機は界磁電流、トルクが一定なら電機子電流、速さが一定なら鉄損と機械損。動かないものを先に片づけます。
次に読むところ
出典と確認先
5つの問題と25の選択肢、6点の表は、当サイトでつくったものです。解説を書くときに確かめた資料は、次のとおりです。
上の5つのリンク(本文の試験概要を含む)は、2026年10月6日に開き、該当する箇所を読みました。機械科目の公開問題は、令和4年度の上期から令和8年度の上期まで、あわせて9回ぶんを読み、根拠にした文が、公式の解答で正しい側か誤りの側かを確かめてあります。問題の文は、このページに写していません。第3問の「定格の速さから、下か上か」と、第4問の「他励と断ったわけ」は、速さの式をもとに当サイトが組み立てた説明です。上に挙げた資料から写したものではありません。第2問・第4問・第5問の表と数値は、本文の式で計算しました。どれも、ブラシの電圧降下と電機子反作用がなく、第4問は磁束が一定、第5問の後半は、界磁の銅損と、鉄損・機械損が、負荷で変わらないとした場合の値です。このページは、独学で電験三種に取り組んでいる受験者が書きました。直流機を仕事で運転したり、保守したりしたことはありません。実際の機械を扱うときは、メーカーの取扱説明書に従ってください。
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