機械

直流機の構造と原理ミニテスト第1回|整流子とブラシ・積層にする鉄心・起電力の計算・逆起電力の5問

直流機で起きることの多くは、回転子が回っているから起きます。コイルの起電力の向きが入れかわるのも、電機子鉄心の中で磁束の向きが入れかわるのも、ブラシのあいだに電圧が出るのも、回っているあいだだけです。止めれば、どれもなくなります。止まった電動機に電圧をかけると大きな電流が流れるのは、電流を押し返す逆起電力が、まだ0だからです。この回は、部品の役目を2問、起電力の計算を1問、逆起電力を2問で確かめます。

5問は、このページのために新しくつくりました。本試験の問題から、文章も数値も借りていません。選ばなかった4つの選択肢が、どういう取り違えから出てくるのかも、解答欄に1つずつ書いてあります。導体の本数や電圧は、計算の道すじを追うために当サイトが決めた数字で、どこかの機械の仕様ではありません。

部品のつくりと、式がどこから出てくるのかは、解説記事の直流機の構造と原理にまとめてあります。解答欄でつまずいたら、そちらで確かめられます。問題を増やしたいときは、第2回と第3回に5問ずつあります。

直流機の構造と原理のミニテスト

第1回 第2回 第3回

最初に|回ると起きること

5問で扱うものを、回っているときと、止まっているときで並べます。

見るもの 回って
いるとき
止まって
いるとき
コイルの
起電力

第1問
向きが
入れかわる。
中は交流
起電力が
出ない
電機子
鉄心の
磁束

第2問
向きが
入れかわる。
渦電流が出る
向きは
変わらない
ブラシ間
の起電力

第3問
回転速度に
比例して出る
0 V
電動機の
逆起電力

第4問
第5問
出て、電流を
おさえる
0 V。
電流が大きい

右の列は、どれも「ない」か「0」です。直流機の式に回転速度が入っているのは、このためです。回転速度の入らないものもあります。電機子巻線の抵抗で落ちる電圧は、電流さえ流れていれば、止まっていても出ます。第4問と第5問では、この2つを分けて考えます。

文字の使い方は、解説記事に合わせました。起電力は E(電動機では逆起電力と呼びます)、端子電圧は V、電機子電流は Ia、電機子回路の抵抗は Ra です。極の数 p は、N 極と S 極を別々に数えます。Φ は磁極1つぶんの磁束、Z は電機子の導体の本数、a は並列回路数、N は1分あたりの回転速度です。5問とも、界磁は別の電源で励磁する他励とし、磁束は負荷によらず一定とします。ブラシでの電圧降下と電機子反作用は、計算に入れません。直流機は、機械科目の内容にある「電気機器」のひとつです(電気技術者試験センターの試験概要)。

第1問|整流子とブラシ

直流機の整流子とブラシを説明した5つの文がある。内容が正しくないものはどれか。

  1. (1)整流子は電機子巻線につながっていて、回転子と一緒に回る。ブラシは固定子の側にあり、回っている整流子の表面に触れている。
  2. (2)整流子の片は銅を材料とし、ブラシは炭素や黒鉛をもとにした材料でつくる。ブラシはすり減っていくので、保守が要る。
  3. (3)発電機の電機子巻線のコイルに生まれる起電力は、回転子がどの位置にあっても同じ向きである。整流子とブラシは、その大きさの波をならして、一定の電圧にする。
  4. (4)電動機では、導体が次の磁極の前へ移るたびに、整流子とブラシが導体の電流の向きを入れかえる。だから、トルクの向きは変わらない。
  5. (5)ブラシレス DC モータには、ブラシも整流子もない。電流の切りかえは、半導体のスイッチが受け持つ。

第2問|積層にする鉄心

界磁巻線に直流を流して使う直流機がある。鉄でできた部分のうち、薄い電磁鋼板を重ねた積層鉄心にするところと、その理由を述べた次の文から、部分と理由がどちらも正しいものを選べ。

  1. (1)電機子鉄心。回るにつれて、鉄心の同じ場所が N 極の前と S 極の前を交互に通り、中の磁束の向きが入れかわるから。
  2. (2)界磁鉄心。界磁電流は直流でも、電機子が回ると、界磁鉄心の中の磁束の向きが入れかわるから。
  3. (3)継鉄。磁束の帰り道なので、行きの磁束と帰りの磁束が、同じ場所を交互に通るから。
  4. (4)電機子鉄心。電機子巻線に大きな電流が流れて、鉄心に銅損が出るから。
  5. (5)電機子鉄心。板を重ねると磁束が通りやすくなり、同じ速さでも起電力が大きくなるから。

第3問|起電力と回転速度

8極で重ね巻の直流発電機がある。電機子の導体は全部で576本、磁極1つぶんの磁束は0.020 Wb である。無負荷で回して、ブラシのあいだに240 V の起電力を出すには、1分あたり何回転で回せばよいか。いちばん近い値[min−1]を選べ。

  1. (1)20.8
  2. (2)156
  3. (3)313
  4. (4)1,250
  5. (5)2,500

第4問|逆起電力と電力

他励の直流電動機が、端子電圧120 V、電機子電流30 A で、速さを変えずに回りつづけている。電機子回路の抵抗は0.30 Ω である。(a) 逆起電力[V]と、(b) 電機子の中で機械の動力に変わる電力[W]について、2つとも正しい値の組はどれか。

  1. (1)(a) 9 (b) 270
  2. (2)(a) 111 (b) 3,330
  3. (3)(a) 111 (b) 3,600
  4. (4)(a) 120 (b) 3,600
  5. (5)(a) 129 (b) 3,870

第5問|逆起電力の性質

他励の直流電動機を、端子電圧と界磁の磁束を一定に保って使う。逆起電力の説明として正しいのは、次のどれか。

  1. (1)逆起電力とは、電機子巻線の抵抗に電流が流れることで生じる、電圧降下のことである。
  2. (2)逆起電力の大きさは、発電機の起電力とは別の式で決まり、電機子電流に比例する。
  3. (3)電動機として回っているあいだは、逆起電力のほうが端子電圧より大きい。
  4. (4)始動の瞬間は逆起電力がいちばん大きいので、電機子電流はほとんど流れない。
  5. (5)負荷が重くなって回転速度が下がると、逆起電力は小さくなり、電機子電流は増える。

5問のまとめ

  • 整流子とブラシ:コイルの中は交流、ブラシの外は直流。整流子は回転子と一緒に回り、ブラシは固定子の側にある。
  • 積層にする鉄心:磁束の向きが入れかわる電機子鉄心。積層で減らすのは渦電流損。
  • 起電力:E=pZΦN/(60a)。重ね巻は a=p、波巻は a=2。N は1分あたりの回転。
  • 逆起電力:電動機では V=E+RaIa。E×Ia が、動力に変わる電力。
  • 回転と電流:止まっていると逆起電力は0で、電流がいちばん大きい。回るほど逆起電力が育って、電流は減る。

5つとも、最初の表の「回っているとき」と「止まっているとき」のどちらの話かを決めると、文の正誤が読みやすくなります。問題文に「無負荷」「始動」「一定の速さ」とあったら、そこが手がかりです。

次に読むところ

出典と確認先

問題5つ、選択肢25、表5点は、どれも当サイトの手づくりです。解説の根拠として読んだ資料を挙げます。

ここに挙げたリンクは、どれも2026年10月4日に開いて、中身を確かめました。試験センターの公開問題は、機械科目の9回分(令和4年度上期〜令和8年度上期)を読み、根拠にした文が公式の解答で正しい側にあることを確かめています。問題文そのものは載せていません。JIS の2つは、規格の本文を転載しているサイトで目を通しました。C 2801 は1995年版、C 2820 は2008年版です。規格は改正で変わることがあります。実務で頼るなら、いまの版を調べてください。第2問の、磁束が入れかわる回数と、第5問の速さごとの表は、本文の式から当サイトが計算したものです。第5問の表は、磁束が一定で、ブラシの電圧降下と電機子反作用がないとした場合の値です。書いているのは、電験三種を独学中の受験者で、直流機の設計や保守にたずさわった経験はありません。本物の機械にさわる場面では、メーカーの取扱説明書と、規格の原文にしたがってください。

※当サイトの画像にはAI生成のものが含まれており、実際の機器・器具とは外観が異なる場合があります。問題・解答の内容には細心の注意を払っておりますが、誤りが含まれる可能性があります。学習の参考としてご活用いただき、最終的な確認は公式テキスト・法令等で行ってください。当サイトの情報に基づく判断によって生じた損害について、一切の責任を負いかねます。

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