理論

電気計測と測定器|指示計器の動作原理、分流器と倍率器、内部抵抗による誤差、階級、ブリッジ【電験三種・理論】

半導体と電子回路までで、回路の電圧や電流を計算で求める道具はひととおりそろいました。この記事は、その電圧や電流を実際に測る側の話です。測定には、計算のときにはなかった事情が3つあります。計器をつなぐと回路そのものが変わること。計器の種類によって、応答する量(平均値か実効値か)が違うこと。読んだ値には必ず幅があること。電験三種では、理論科目の「電気計測及び電子計測」にあたる範囲です。指針がどこで止まるかという話から始めて、測定範囲の広げ方、内部抵抗による誤差、階級、ブリッジ、電力と電力量の測り方へと進みます。

この記事で押さえること

  • 指針は、駆動トルクと制御トルクがつり合う位置で止まる。速い変化には追いつけないので、駆動トルクの時間平均に応じた位置を指す。
  • 駆動トルクが電流に比例する可動コイル形は平均値に、電流の2乗に比例する可動鉄片形・電流力計形・熱電形は実効値に応答する。整流形は平均値に応答し、正弦波の実効値で目盛ってある。
  • 分流器は並列、倍率器は直列。どちらも「計器に最大目盛の電流が流れたとき、全体で目標の値になる」ように決める。
  • 計器の内部抵抗は回路の一部になる。誤差の大きさは、計器の内部抵抗と、計器から見た回路の抵抗との比で決まる。
  • 階級は、最大目盛値に対する百分率。読みが小さいほど、読みに対する誤差の割合は大きくなる。
  • ブリッジは零位法。平衡したとき検出器に電流が流れないので、検出器の目盛の正確さに頼らずに済む。交流ブリッジは、平衡の条件が2つある。
  • 電流力計形の電力計は、電圧と電流の瞬時値の積の平均、つまり有効電力を指示する。
  • 変流器の二次側は開放しない。計器用変圧器の二次側は短絡しない。

記号と前提。計器そのものに流せる最大目盛の電流を Im、内部抵抗を電流計は ra、電圧計は rv、分流器を Rs、倍率器を Rm と書きます。記号は教材によって違い、当サイトのミニテスト第2回では内部抵抗を Rm、倍率器を Rs、分流器を Rsh と書いています。記号ではなく「並列につなぐのか、直列につなぐのか」で読んでください。誤差は「測定値−真の値」で、負なら小さく読んでいることを表します。交流は、断りがなければ正弦波で、値は実効値です。例題に出てくる計器の内部抵抗や確度は、手順を追いやすい数字を当サイトで選んだものです。

指針が止まる位置は何で決まるか|駆動・制御・制動の3つのトルク

指針で値を示す指示計器(アナログ計器)の可動部には、3種類のトルクが働きます。測る量に応じて指針を回そうとする駆動トルク、ばねなどで元の位置へ戻そうとする制御トルク、指針の揺れを早くおさめる制動トルクです。ばねの制御トルクは回った角度に比例して強くなるので、指針は駆動トルクと制御トルクがつり合う角度で止まります。制動トルクは動いているあいだだけ働くので、止まる位置には関係しません。

可動部には慣性があるので、50 Hz のように速く向きや大きさが変わる駆動トルクには追いつけません。指針は、駆動トルクを時間で平均した値とつり合う位置を指します。すると、その計器が何を測っているのかは、駆動トルクが電流のどんな式になっているかで決まります。

駆動トルクの形と、指示する量

トルク∝i なら 指示∝i の平均

トルク∝i2 なら 指示∝i2 の平均

実効値は「2乗して、平均して、平方根をとった値」でした(交流回路の基礎)。駆動トルクが電流の2乗に比例する計器は、2乗の平均までを機械が自分でやってくれるので、目盛を実効値で刻んでおけば、波形が正弦波でなくても実効値を読めます。駆動トルクが電流そのものに比例する計器は、平均値しか分かりません。

動作原理ごとの違い|平均値に応答する計器、実効値に応答する計器

可動コイル形|直流の平均値を、等間隔の目盛で

永久磁石の磁界の中にコイルを置き、コイルに測る電流を流します。磁界の中の電流には力が働くので(磁気の基礎と電磁力の F=BIl)、コイルは回ろうとします。磁極の形と、コイルの内側に置いた円筒形の鉄心によって、コイルの辺が通る場所の磁束密度 B は、回った角度によらずほぼ一定にしてあります。巻数を N、コイルの面積を A とすると、駆動トルクは BNAI で、電流に比例します。ばねの制御トルクは角度 θ に比例するので、つり合いの式から θ は電流に比例し、目盛は等間隔になります。

感度が高く、計器自身が消費する電力は小さくて済みます。電流の向きが逆になるとトルクの向きも逆になるので、端子には+と−の区別があります。50 Hz の交流を流すと、トルクの向きが半周期ごとに入れ替わり、平均は0なので、指針は0の位置で細かく震えるだけです。「永久磁石を使っているから交流を測れない」というより、「指示するのが平均値で、交流の平均値が0だから」と押さえておくと、直流に交流が重なった電流では直流分だけを指示することまで説明がつきます。

整流形|平均値に応答し、正弦波の実効値で目盛ってある

ダイオードで交流を一方向の電流に直してから、可動コイル形の計器に流します。指針の振れは、整流した波形の平均値に比例します。けれども交流で知りたいのはふつう実効値なので、目盛は「平均値の1.11倍」で刻んであります。1.11 は、正弦波の実効値と整流した平均値の比(波形率、π/(2√2))です。JIS C 1102-2 の注にも、整流形の計器は一般に整流した値(平均値)に応答し、正弦波形の実効値を指示するように目盛られている、と書かれています。

正弦波を測るかぎり、読みは実効値に一致します。波形がひずんでいると波形率が1.11 ではなくなるので、読みは実効値からずれます。どの波形でどれだけずれるかは交流回路の基礎の波形ごとの表に、整流した波形の平均値の出し方は半導体と電子回路にあります。

可動鉄片形|電流の2乗に比例、主に商用周波数の交流用

固定したコイルの内側に、固定鉄片と可動鉄片を並べて置きます。コイルに電流を流すと2つの鉄片が同じ向きに磁化され、反発して可動鉄片が動きます(鉄片をコイルへ引き込む力を使う形もあります)。電流の向きが逆になっても、2つの鉄片の磁化が同時に逆になるので、力の向きは変わりません。駆動トルクは電流の2乗に比例し、交流では実効値を指示します。

2乗に比例するので、目盛は本来は等間隔にならず、0に近い側が詰まります。鉄片の形を工夫して、よく使う範囲の目盛をなるべく均等に近づけてあります。可動部に電流を流さないので構造が丈夫で、比較的大きな電流もコイルに直接流せます。直流でも指針は振れますが、鉄片のヒステリシスのために、電流を増やしていくときと減らしていくときで指示が食い違いやすく、主に商用周波数の交流の電流計・電圧計として使われます。周波数が高くなると、コイルのインピーダンスや渦電流の影響で誤差が増えます。

電流力計形|2つのコイルの電流の積に比例

固定コイルがつくる磁界の中に可動コイルを置き、両方に電流を流します。可動コイル形の永久磁石を、電流でつくる磁界に置き換えた形です。駆動トルクは、2つのコイルの電流の積に比例します。2つのコイルを直列にして同じ電流を流せば、トルクは電流の2乗に比例し、実効値を指示します。鉄を使わないのでヒステリシスがなく、直流でも交流でも同じ指示になるため、交流の計器を直流の標準と比べる用途に向いています。そのかわり、コイルだけでつくる磁界は弱いので、外からの磁界の影響を受けやすく、計器自身の消費電力は大きめです。この形がいちばん活躍するのは電力計で、あとの節で扱います。

熱電形・静電形・誘導形

  • 熱電形:測る電流で細いヒータを熱し、その温度の上がり方を熱電対で起電力に変えて、可動コイル形の計器で読む。発熱は電流の2乗に比例するので、波形によらず実効値を指示し、高い周波数まで使える。ヒータは過電流に弱い。
  • 静電形:向かい合う電極のあいだに働く静電力で動く電圧計。力は電圧の2乗に比例するので実効値を指示し、直流でも交流でも使える。直流では、電極が充電されたあと電流が流れないので、測る回路をほとんど乱さない。低い電圧では力が弱く、主に高い電圧の測定に使う(電極間のエネルギーはコンデンサの基礎と計算)。
  • 誘導形:固定した電磁石の交流の磁界が、アルミニウムの円板などに渦電流を誘導し、その渦電流と磁界のあいだに働く力で動く。渦電流は磁界が変化しないと生じないので、交流専用。円板が回り続ける形にしたものが、誘導形の電力量計。
種類 応答する量と、使える電流
可動
コイル形
平均値。直流専用。
目盛は等間隔。
感度が高い。
整流形 整流した平均値。交流用。
正弦波の実効値で
目盛ってある。
可動
鉄片形
実効値。主に商用周波数
の交流。目盛は不等間隔。
丈夫。
電流
力計形
実効値(電力計では
有効電力)。
交流・直流の両方。
熱電形 実効値。交流・直流。
高い周波数まで。
静電形 電圧の実効値。
交流・直流。
主に高い電圧。
誘導形 交流専用。
電力量計に使う。

数字で表示するディジタル計器は、入力の電圧を一定の時間ごとに数値に変換して表示します。交流の測り方には、整流形と同じく平均値に応答して1.11倍を表示するものと、2乗の平均を回路で計算する「真の実効値」形があり、どちらなのかは仕様書に書かれています。

計算例1|同じ電流を3種類の計器で測る

設定。直流3.0 A に、実効値4.0 A の正弦波の交流が重なった電流 i=3.0+4.0√2 sin ωt[A] が、2.5 Ω の抵抗を流れている。この電流を可動コイル形、可動鉄片形、整流形(全波整流)の電流計で測ったときの指示と、抵抗の消費電力を求める。

① 可動コイル形は平均値を指示する。sin の部分は1周期で平均すると0なので、指示は 3.0 A

② 可動鉄片形は実効値を指示する。2乗の平均をとると、直流分と交流分を掛け合わせた項は平均が0になって消えるので √(3.02+4.02)=5.0 A

③ 整流形は、絶対値の平均の1.11倍を指示する。この波形の絶対値の平均は、数値計算で約4.12 A。指示は 4.12×1.11≒4.57 A

④ 抵抗の消費電力は実効値で決まる:5.02×2.5=62.5 W

⑤ ほかの計器の読みで計算すると、可動コイル形では 3.02×2.5=22.5 W(36%)、整流形では 4.572×2.5≒52.2 W(84%)にしかならない

読み取り。3台とも故障しているわけではなく、それぞれが応答する量を正しく指示しています。発熱や電力を知りたいなら、実効値に応答する計器の読みを使います。蓄電池の充電や電気めっきのように、運ばれた電荷の量(電流の平均×時間)を知りたいなら、可動コイル形の読みが合っています。

分流器と倍率器|測定範囲を広げる

可動コイル形の計器そのものに流せる電流は、mA 程度までの小さな値です。それより大きな電流や電圧を測るには、抵抗を組み合わせて、測る量の一部だけを計器に受け持たせます。使うのは、直流回路の基礎の分流と分圧です。

分流器は、計器と並列につなぐ小さな抵抗です。並列なので、計器と分流器の両端の電圧は等しくなります。測りたい最大の電流を I とすると、計器に Im、分流器に残りの I−Im が流れるので、Imra=(I−Im)Rs です。倍率器は、計器と直列につなぐ大きな抵抗です。直列なので電流が等しく、測りたい最大の電圧 V を加えたときに Im が流れればよいので、V=Im(rv+Rm) です。

分流器(並列)と倍率器(直列)

Rs=Imra/(I−Im)
=ra/(m−1)

Rm=V/Im−rv
=(m−1)rv

m は倍率
(広げたあとの最大目盛÷もとの最大目盛)

上の行と下の行は同じ式を書き換えただけです。分流器なら「最大目盛のときの計器の電圧を、分流器に流す電流で割る」、倍率器なら「全体で必要な抵抗 V/Im から、計器の内部抵抗を引く」と考えれば、倍率 m を使わなくても出せます。m を使うときは、広げる前と後の単位(mA と A など)をそろえてから割ります。

倍率器をつけた電圧計の内部抵抗は、最大目盛の電圧に比例して V/Im になります。そこで電圧計の内部抵抗は「1 V あたり何 Ω」で表すことがあり、その値は 1/Im です。分流器をつけた電流計では逆に、全体の抵抗が「最大目盛のときの電圧降下÷最大目盛の電流」なので、大きな電流のレンジほど抵抗が小さくなります。JIS C 1102-2 は、外付けの分流器と組み合わせる電流計について、測定範囲の上限での電圧降下を50 mV、60 mV、75 mV、100 mV、300 mV から選ぶのが望ましいとしています。

コイルは銅線なので、温度が上がると抵抗が増えます(1 K あたり約0.4%)。分流器には温度で抵抗がほとんど変わらない合金を使うので、そのままでは温度によって電流の分かれ方が変わってしまいます。そこで、コイルと直列に温度で変わりにくい抵抗を入れ、コイルの抵抗の変化が全体に効きにくいようにしてあります。

計算例2|1つの計器から電流計と電圧計を作る

設定。最大目盛0.50 mA、内部抵抗180 Ω の可動コイル形計器がある。(a) 最大目盛3.0 A の電流計にする分流器、(b) 最大目盛30 V の電圧計にする倍率器、(c) さらに150 V のレンジを足すときに追加する抵抗を求める。

① 最大目盛のとき、計器の両端の電圧は 0.50 mA×180 Ω=90 mV

② (a) 分流器に流す電流は 3.0−0.0005=2.9995 A。Rs=90 mV/2.9995 A≒0.0300 Ω(30.0 mΩ)

③ 倍率で出すと m=3.0 A/0.50 mA=6,000、180/5,999≒0.0300 Ω で同じ

④ 電流計全体の抵抗は 90 mV/3.0 A=0.030 Ω。最大目盛のとき分流器の発熱は 90 mV×3.0 A≒0.27 W

⑤ (b) 全体で必要な抵抗は 30 V/0.50 mA=60 kΩ。倍率器は 60 kΩ−180 Ω=59.82 kΩ

⑥ (c) 150 V では全体で 150 V/0.50 mA=300 kΩ。30 V レンジの60 kΩ に、さらに240 kΩ を直列に足す

検算:(b) の電圧計に30 V を加えると 30 V/60 kΩ=0.50 mA で、ちょうど最大目盛です。

読み取り。この電圧計の内部抵抗は、どのレンジでも1 V あたり2.0 kΩ(1/0.50 mA)です。レンジを上げるほど内部抵抗は大きくなります。電流計は反対で、最大目盛のときの電圧降下が90 mV のまま変わらないので、レンジを上げるほど抵抗は小さくなります。

計器をつなぐと回路が変わる|内部抵抗による誤差

電圧計は測りたい2点に並列につなぎ、電流計は回路を切り開いて直列に入れます。どちらも内部抵抗をもつので、つないだ時点で回路が変わります。計器が指示するのは、つなぐ前の値ではなく、計器をつないだあとの回路の値です。

どれだけ変わるかは、直流回路の解析のテブナンの定理で見通せます。電圧を測る2点から回路側を見て、開放電圧 Voc と抵抗 Rth の直列に置き換えると、電圧計 rv をつないだときの指示は Voc を Rth と rv で分圧した値です。電流計は、入れる場所を切り開いた2点から回路を見た抵抗を Rth とすると、そこに ra が直列に足されます。

内部抵抗による誤差率

電圧計:−Rth/(Rth+rv)

電流計:−ra/(Rth+ra)

どちらも負で、計器はつなぐ前の値より小さく読みます。「電圧計は内部抵抗が大きいほどよい、電流計は小さいほどよい」と言われるのは、この式の分子と分母のことです。ただし誤差を決めているのは、計器の内部抵抗そのものではなく、回路の抵抗 Rth との比です。同じ電圧計でも、電源の端子のように Rth が小さい場所では誤差はほぼ0で、抵抗の大きい回路の途中では大きくなります。

計算例3|電圧計と電流計を入れたときの読みを求める

設定。24 V の直流電源に、120 kΩ と60 kΩ の抵抗を直列につないである。60 kΩ の両端の電圧を、(a) 計算例2の電圧計の30 V レンジ(内部抵抗60 kΩ)、(b) 同じ電圧計の150 V レンジ(300 kΩ)、(c) 入力抵抗10 MΩ のディジタル電圧計で測る。別の回路として、(d) 1.2 V の電源に0.45 Ω の負荷をつないだ回路の電流を、計算例2の電流計(0.030 Ω)で測る。電源の内部抵抗は無視する。

① つなぐ前の電圧は 24×60/(120+60)=8.0 V。60 kΩ の両端から見た抵抗は、電源を短絡して120 kΩ と60 kΩ の並列で 40 kΩ

② (a) 8.0×60/(40+60)=4.8 V(−40%)

③ (b) 8.0×300/(40+300)≒7.06 V(−12%)

④ (c) 8.0×10,000/(40+10,000)≒7.97 V(−0.4%)

⑤ (d) つなぐ前は 1.2/0.45≒2.67 A。電流計を入れると 1.2/(0.45+0.030)=2.50 A(−6.3%)

検算:(a) を元の回路で解くと、60 kΩ と電圧計60 kΩ の並列が30 kΩ で、24×30/(120+30)=4.8 V。テブナンで出した値と一致します。

読み取り。(a) の電圧計は壊れているのではなく、「電圧計をつないだ状態の回路」の電圧4.8 V を正しく指示しています。(b) のようにレンジを上げると内部抵抗が増えて回路への影響は減りますが、指針は最大目盛の5% 足らずの位置になり、次の節で見る階級による誤差が大きくなります。(d) では、0.030 Ω という小さな抵抗でも、回路の抵抗が0.45 Ω しかないので6% の差が出ました。

電圧計と電流計で抵抗を測るとき|つなぎ方は2通り

抵抗 R に電流を流し、電圧計の読みを電流計の読みで割って抵抗を求める方法では、電圧計をどこにつなぐかで2通りの回路ができます。どちらにしても、片方の計器が余分なものまで測ってしまいます。

つなぎ方 割り算で出る値と、向く範囲
電圧計を
抵抗の
両端に
電流計が、電圧計に流れる
電流まで読む。
出る値は R と rv の
並列で、小さめ。
誤差率 −R/(R+rv)。
低い抵抗に向く。
電圧計を
電流計と
抵抗の
外側に
電圧計が、電流計の
電圧降下まで読む。
出る値は R+ra で、
大きめ。
誤差率 +ra/R。
高い抵抗に向く。

2つの誤差率の大きさが同じになるのは、R がおよそ √(rarv) のときです。計算例2の電流計(0.030 Ω)と電圧計(60 kΩ)なら約42 Ω が境目です。2.0 Ω の抵抗を測ると、上のつなぎ方は−0.003%、下のつなぎ方は+1.5%。5.0 kΩ を測ると、上は−7.7%、下は+0.0006% です。測る抵抗が境目より小さければ上、大きければ下を選びます。

誤差と階級|読んだ値にはどれだけの幅があるか

測定値を M、真の値を T とすると、誤差とその仲間は次のように決められています。JIS C 1102-1 でも、計器の誤差は「指示値から真の値を引いた値」です。

誤差 ε=M−T、誤差率 ε/T

補正 α=T−M、補正率 α/M

補正は誤差の符号を逆にしたもので、測定値に足すと真の値になります。取り違えやすいのは分母で、誤差率は真の値で、補正率は測定値で割ります。真の値50.0 V を49.0 V と読んだなら、誤差は−1.0 V、誤差率は−2.0%、補正は+1.0 V、補正率は 1.0/49.0≒+2.04% です。

階級は「最大目盛値に対する百分率」

指示計器の確かさは、階級(JIS の用語では階級指数)で表します。JIS C 1102-2 が電流計と電圧計について挙げている階級指数は、0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、1、1.5、2、2.5、3、5 です。計器を決められた標準状態(周囲温度などの基準の条件)で使ったとき、その計器だけで生じる誤差(固有誤差)が、基底値に対する百分率で階級指数を超えない、というのが階級の意味です。目盛の端に0がある普通の電流計・電圧計・電力計では、基底値は測定範囲の上限値、つまり最大目盛値です。

誤差の限度=最大目盛値×階級/100

読みに対する割合=階級×最大目盛値/読み[%]

誤差の限度は V や A の大きさで決まっていて、目盛のどこを指していても同じです。だから読みが小さいほど、読みに対する割合は大きくなります。最大目盛の10分の1を指しているときは、階級の数字の10倍です。指針がなるべく最大目盛に近いところへ来るレンジを選ぶのは、このためです。

階級の数字は、どんな使い方でもその範囲に入るという保証ではありません。JIS C 1102-1 は周囲温度の基準値を20 ℃、23 ℃、27 ℃のいずれかとし、そこから外れたときの変動を、固有誤差とは別に認めています。置く向き、周波数、外からの磁界についても同じ扱いです。前の節の内部抵抗による誤差も、階級には含まれていません。

2つの読みを掛けたり割ったりして求めた値では、誤差の限度の割合(百分率)を足し合わせます。(1+a)(1+b)≒1+a+b で、ab の項は小さいので捨てられるからです。割り算でも、いちばん悪い組合せ(分子が大きめ、分母が小さめ)では足し算になります。

ディジタル計器の確度は、「±(読みの0.5%+2ディジット)」のように、読みに比例する部分と一定の部分の和で示されるのが一般的です。ディジットは、いちばん下の桁の1つ分です。一定の部分があるので、レンジに対して小さい読みで割合が大きくなるのは、アナログ計器と同じです。

計算例4|階級から、抵抗と電力の誤差の限度を出す

設定。抵抗に直流を流したところ、0.5級・最大目盛150 V の電圧計が96.0 V、0.5級・最大目盛5 A の電流計が1.60 A を指示した。階級は最大目盛値に対する百分率とし、計器の内部抵抗の影響は無視できるとする。

① 電圧計:150×0.5/100=±0.75 V。読みに対して 0.75/96.0≒±0.78%

② 電流計:5×0.5/100=±0.025 A。読みに対して 0.025/1.60≒±1.56%

③ 抵抗は 96.0/1.60=60.0 Ω。限度は 0.78+1.56≒±2.3%、約±1.4 Ω

④ 端の値で確かめる:96.75/1.575≒61.4 Ω、95.25/1.625≒58.6 Ω

⑤ 電流計を最大目盛2 A のレンジに替えると ±0.010 A(±0.63%)。合計は±1.4%、約±0.84 Ω に減る

⑥ 電力 96.0×1.60≒154 W の限度も、①と②の和で±2.3%(約±3.6 W)

⑦ 同じ電圧を、確度「±(読みの0.5%+2ディジット)」、200.0 V レンジのディジタル計器で測ると、1ディジットは0.1 V なので ±(0.48+0.2)=±0.68 V(±0.71%)。同じレンジで12.0 V を測ると ±0.26 V(±2.2%)

読み取り。2台とも0.5級なのに、抵抗の誤差の限度は2.3% です。電流計の指針が最大目盛の3分の1のところにあるのが主な原因で、レンジを替えるだけで1.4% になりました。ここで出したのは、階級が許す範囲の端と端を組み合わせた、いちばん悪い場合の幅です。

零位法とブリッジ|抵抗の大きさで測り方を変える

指針の振れの大きさを読む測り方を偏位法、測る量と基準の量をつり合わせて、検出器が0を指す点を探す測り方を零位法と呼びます。零位法では、検出器は「0か、0でないか」が分かればよく、目盛の正確さは要りません。結果の確かさは、つり合わせる相手の標準の抵抗などで決まります。つり合ったときには検出器に電流が流れないので、測る回路から電流を取らないことも利点です。電池の起電力を、電流を取り出さずに既知の電圧と比べて測る直流電位差計は、この性質を使っています(電流を取ると端子電圧が下がることは直流回路の基礎)。

抵抗を測るホイートストンブリッジも零位法です。平衡の条件と、抵抗の位置で式を書く方法は直流回路の解析で導きました。3つの辺に既知の抵抗を置き、検出器の電流が0になるように調整すれば、残りの1辺の抵抗が既知の3つから決まります。電源の電圧が多少変わっても、平衡の条件は変わりません。ただし、どんな大きさの抵抗でも同じブリッジで測れるわけではありません。

測るもの 方法と、その理由
低い抵抗
およそ1 Ω
より下
4端子法、
ケルビンダブルブリッジ。
導線と接触の抵抗を
測定値に入れない。
中くらい
の抵抗
ホイートストンブリッジ。
高い抵抗、
絶縁抵抗
絶縁抵抗計(メガー)。
直流の高い電圧を加え、
漏れる小さな電流から
求める。
電解液、
接地抵抗
交流で測る。
コールラウシュブリッジ、
接地抵抗計。
直流では分極で
値が変わるため。
コイル、
コンデンサ
交流ブリッジ。

範囲の境目は目安で、機種によって違います。

低い抵抗は、電流を流す端子と電圧を測る端子を分ける

mΩ 程度の抵抗を測ろうとすると、測定用の導線の抵抗や、端子の接触の抵抗のほうが大きくなります。そこで、電流を流すための端子2つと、電圧を測るための端子2つを別々に設けます(4端子法)。電圧を測る側の導線にはほとんど電流が流れないので、そこに抵抗があっても電圧降下が生じません。ケルビンダブルブリッジは、この考え方をブリッジに組み込んだもので、比を決める辺を2組もたせ、未知の抵抗と標準の抵抗をつなぐ導線の抵抗が平衡の条件から消えるようにしてあります。

交流ブリッジ|平衡の条件は2つある

電源を交流にし、4つの辺をインピーダンスにすると、コイルやコンデンサを測れます。RLC回路とインピーダンスのとおり、インピーダンスは大きさと位相をもつ複素数なので、平衡の式「上左×下右=下左×上右」は、実部と虚部(または大きさと位相)の2つの式になります。したがって、調整できる素子が2つ必要で、2つを交互に動かして検出器の振れを0に近づけていきます。

  • マクスウェルブリッジ:コイルのインダクタンスを、向かい側の辺に置いたコンデンサとつり合わせて測る(計算例5)。
  • シェーリングブリッジ:コンデンサや絶縁物の静電容量と、損失の大きさを表す誘電正接(tan δ)を測る。
  • ウィーンブリッジ:平衡の条件に周波数が入る。静電容量や周波数の測定に使う。

計算例5|4端子法の効果と、マクスウェルブリッジ

設定。(a) 2.5 mΩ の導体の抵抗を測る。測定用の導線は1本15 mΩ、導線と導体の接触の抵抗は1か所5 mΩ とする。端子2つで測った場合と、4端子で測った場合を比べる。(b) 交流ブリッジで、上左の辺に未知のコイル(抵抗 Rx とインダクタンス Lx の直列)、下左に400 Ω、上右に250 Ω、下右に2.0 kΩ の抵抗と0.50 µF のコンデンサの並列を置いたところ平衡した。Rx と Lx を求める。

① (a) 端子2つ:2.5+2×15+2×5=42.5 mΩ。本当の値の17倍

② 4端子:20 A を流し、電圧端子のあいだが50.0 mV なら 50.0 mV/20 A=2.50 mΩ。電圧を測る側の導線と接触(計40 mΩ)は、電圧計の内部抵抗(1 MΩ とする)と直列に入るだけで、影響は1億分の4

③ (b) 下右の辺は並列なので、逆数で 1/Z4=1/R4+jωC4。平衡の式から Rx+jωLx=R2R3(1/R4+jωC4)

④ 実部:Rx=R2R3/R4=400×250/2,000=50 Ω

⑤ 虚部:Lx=R2R3C4=400×250×0.50×10−6=0.050 H(50 mH)

検算:1 kHz では ωLx≒314 Ω。上左 50+j314 Ω と下右の積を複素数で計算すると100,000 で、400×250=100,000 と一致します。

読み取り。④と⑤の式に ω が残っていません。このブリッジは、電源の周波数が変わっても平衡が崩れないということです。コイルの値を、値のよく分かった抵抗とコンデンサだけで決められるところが利点です。

絶縁抵抗と接地抵抗の測り方

絶縁抵抗計(メガー)は、内部で直流の高い電圧をつくって絶縁物に加え、漏れて流れる小さな電流から抵抗を求めて、MΩ の目盛で示します。500 V を加えて2.5 µA が流れたなら 500 V/2.5 µA=200 MΩ です。ケーブルのように静電容量の大きいものは、加えた直後に充電の電流が流れるので、指示が落ち着いてから読み、測ったあとは放電します。絶縁物の表面を伝う漏れ電流を計器に通さないためのガード端子をもつものもあります。加える電圧は回路の電圧に合わせて選び、測る回路は電源から切り離しておきます。低圧の電路に必要な絶縁抵抗の値は、電気設備技術基準・総則と電路の絶縁(法規科目)にまとめてあります。

接地抵抗は、大地が相手なので、水分にとけたイオンが電流を運びます。直流を流すと電極の表面で分極が起き、値が安定しません。そこで交流を使います。接地抵抗計は、測る接地極 E のほかに、電位を測る補助極 P と電流を流す補助極 C を地面に打ち、E と C のあいだに交流の電流を流して、E と P のあいだの電圧を測ります。その電圧を電流で割ったものが接地抵抗です。電流の通り道(E–C)と電圧を測る点(P)を分けるのは、4端子法と同じ考え方です。接地工事の種類と、それぞれに求められる抵抗値は、電気設備技術基準・接地工事の記事を見てください。地中ケーブルの事故点を探すマーレーループ法も、ブリッジの平衡を応用した測定です(地中送電線路)。

電力と電力量を測る|電流力計形の電力計と誘導形の電力量計

電流力計形の計器で、固定コイルに負荷の電流 i を流し(電流コイル)、可動コイルには大きな抵抗を直列にして負荷の電圧 v を加えます(電圧コイル)。可動コイルの電流は v に比例するので、駆動トルクは瞬時値の積 v×i に比例します。指針はその時間平均を指示します。

指示∝(v×i) の1周期の平均

正弦波なら P=VI cos φ

瞬時電力の平均は、交流電力と力率改善で定義した有効電力そのものです。電力計は、電圧計の読みと電流計の読みの積(皮相電力)ではなく、位相差まで含めた有効電力を、1台で直接指示します。波形がひずんでいても、積の平均をとっていることは変わりません。力率を知りたいときは、電力計・電圧計・電流計の3つの読みから cos φ=P/(VI) で求められます。力率計は、電圧と電流の位相差の余弦を、1台で直接指示するようにした計器です。

電力計にも、計器自身の消費による誤差があります。100 V、2.0 A、力率0.6 の負荷(120 W)を、電流コイルの抵抗0.50 Ω、電圧コイル側の抵抗10 kΩ の電力計で測るとします。電圧コイルを負荷のすぐ両端につなぐと、電流コイルには電圧コイルの電流も流れるので、指示は 1002/10 kΩ=1.0 W だけ多くなります。電圧コイルを電源側につなぐと、電圧コイルに電流コイルの電圧降下も加わり、2.02×0.50=2.0 W だけ多くなります。負荷の電力が小さいほど、この差の割合は大きくなります。三相の電力を電力計2台で測る方法は、三相交流回路で導いています。

電力計がないとき|三電圧計法と三電流計法

値の分かった抵抗 R を1つ用意すれば、電圧計3台、または電流計3台の読みから、単相の負荷の電力を計算できます。三電圧計法では、R を負荷と直列にし、電源の電圧 V1、R の電圧 V2、負荷の電圧 V3 を測ります。V2 は電流と同じ位相なので、フェーザの和の大きさから V12=V22+V32+2V2V3 cos φ です。負荷の電力は V3×(V2/R)×cos φ なので、cos φ を消すと次の式になります。三電流計法は、R を負荷と並列にして、全体の電流 I1、R の電流 I2、負荷の電流 I3 を測る方法で、同じ形の式になります。

三電圧計法:
P=(V12−V22−V32)/(2R)

三電流計法:
P=R(I12−I22−I32)/2

R=25 Ω で、3台の電圧計が117 V、50 V、80 V を指示したなら、P=(1172−502−802)/50≒95.8 W です。電流は 50/25=2.0 A なので、力率は 95.8/(80×2.0)≒0.60 と分かります。この方法は、大きな数どうしの差をとるので、読みの誤差が拡大されます。この例で V1 だけが1% 大きく読まれると、求めた電力は約5.7% 大きくなります。

誘導形の電力量計|円板の回転数が電力量になる

アルミニウムの円板に、電圧に応じた磁束と電流に応じた磁束を加えると、円板には有効電力に比例する駆動トルクが働きます。円板は別に置いた永久磁石(制動磁石)の磁界も横切っていて、回る速さに比例したブレーキがかかります。この2つがつり合うので、円板は有効電力に比例する速さで回り、回転数を数えれば電力を時間で積算した電力量になります。1 kWh あたりの回転数を計器定数と呼びます。計器定数が1,200回転/kWh の電力量計で、円板が10回転するのに40秒かかったなら、そのときの電力は 3,600×10/(1,200×40)=0.75 kW です。現在は、電圧と電流を電子回路で掛け算して積算する電子式の電力量計も広く使われています。

大きな電流・高い電圧を測る|計器用変成器とクランプ式の電流計

交流の大きな電流や高い電圧は、計器に直接加えずに、変成器で小さな値に直してから測ります。電流を変えるものを変流器(CT)、電圧を変えるものを計器用変圧器(VT)と呼びます。計器を高い電圧の回路から絶縁できることも、大事な役目です。二次側の定格は、変流器で5 A、計器用変圧器で110 V のものがよく使われます。

読みは、変成比を掛けて一次側の値に戻します。6,600/110 V の計器用変圧器(60倍)と150/5 A の変流器(30倍)を使い、電圧計が104 V、電流計が3.2 A を指示していれば、一次側は 104×60=6,240 V、3.2×30=96 A です。両方を通した電力計の読みには 60×30=1,800 を掛けます。

取り扱いには、それぞれ禁止事項があります。変流器は、一次側に電流が流れているあいだ、二次側を開放してはいけません。二次電流による打ち消しがなくなって鉄心が深く飽和し、二次端子に高い電圧が現れるためです。計器を外すときは、先に二次側を短絡します(理由の説明は磁気の基礎と電磁力と電磁誘導とインダクタンス、設備としての扱いは変電所の設備)。計器用変圧器は反対に、二次側を短絡してはいけません。電圧源を短絡するのと同じで、大きな電流が流れて巻線を焼くからです。

電線を切らずに電流を測るクランプ式の電流計は、開閉できる鉄心で電線をはさむ変流器です。変流器なので、この方式で測れるのは交流です(直流も測れる機種は、鉄心のすき間に磁界を検出する素子を入れてあります)。行きと帰りの電線を一緒にはさむと、磁束が打ち消し合って、2本の電流の差だけが測れます。漏れ電流の測定に使われるのはこの性質で、電磁誘導とインダクタンスの零相変流器と同じしくみです。

波形を見る|オシロスコープの読み方

オシロスコープは、縦軸を電圧、横軸を時間にして、波形そのものを画面に描く測定器です。「1目盛あたり何 V」「1目盛あたり何秒」という設定に、画面で読んだ目盛の数を掛けて値を出します。縦が1目盛2 V の設定で、波形の山が中心から3.0目盛なら、最大値は6.0 V です。横が1目盛5 ms の設定で、1周期が4.0目盛なら、周期は20 ms、周波数は 1/0.020=50 Hz です。画面から直接読めるのは最大値で、実効値は波形に応じて計算します(正弦波なら 6.0/√2≒4.24 V)。

横軸にも別の電圧を入れると、2つの電圧の関係が図形(リサジュー図形)になります。周波数が同じ2つの正弦波なら、位相差が0°で右上がりの直線、180°で右下がりの直線、振幅が等しく位相差が90°なら円、その中間は傾いただ円です。だ円が縦軸を切る点の高さを、だ円のいちばん高い点の高さで割ると sin φ になります。縦軸を切る高さが2.0目盛、最高点が4.0目盛なら sin φ=0.5 で、だ円が右上がりに傾いていれば位相差は30°、右下がりなら150°です。

言い方を読み替える|よく聞く説明と、その正確な中身

よく聞く説明 正確な中身
「可動コイル
形は交流で
振れない」
指示するのは平均値。
交流の平均は0なので
0を指す。直流分が
あれば、それを指す。
「整流形は
実効値を
測る」
平均値に応答し、
1.11倍で目盛ってある。
実効値と合うのは
正弦波のときだけ。
「0.5級なら
誤差は
0.5%」
最大目盛値の0.5%。
読みが小さいほど、
読みに対する割合は
大きくなる。
「内部抵抗
が大きけれ
ば誤差なし」
回路の抵抗との比で
決まる。抵抗の大きい
回路では、それでも
誤差が出る。
「電力計は
電圧×電流
を示す」
瞬時値の積の平均、
つまり有効電力。
実効値どうしの積
(皮相電力)ではない。
「ブリッジ
は抵抗を
測るもの」
交流ブリッジなら
コイルやコンデンサも。
平衡の条件は2つ。
「CTの
二次側は
短絡禁止」
逆。CTは開放しない。
短絡してはいけない
のはVT。

理解度チェック

3問とも当サイトで作った問題で、試験の公表問題を写したものではありません。解答には、選ばなかった4つの選択肢がどこで間違えているのかも書いてあります。

確認1|分流器の抵抗と、電流計を入れたあとの読み

最大目盛2.0 mA、内部抵抗40 Ω の可動コイル形計器に分流器をつけて、最大目盛5.0 A の電流計を作った。この電流計を、起電力3.0 V の直流電源と0.60 Ω の抵抗(電源の内部抵抗を含む)だけの回路に直列に入れた。分流器の抵抗と電流計の指示を組にしたとき、最も近いものはどれか。

  1. (1)16.0 mΩ、4.87 A
  2. (2)16.0 mΩ、5.00 A
  3. (3)26.7 Ω、0.18 A
  4. (4)100 kΩ、0.074 A
  5. (5)16.0 mΩ、5.13 A

確認2|階級から、電力の誤差の限度を求める

直流回路の負荷の電力を、電圧計と電流計の読みの積で求める。電圧計は1.0級・最大目盛300 V で120 V を、電流計は1.0級・最大目盛10 A で4.0 A を指示した。階級は最大目盛値に対する百分率とし、計器の内部抵抗の影響は無視する。電圧の読みに対する誤差の限度、電流の読みに対する誤差の限度、積で求めた電力480 W の誤差の限度を並べた組として、正しいものを1つ選べ。

  1. (1)±2.5%、±2.5%、±5.0%
  2. (2)±1.0%、±1.0%、±2.0%
  3. (3)±2.5%、±2.5%、±2.5%
  4. (4)±2.5%、±2.5%、±6.25%
  5. (5)±0.4%、±0.4%、±0.8%

確認3|指示計器の記述

指示計器について述べた次の文のうち、正しいものはどれか。

  1. (1)可動コイル形の計器に50 Hz の正弦波の電流を流すと、指針は実効値を指示する。
  2. (2)可動鉄片形の計器は、駆動トルクが電流の2乗に比例するので、目盛が等間隔になる。
  3. (3)電流力計形の電力計は、電圧と電流の瞬時値の積の平均に応じて振れるので、有効電力を指示する。
  4. (4)整流形の計器は実効値に応答するので、ひずんだ波形でも実効値を正しく指示する。
  5. (5)誘導形の計器は、直流でも交流でも使える。

まとめ

  • 指針は駆動トルクの時間平均とつり合う位置を指す。トルクが電流に比例すれば平均値、2乗に比例すれば実効値を指示する。
  • 可動コイル形は直流の平均値。整流形は平均値の1.11倍で目盛ってあり、正弦波でだけ実効値と合う。可動鉄片形・電流力計形・熱電形・静電形は実効値。誘導形は交流専用。
  • 分流器は Imra/(I−Im) を並列に、倍率器は V/Im−rv を直列に。
  • 内部抵抗による誤差率は、電圧計が −Rth/(Rth+rv)、電流計が −ra/(Rth+ra)。回路の抵抗との比で決まる。
  • 階級は最大目盛値に対する百分率。読みに対する割合は「階級×最大目盛値/読み」。掛け算・割り算で求めた値では、割合を足す。
  • 低い抵抗は4端子法とケルビンダブルブリッジ、中くらいはホイートストンブリッジ、絶縁抵抗は絶縁抵抗計、接地抵抗は交流で測る。交流ブリッジの平衡の条件は2つ。
  • 電流力計形の電力計は有効電力を指示する。三電圧計法は (V12−V22−V32)/(2R)。誘導形の電力量計は、円板の回転数が電力量になる。
  • 変流器の二次側は開放しない。計器用変圧器の二次側は短絡しない。

理論科目のテーマはここまでです。次のテーマからは電力科目に入ります。

演習と、前後のテーマ

この記事の出典は2026年10月1日に確かめました。計器の誤差の定義、階級指数の並び、基底値が測定範囲の上限値であること、周囲温度の基準値、整流形計器についての注、外付け分流器の電圧降下の推奨値は、JIS C 1102-1(2007年版と2011年の追補)と JIS C 1102-2(1997年版)の本文によります。理論科目に電気計測が含まれることは、試験センターが公開している科目の表を見て確かめました。銅の抵抗の温度による変化、ブリッジで測れる抵抗の範囲、変成器の二次側の定格は、教科書で広く使われている目安です。例題と確認問題の計器の値は、計算を追いやすいように当サイトで決めたもので、特定の製品の仕様ではありません。運営者は学習中の個人で、この記事は測定の実務経験にもとづくものではありません。実際に測定するときは、計器の取扱説明書と、設備の管理者や電気主任技術者の指示に従ってください。

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